★政策選択の透明化で国民に高い評価をうけた事業う仕分けが、県レベルでも実施され県政の透明化が進み評価されているというニュースをお知らせします。
(ネット虫)
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広島県の事業仕分けが12月26日、広島県庁講堂でありました。
平成21年12月26日(土) 本日「事業仕分け」を実施しました(広島県庁HP内「知事コラム」)
年末の多忙な時期に関わらず大盛況だった事業仕分け。
今回は20事業(議論の流れで26事業に分けた)が対象となり、2班に別れて仕分け作業を実施しました。傍聴者は680人で、会場は満杯。県庁職員の私も傍聴しました。
結果、6事業が不要、13事業が要改善、1事業が民間で実施、1事業が国で実施、となりました。今回は、予算カットが主眼ではなく、湯崎英彦さん(知事)が強調するように、「県庁の見える化」です。
さて、本来的には、「仕分け」は、議会の仕事です。ですが、広島県に限らず、地方でも国政でも、正直に申し上げて、議会が機能不全でした。そうした中で事業仕分けには「物事をオープンにする」効能があるわけです。そのことは議員の責任もあり県民の責任もある。そのことを踏まえた上で、これは有意義で面白い、と実感しました。
■結論は常識的でも議論は白熱
結論については、概ね常識的な範囲になりました。ただ、議論は白熱しました。その議論のプロセスが大事だし「ああ、こういう理由で必要な事業なんだ」ということも県民の皆さんにもわかっていただけたのではないか、と思います。
以下、当日行われたいくつかの仕分けの概要をご紹介します。
■餅は餅屋‐‐国際ビジネスは産業活性化機構で
県の商工労働局産業振興部企業立地課国際ビジネス室が取り組んでいる国際ビジネス推進事業は、「民間」=ひろしま産業振興機構に任せよう、という結論になりました。
ひろしま産業振興機構
この事業は主に、県内産業の底上げに役立つ外国企業を誘致する事業です。仕分け人からは、県や市、経済界がお金を出し合って作っている産業活性化機構に任せたほうがいいのではないか、という注文が出されました。また、ビジネスのことは、ビジネスの専門家が集まっている機構に任せたほうがいいのではないか? 県だと職員が定期異動で居なくなってしまうのではないか? などという懸念が示されました。
それに対して、県は「産業振興機構は、県内企業のための事業をしているが、県は、外国企業のための事業をしている。」と説明しました。しかし、仕分け人が「そもそも、『広島県内産業のためになる』外国企業を誘致しているんでしょ? 広島県内企業の市場を奪ってしまうような企業を誘致することは県だってしないわけでしょ? どっちも結局は県内産業のための仕事でしょ?」と突っ込みを入れると、県は回答に詰まってしまいました。結局、国際ビジネスに関する事業は機構で行なったほうがよいという結論になりました。
■県はもっと指定管理者にガバナンスを‐‐リハビリセンター
県立障害者リハビリテーションセンターの運営は、指定管理者の財団に任されています。しかし、実際には財団は県とほぼ一体なのです。その財団が、余剰金を毎年増やしていることが指摘されていました。一方で、いずれしなければいけない施設の建て替えに備えて基金を積んでいるわけでもないことも指摘されました。要は、中途半端なお金が財団に溜まりこんでいるということです。仕分け人からは「県がもっと財団に対するガバナンスを強めてほしい」という注文が出されていました。確かに、責任の所在があいまいなまま、目的不明のお金が溜まっていくことはよくない。県が直営でやってもいいくらいの事業なので、県が責任をもっと持つという結論には納得です。
■港湾のグランドデザインを
港湾整備特別会計には、厳しい突っ込みが仕分け人から入りました。広島港と福山港は、特別会計で整備・運営されています。両港は整備のために起債を行っています。しかし、債務の償還は素人で見ても困難です。
当局は「神戸港からトラックで運ぶより、広島港に直接運んだほうが安上がりで経済効果はある」などと効果を強調しました。
各仕分け人とも、港湾が不要というわけではありません。「グランドデザインを示して欲しい」「むしろ設備を増強したら、逆に便利になり、利用率が増えるのでは?」という注文がありました。
ただ、エネルギー消費削減に関する議論がなかったのは残念でした。
■畜産が成り立つ構造にしよう‐‐広島牛精液生産
広島牛の精液を生産する事業も仕分け対象になりました。「不要」という意見はありませんでした。「広島牛」の精液はつくらないといけない。そうでないと、広島としての特徴のない牛になってしまう、という当局の説明はそのとおりだと思います。しかし、仕分け人からは、畜産をめぐる厳しい環境が指摘されました。「畜産がビジネスとして成り立つような戦略が必要」という意見も出されました。この事業も「要改善」に仕分けされました。
■非正規雇用化によるサービス低下懸念
県立図書館については、本来正規で対応すべき仕事を非正規で対応することへの懸念が仕分け人から提示されました。仕分け人から「司書を非正規に切り替えて質は保てるのか? リファレンス機能が低下したら、貸本屋と一緒で指定管理者でいいじゃないかということになりかねない」と指摘しました。
非正規雇用の広がりが公務員でも大問題になってきた今、タイムリーな指摘だと思いました。労使ともに今後とも取り組まねばならない課題です。
■県庁が何をしているかを明らかにした
仕分け終了後、仕分け人からは「県庁が何をしているか明らかになることが県庁への信頼向上につながる」(新倉仕分け人)「県のあり方を考えるチャンス」(小瀬村仕分け人)などのコメントがありました。
「県が何をしているかわからない」という声は、とくに広島市民から良くうかがいます。わたしも友人からそういう声を聞くことがあり、ちょっとがっくり来ます。
一方で、県は市町への権限移譲後、どういうことをすればよいのかが今ひとつ見えず、職員や県議らの間にも閉塞感が漂っていたのは確かです。それに、前知事の疑惑やリーダーシップの欠如が追い討ちをかけていました。
今回の仕分けで、「ああ、県とはこういうことをしているのか」と県民の皆さんが思っていただければ幸いです。
そして、県政に携わる職員や県会議員も「これからの県はこういうところに手厚くやっていけばよいのか?」「こういうやり方もあるのか?」と考えていくきっかけになればいいですね
(ネット虫)
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広島県の事業仕分けが12月26日、広島県庁講堂でありました。
平成21年12月26日(土) 本日「事業仕分け」を実施しました(広島県庁HP内「知事コラム」)
年末の多忙な時期に関わらず大盛況だった事業仕分け。
今回は20事業(議論の流れで26事業に分けた)が対象となり、2班に別れて仕分け作業を実施しました。傍聴者は680人で、会場は満杯。県庁職員の私も傍聴しました。
結果、6事業が不要、13事業が要改善、1事業が民間で実施、1事業が国で実施、となりました。今回は、予算カットが主眼ではなく、湯崎英彦さん(知事)が強調するように、「県庁の見える化」です。
さて、本来的には、「仕分け」は、議会の仕事です。ですが、広島県に限らず、地方でも国政でも、正直に申し上げて、議会が機能不全でした。そうした中で事業仕分けには「物事をオープンにする」効能があるわけです。そのことは議員の責任もあり県民の責任もある。そのことを踏まえた上で、これは有意義で面白い、と実感しました。
■結論は常識的でも議論は白熱
結論については、概ね常識的な範囲になりました。ただ、議論は白熱しました。その議論のプロセスが大事だし「ああ、こういう理由で必要な事業なんだ」ということも県民の皆さんにもわかっていただけたのではないか、と思います。
以下、当日行われたいくつかの仕分けの概要をご紹介します。
■餅は餅屋‐‐国際ビジネスは産業活性化機構で
県の商工労働局産業振興部企業立地課国際ビジネス室が取り組んでいる国際ビジネス推進事業は、「民間」=ひろしま産業振興機構に任せよう、という結論になりました。
ひろしま産業振興機構
この事業は主に、県内産業の底上げに役立つ外国企業を誘致する事業です。仕分け人からは、県や市、経済界がお金を出し合って作っている産業活性化機構に任せたほうがいいのではないか、という注文が出されました。また、ビジネスのことは、ビジネスの専門家が集まっている機構に任せたほうがいいのではないか? 県だと職員が定期異動で居なくなってしまうのではないか? などという懸念が示されました。
それに対して、県は「産業振興機構は、県内企業のための事業をしているが、県は、外国企業のための事業をしている。」と説明しました。しかし、仕分け人が「そもそも、『広島県内産業のためになる』外国企業を誘致しているんでしょ? 広島県内企業の市場を奪ってしまうような企業を誘致することは県だってしないわけでしょ? どっちも結局は県内産業のための仕事でしょ?」と突っ込みを入れると、県は回答に詰まってしまいました。結局、国際ビジネスに関する事業は機構で行なったほうがよいという結論になりました。
■県はもっと指定管理者にガバナンスを‐‐リハビリセンター
県立障害者リハビリテーションセンターの運営は、指定管理者の財団に任されています。しかし、実際には財団は県とほぼ一体なのです。その財団が、余剰金を毎年増やしていることが指摘されていました。一方で、いずれしなければいけない施設の建て替えに備えて基金を積んでいるわけでもないことも指摘されました。要は、中途半端なお金が財団に溜まりこんでいるということです。仕分け人からは「県がもっと財団に対するガバナンスを強めてほしい」という注文が出されていました。確かに、責任の所在があいまいなまま、目的不明のお金が溜まっていくことはよくない。県が直営でやってもいいくらいの事業なので、県が責任をもっと持つという結論には納得です。
■港湾のグランドデザインを
港湾整備特別会計には、厳しい突っ込みが仕分け人から入りました。広島港と福山港は、特別会計で整備・運営されています。両港は整備のために起債を行っています。しかし、債務の償還は素人で見ても困難です。
当局は「神戸港からトラックで運ぶより、広島港に直接運んだほうが安上がりで経済効果はある」などと効果を強調しました。
各仕分け人とも、港湾が不要というわけではありません。「グランドデザインを示して欲しい」「むしろ設備を増強したら、逆に便利になり、利用率が増えるのでは?」という注文がありました。
ただ、エネルギー消費削減に関する議論がなかったのは残念でした。
■畜産が成り立つ構造にしよう‐‐広島牛精液生産
広島牛の精液を生産する事業も仕分け対象になりました。「不要」という意見はありませんでした。「広島牛」の精液はつくらないといけない。そうでないと、広島としての特徴のない牛になってしまう、という当局の説明はそのとおりだと思います。しかし、仕分け人からは、畜産をめぐる厳しい環境が指摘されました。「畜産がビジネスとして成り立つような戦略が必要」という意見も出されました。この事業も「要改善」に仕分けされました。
■非正規雇用化によるサービス低下懸念
県立図書館については、本来正規で対応すべき仕事を非正規で対応することへの懸念が仕分け人から提示されました。仕分け人から「司書を非正規に切り替えて質は保てるのか? リファレンス機能が低下したら、貸本屋と一緒で指定管理者でいいじゃないかということになりかねない」と指摘しました。
非正規雇用の広がりが公務員でも大問題になってきた今、タイムリーな指摘だと思いました。労使ともに今後とも取り組まねばならない課題です。
■県庁が何をしているかを明らかにした
仕分け終了後、仕分け人からは「県庁が何をしているか明らかになることが県庁への信頼向上につながる」(新倉仕分け人)「県のあり方を考えるチャンス」(小瀬村仕分け人)などのコメントがありました。
「県が何をしているかわからない」という声は、とくに広島市民から良くうかがいます。わたしも友人からそういう声を聞くことがあり、ちょっとがっくり来ます。
一方で、県は市町への権限移譲後、どういうことをすればよいのかが今ひとつ見えず、職員や県議らの間にも閉塞感が漂っていたのは確かです。それに、前知事の疑惑やリーダーシップの欠如が追い討ちをかけていました。
今回の仕分けで、「ああ、県とはこういうことをしているのか」と県民の皆さんが思っていただければ幸いです。
そして、県政に携わる職員や県会議員も「これからの県はこういうところに手厚くやっていけばよいのか?」「こういうやり方もあるのか?」と考えていくきっかけになればいいですね