信念に基づいて「天皇の褒賞」を拒否した僕の恩師は、よく表題の話をしたものだ。「専門馬鹿」の話である。
専門「科」学者が専門外のことを語る場合、ろくな事がないと。それは50年近く前のこと。現在は当時よりももっと何倍も専門化が進み、学問の細分化も驚くほどに進んでいる。今ではもう、専門外のことは普通なら素人同然であろう。
こういう状況を考える時、たびたび思うことがある。日本ではよく「一芸に秀でた者は、万事に秀でている」と言われるが、これは「万事」でも資料を集めたり、目配りをした場合のことであって、それがない事も多いだろう現代の専門家は、専門以外のことは素人以下のことも多いのではないか。
さて、「科」学者たちが事業仕分けの「次世代スーパーコンピュータ」文科省予算などの縮減に集団マスコミ会見をしてまで噛み付いた。これについて僕は、いろんな意味で滑稽であると考えている。その次第を述べてみたい。
あれだけのメンバーが集団で出たということは、誰かが大々的に集め、マスコミを呼んだということだろう。文科省あたりではないか。この光景、まずこういう下工作が目に浮かぶようだ。文科省が彼らを組織し、マスコミにも連絡を取って、記者会見を大々的に敢行したと。
ついで、このことの最大の問題点は以下である。学者たちはこんな事を知っていただろうか。スーパーコンピューターとか、大型放射光施設「スプリング8」とかには、「中抜き」が絡んでくる場合が多いということを。役人が企画する事業には必ずこんなことがあるのだ。
「一方仕分けでは『天下り法人などの高い人件費や不効率な管理経費に予算が消えてしまう〈中抜き〉の問題点も指摘された」
「鳩山由紀夫首相は30日の刷新会議の冒頭、(中略)『中抜きの構造があり、必ずしも純粋に科学技術だけに使われているわけではない』と指摘。科学関連も含めて聖域なく『予算の無駄根絶』を目指す姿勢を示した」
(いずれも毎日新聞1日朝刊2面)
つまり、社会的に必要な国家予算絡みの物の周囲にはほとんど、役人が天下り先、高給優先雇用の仕組みをずらずらっと繋げている場合が多いのである。
専門馬鹿が役人に組織されると、今現在はろくな事がないのではないか。60年ぶりの本格的新政権がその政治主導でもって、役人の膨大な既得権に切り込みを入れようとしている真っ最中なのだ。こんな時の「学者の一途な良心」など、役人の世界では手玉に取られるようなもんだろうが、あの学者たちは以上のことなんかは頭に入っているんだろうか。考えていないならばしゃしゃり出るなと言いたい。
そもそも日本の官僚を胡散臭く思っている「まっとうな」人、学者ならば、彼らの言葉には載らないのではないか。彼らの言葉に乗ったり、彼らの政策をそのままやれと言ったりする人は、その一途さ、世間知らずを利用されて、知らないうちに役人の天下り先充実に協力しているといった場合も多いのではないか。
もっとも自分の領域に税金を引っ張り込もうとするだけ、後のことは知らないといった人々もいるだろう。が、こんな人は彼らの意識はいざ知らず、事実上は私利を貫く確信犯の人々と変わらないのであって、そういう人々には以上は通用しない話なのでもあろう。そんなことさえ疑いたくなるような、記者会見であった。
専門「科」学者が専門外のことを語る場合、ろくな事がないと。それは50年近く前のこと。現在は当時よりももっと何倍も専門化が進み、学問の細分化も驚くほどに進んでいる。今ではもう、専門外のことは普通なら素人同然であろう。
こういう状況を考える時、たびたび思うことがある。日本ではよく「一芸に秀でた者は、万事に秀でている」と言われるが、これは「万事」でも資料を集めたり、目配りをした場合のことであって、それがない事も多いだろう現代の専門家は、専門以外のことは素人以下のことも多いのではないか。
さて、「科」学者たちが事業仕分けの「次世代スーパーコンピュータ」文科省予算などの縮減に集団マスコミ会見をしてまで噛み付いた。これについて僕は、いろんな意味で滑稽であると考えている。その次第を述べてみたい。
あれだけのメンバーが集団で出たということは、誰かが大々的に集め、マスコミを呼んだということだろう。文科省あたりではないか。この光景、まずこういう下工作が目に浮かぶようだ。文科省が彼らを組織し、マスコミにも連絡を取って、記者会見を大々的に敢行したと。
ついで、このことの最大の問題点は以下である。学者たちはこんな事を知っていただろうか。スーパーコンピューターとか、大型放射光施設「スプリング8」とかには、「中抜き」が絡んでくる場合が多いということを。役人が企画する事業には必ずこんなことがあるのだ。
「一方仕分けでは『天下り法人などの高い人件費や不効率な管理経費に予算が消えてしまう〈中抜き〉の問題点も指摘された」
「鳩山由紀夫首相は30日の刷新会議の冒頭、(中略)『中抜きの構造があり、必ずしも純粋に科学技術だけに使われているわけではない』と指摘。科学関連も含めて聖域なく『予算の無駄根絶』を目指す姿勢を示した」
(いずれも毎日新聞1日朝刊2面)
つまり、社会的に必要な国家予算絡みの物の周囲にはほとんど、役人が天下り先、高給優先雇用の仕組みをずらずらっと繋げている場合が多いのである。
専門馬鹿が役人に組織されると、今現在はろくな事がないのではないか。60年ぶりの本格的新政権がその政治主導でもって、役人の膨大な既得権に切り込みを入れようとしている真っ最中なのだ。こんな時の「学者の一途な良心」など、役人の世界では手玉に取られるようなもんだろうが、あの学者たちは以上のことなんかは頭に入っているんだろうか。考えていないならばしゃしゃり出るなと言いたい。
そもそも日本の官僚を胡散臭く思っている「まっとうな」人、学者ならば、彼らの言葉には載らないのではないか。彼らの言葉に乗ったり、彼らの政策をそのままやれと言ったりする人は、その一途さ、世間知らずを利用されて、知らないうちに役人の天下り先充実に協力しているといった場合も多いのではないか。
もっとも自分の領域に税金を引っ張り込もうとするだけ、後のことは知らないといった人々もいるだろう。が、こんな人は彼らの意識はいざ知らず、事実上は私利を貫く確信犯の人々と変わらないのであって、そういう人々には以上は通用しない話なのでもあろう。そんなことさえ疑いたくなるような、記者会見であった。