九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

掌編小説  「『日本精神』エレジー」  文科系

2009年12月17日 20時08分49秒 | 文芸作品
「貴方、また『勉強』? 伊都国から邪馬台国への道筋だとか、倭の五王だとか?」
 連れ合いのこんな苦情も聞き流して、定年退職後五年ほどの彼、大和朝廷の淵源調べに余念がない。目下の大変な趣味なのだ。梅の花びらが風に流れてくる、広縁の日だまりの中で、いっぱいに資料を広げている。
「そんな暇があったら、買い物ぐらいしてきてよ。外食ばっかりするくせに一日中そんなことばっかりやってて」
「まぁそう言うな。俺やお前のルーツ探しなんだよ。農耕民族らしくもうちょっとおっとり構えて、和を持って尊しとなすというようにお願いしたいもんですな」

 彼の趣味、一寸前まではもう少し下った時代が対象だった。源氏系統の家系図調べに血道を上げていたのだ。初老期に入った男などがよくやるいわゆる先祖調べというやつである。その頃はたびたび、夫婦でこんな会話が交わされていたものだった。
「源氏は質実剛健でいい。平氏はどうもなよなよしていて、いかんな」
「質実剛健って、粗野とも言えるでしょう。なよなよしてるって、私たちと違って繊細で上品ということかも知れない。一郎のが貴方よりはるかに清潔だから、貴方も清潔にしてないと、孫に嫌われるわよ」
 こんな夫に業を煮やした奥さん、ある日、下調べを首尾良く終えて、一計を案じた。
「一郎の奥さんの家系を教えてもらったんだけど、どうも平氏らしいわよ」
「いやいやDNAは男で伝わるから、全く問題はない。『世界にも得難い天皇制』は男で繋がっとるんだ。何にも知らん人だな」
「どうせ先祖のあっちこっちで、源氏も平氏もごちゃごちゃに決まってるわよ。孫たちには父親のが大事だってことにも、昔みたいにはならないしさ」
 これに対して一応の反論を試みてはいたが、彼の「勉強」がいつしか大和朝廷関連へと移って行ったという出来事があったのだった。

 広縁に桜の花びらが流れてくるある日曜日、この夫婦の会話はこんな風に変わった。
「馬鹿ねー、南方系でも、北方系でも、どうせ先祖は同じだわよ」
「お前こそ、馬鹿言え。ポリネシアとモンゴルは全く違うぞ。小錦と朝青龍のようなもんだ。小錦のがおっとりしとるかな。朝青龍はやっぱり騎馬民族だな。ちょっと猛々しい所がある。やっぱり、『伝統と習慣』というやつなんだな」
「おっとりしたモンゴルさんも、ポリネシアさんで猛々しい方もいらっしゃるでしょう。猛々しいとか、おっとりしたとかが何を指すのかも難しいし、それと違う面も一緒に持ってるという人もいっぱいいるわよ。二重人格なんてのもあるしさ」
 ところでこの日は仲裁者がいた。長男の一郎である。読んでいた新聞を脇にずらして、おだやかに口を挟む。
「母さんが正しいと思うな。そもそもなんで、南方、北方と分けた時点から始めるの」
「自分にどんな『伝統や習慣』が植え付けられてるかはやっぱり大事だろう。自分探しというやつだ」
「最近の風潮にちょっと腹が立ってるから喋るよ。世界の現世人類すべての先祖は、同じアフリカの女性だという学説が有力みたいだよ。ミトコンドリアDNAの分析なんだけど、仮にルーシーという名前を付けておこうか。二十万年から十二万年ほど前にサハラ以南の東アフリカで生まれた人らしい。まーアダムのお相手イヴとかイザナギの奥さんイザナミみたいなもんかな。自分探しやるなら、そこぐらいから初めて欲しいな」
「えーっつ、たった一人の女? そのルーシー、さんって、一体どんな人だったんだ?」
「二本脚で歩いて、手を使ってみんなで一緒に働いてて、そこから言語を持つことができて、ちょっと心のようなものがあったと、まぁそんなところかな」
「心のようなもんってどんなもんよ?」
「昔のことをちょっと思い出して、ぼんやりとかも知れないけどそれを振り返ることができて、それを将来に生かしていくのね。ネアンデルタール人とは別種だけど、生きていた時代が重なっているネアンデルタール人のように、仲間が死んだら悲しくってお墓を作ったかも知れない。だから当然、家族愛もあっただろうね。右手が子ども以下に萎縮したままで四十歳まで生きたネアンデルタール人の化石もイラクから出たからね。こういう人が当時の平均年齢より長く生きられた。家族愛があったという証拠になるんだってさ」
 横合いから妻が口を出す。
「源氏だとか平氏だとか、農耕民族対狩猟民族だとか、南方系と北方系だとか、敵を探し出してきてはケンカするのが男の人たちってホント好きなんだから。ルーシーさんがきっと泣いてるわよ」
「そんな話は世間を知らん女が言うことだ。『一歩家を出れば、男には七人の敵』、この厳しい国際情勢じゃ誰が味方で誰が敵かをきちんと見極めんと、孫たちが生き残ってはいけんのだ。そもそも俺はなー、遺言を残すつもりで勉強しとるのに、女が横からごちゃごちゃ言うな。親心も分からん奴だ!」

 それから一ヶ月ほどたったある日曜日、一郎がふらりと訪ねてきた。いそいそと出された茶などを啜りながら、意を決した感じで、二人っきりの兄妹のもう一方の話を切り出す。
「ハナコに頼まれたんだけどね、付き合ってる男性がいてさー、結婚したいんだって。大学時代の同級生なんだけど、ブラジルからの留学生だった人。どう思う?」
「ブ、ブラジルっ!! 二世か三世かっ?!」
「いや、日系じゃないみたい」
「そ、そんなのっつ、まったーくだめだ。許せるはずがない!」
「やっぱりねー。ハナコは諦めないと言ってたよ。絶縁ってことになるのかな」
「そんなこと言わずに、一度会ってみましょうよ。いい人もいるはずでしょうし」
「アメリカから独立しとるとも言えんようなあんな国民、負け犬根性に決まっとる。留学生ならアメリカかぶれかも知れん。美意識も倫理観もこっちと合うわけがないっ!!」
「あっちの方は黒人とかインディオ系とかいろいろいらっしゃるでしょう?どういう方?」
「全くポルトガル系みたいだよ。すると父さんの嫌いな、白人、狩猟民族ということだし。やっぱり、まぁ難しいのかなぁ」
「私は本人さえ良い人なら、気にしないようにできると思うけど」
「難しいもんだねぇ。二本脚で歩く人類は皆兄弟とは行かんもんかな。『日本精神』なんて、二本脚精神に宗旨替えすればいいんだよ。言いたくないけど、父さんの天皇大好きもどうかと思ってたんだ」
「馬鹿もんっ!!日本に生まれた恩恵だけ受けといて、勝手なことを言うな。天皇制否定もおかしい。神道への冒涜にもなるはずだ。マホメットを冒涜したデンマークの新聞も悪いに決まっとる!」
「ドイツのウェルト紙だったかな、『西洋では風刺が許されていて、冒涜する権利もある』とか言ってた新聞。これは道徳の問題かも知れないけど禁止はできないと言ってるんだと思う。ましてや税金使った一つの制度としての天皇制を否定するのは、誰にでも言えなきゃおかしいよ。国権の主権者が政治思想を表明するという自由の問題ね」
「私はその方にお会いしたいわ。今日のところはハナコにそう言っといて。会いもしないなんて、やっぱりルーシーさんが泣くでしょうねぇ」 
「お前がそいつに会うことも、絶対許さーん! 全くどいつもこいつも、世界を知らんわ、親心が分からんわ、世の中一体どうなっとるんだ!!」
 と、男は一升瓶を持ち出してコップになみなみと注ぐと、ぐいっと一杯一気に飲み干すのだった。

(06年7月16日の当ブログ初出 再掲)
コメント (4)
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排外主義の団体・・在特会に注目      ネット虫

2009年12月17日 01時52分34秒 | Weblog
★鳩山政権に替ってから、東アジアとの外交が活発になってきました。それに対抗するように排外主義とりわけ在日朝鮮人を排除しようとする団体の動きが活発になっています。
 
★その中でも「在特会」という団体が日本の各地で運動を活発化させています。

名古屋市博物館の展示を妨害した「在特会」

名古屋市博物館で在日韓人歴史資料館」が12/8-13日に行なった
展示「在日100年の歴史を後世へ」に対して、「在日特権を許さない市民の
会」(在特会)が特に初日の8日、博物館前で街宣車を伴い、20人ほどが
歩道で7~8本の大きな日ノ丸を振りながら喚きたて、開館するや3階の
展示場に押し寄せて、怒鳴り声で詰問しまくったとのこと。

■京都第一朝鮮初級学校に在特会が暴挙
http://list.jca.apc.org/public/cml/2009-December/002238.html
   【参照】在日特権を許さない市民の会「関西支部が在日朝鮮人に不法占拠されてきた児童公園を奪還!」
http://www.zaitokukai.com/modules/news/article.php?storyid=308

■在日特権を許さない市民の会
提供: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2009年10月22日 - 会員数7000名突破。
2009年10月31日 - お笑い芸人・品川祐がNHKのテレビ番組「ジェネレーションY」で外国人参政権に賛成する旨を発言したこと[要出典]を「売国的」として大阪・ミナミにて街宣を行う。
2009年11月1日 -会員45名と地方議員1名を伴って朝鮮大学校に街宣を敢行。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%A8%E7%89%B9%E4%BC%9A

■≪朝鮮学校への攻撃を許さない!12・22緊急集会≫
―日本社会の排外主義を問う―
http://www5d.biglobe.ne.jp/~mingakko/sasaeruki091204c.htm

★在特会とは会のHP http://www.zaitokukai.com/より

在日特権を許さないこと…極めて単純ですが、これが会の設立目的です。
では在日特権とは何か? と問われれば、何より「特別永住資格」が挙げられます。これは1991年に施行された「入管特例法」を根拠に、旧日本国民であった韓国人や朝鮮人などを対象に与えられた特権です。在日特権の根幹である入管特例法を廃止し、在日をほかの外国人と平等に扱うことを目指すことが在特会の究極的な目標です。しかしながら、過去の誤った歴史認識に基づき「日帝の被害者」「かわいそうな在日」という妄想がいまだに払拭されていない日本社会では、在日韓国人・朝鮮人を特別に扱う社会的暗黙の了解が存在しているのも事実です。

ここで考えなければならないのはこうした在日を特権的に扱うことを許容してきたのは我々日本側であるということです。在特会はこの異常な現状を変えていくため、過去の歴史認識の是正や在日特権の現状を多くの国民に周知していきます。そして、在日韓国人・朝鮮人に対して日本が謝罪する必要も、特別扱いをする必要も何らとしてないことを理解して頂き「入管特例法」の廃止を目指していきます。
→設立主旨を詳しく見たい方はこちら
→在日Q&A(ザイ子ちゃんシリーズ)を見たい方はこちら
→「7つの約束」はこちら
在特会の主張・活動に賛同いただけます方は、左側サイドメニューにあります 会員登録 から入会手続きを行ってください。会則に同意いただき在特会の主張・活動に賛同頂けます方なら、どなたでもご入会いただけます。入会後は皆さまのできる範囲で在特会の活動をご支援いただくことをお願いします。皆さまのご入会を在特会運営一同心よりお待ちしております。

平成19年6月9日 在日特権を許さない市民の会 会長 桜井誠

またhttp://www.stickam.jp/profile/zaitokukaiには彼らの活動を宣伝した動画も
見ることができます。
コメント (8)
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