【 自民党の阿倍晋三元首相は14日午前、東京都内で記者団に「小沢(一郎)幹事長、鳩山首相が国益ではなく自分たちのためにルールを破った。天皇陛下を政治利用したと談じざるを得ない。今からでも遅くないので、意見を中国側に取り下げてもらうよう要請すべきだ」と語った 】
毎日新聞夕刊1面にあった記事であるが、疑問、問題だらけの言葉であると思う。
なぜ首相よりも先に、民主党幹事長の名前が出てくるのか。「国益ではなく自分たちのために」って、どういう意味だ。この場合の「国益」ってなんだ? 宮内庁ルールを守るのが国益? 「自分たちのためにルールを破った」? 1ヶ月前にという慣行を守らないのが、「自分たちのために」? 今中国とより親密になるのは、大いに日本のためになるのであって、自分たちのためとは言えないはずだが。
そもそも「天皇の政治利用」って、なんだ? ここが不明確だからごちゃごちゃになってしまう。そもそも「一切政治的でなく」なんぞということが、「国事行為」に存在しうるのか? 大体国に関することならば全部政治的なことだろう。ある天皇行為に反対する国民から見れば、その行為は彼にとってはもう「政治的利用」になるはずだろうから。じゃ、どこで一線を画す? 非政治的ってどこで決める? 基本は「内閣の助言と承認に基づいた形式的・儀式的行為」ということだろう。今回でも、それはあったのに、たかが宮内庁が決めたルールにちょっと反しただけではないか。だから、政治的? だから、自分たちの勝手に天皇を政治利用した? 全く、おかしいと思う。
そもそも、全く逆の発想として、こんな事も言えるはず。こういう問題で新政権を揺すぶろうという一派こそ、天皇を政治利用していると。だから、僕にはちゃんちゃらおかしい。
文科省とか外務省とか宮内庁とか、それに防衛省も、小泉以来の自民党鷹派の支配下にあって保守色を強めた官僚たちからは、これからもこんな造反が起こってくるのだろう。そこのミスなどに目を付けて、新政権を一挙に崩そうとの企みとして。警戒が必要だと思う。