今日の中日新聞に僕が恐れていた言葉で言えば標記のような記事が載っている。15面のほとんどを使った「甲状腺検査で不安は消えず」。1面のこの記事紹介名では「甲状腺検査 募る不信感」とある。以下に、まずこの記事を要約する。中日新聞を読んでいるのは全国的には限られた人だから、意味が大きいと思うのだ。そして、次に、こういう動きの「意味」を書いた、以前の拙コメントを再掲したい。以前5月3日だったかの只今さんエントリ-「関電は、はっきり言った。再稼働と電力不足は関係ない」でこんなことを書いたが、この文中最後4行のことが現実となって始まっていると、僕はこの記事をそう読んだ。
まず、記事の要約。【 】文章は本文から取ったもの。
事故時18歳以下であった子ども36万人について、甲状腺の超音波検査を行うことになっている。そして、線量が高かった警戒区域13市町村、38,114人の子どもについて3月末に検査結果が出て、それが発表された。【5ミリ以下のしこりや20ミリ以下ののう胞を認めたもの35.3%】、【5ミリ超のしこりや20ミリ超ののう胞を認めたもの0.5%】、【直ちに二次検査を要するもの0%】という結果であった。さて、その扱いとか、親の質問への対処とかを記者が追跡して【「甲状腺検査 募る不信感」】をあちこちで確認したと、これがこの記事の趣旨である。まず、どんな不信があったか。
要するにこういうことだ。
家庭への結果報告では【「しこりなのか、のう胞なのかも分からない。健康な子どもにも存在するのか、なんらかの異常なのか。次の検査は2年ごと言われても・・・・」】。そこで、0.5%に入った検査を受けたある子どもの母親ユキ子さんが、実際に県の委託検査機関福島県立医大に問い合わせた例が載っていた。その返事がこう。「担当の先生は忙しくてすぐに返事できない」から、「説明は裏面を読んで」だけ。こんな記事文も見られたものだ。
【ユキ子さんは検査に付き添ったが、医師の説明はなかった。その理由を聞くと「隣の人に聞こえてしまうので」。納得できなかった】
極めつきはこのこと。県立医大の副学長が、1月16日付で日本甲状腺学会会員の医師にこんな文書を出したらしい。
【2次検査の対象にならない子どもの保護者からの問い合わせや相談には「次回の検査を受けるまでの間に自覚症状が出現しない限り、追加検査は必要がないことをご理解いただき、十分にご説明いただきたく存じます」】
最後に、チェルノブイリ事故後遺症に詳しい医師などを登場させて、その発言。
【「チェルノブイリ事故後に18歳未満の子を対象とした検査結果で、直径5ミリ超のしこりとのう胞がそれぞれ約0.5%現れたとの文献がある」(中略)「しこりについてはチェルノブイリと同程度と言える。しかし、のう胞をより大きな20ミリ以下と20ミリ超で分けており、直径の比較ができない」(中略)「少なくとも半年に一回は経過を検査する必要がある」】
また別の医師は、影響がない地域の子どもを調べ比較する方法も、やる気があればできるはずだと語り、さらにこんな言葉を重ねていた。
【「チェルノブイリでは5年以上の潜伏期間を経てがん発症が増えだした。他の病院の検査を望む人も多いはず。県立医大が、問い合わせがあっても2年後まで検査は必要ないと説明するよう求めた文書を出したのは本末転倒だ」】
次が、5月3日に書いた拙コメント。
【 自民党もそうだけど、官僚こそ原子力村の本当の主と、判明した。これは、佐藤栄佐久氏がその長年の闘いを描いた著作で、「驚いたことに、本当の狢は官僚だった」と既に書いている、その通り。
そして、選挙で入れ替わる政治家と違って官僚は、滅多に辞めさせられないのだからたちが悪いこと甚だしい。それを百も承知だからこそ、歴史的に築かれてきたその強固な組織を上げて、ムラの廃止に今でも抵抗しているのだ。これに抵抗し始めたから、菅はあっと言う間に辞めさせられたのだし、小沢へのそのシウチを見ると、彼らに抵抗する実力政治家はむしろ不要だと考えているということだろう。
事務屋が今や政治の主になって、自民党長期政権を潰し、民主党を割らせたと、振り返ればこれが今の日本政治の歴史的現状と言える。不法にも使用人が政治権力を乗っ取って、その揚げ句が福島という政治的大惨事に突き当たったということだ。それでもなお、その責任をうやむやにすべく、この不法大権力を行使している真っ最中なのだと思う。
これを逆に語ればこういうことだろう。福島大惨事責任がうやむやのまま再稼働が続けられるならば、彼らの不法政治大権がさらに深化するということ。「毒を喰らわば皿まで」。悪を隠せばさらなる大悪しか生まれない。それが、物の道理というもの。
これから起こってくる事故の後遺症、放射能被害者、ガン患者などの数も、誤魔化し、隠し続けるのが必然。今の再稼働無理押しもそんな流れであって、この一事が万事というのがこれからの日本政治。そんな連中が政治家と違って辞めさせられないというのだから、本当に大変な国になったものだ。】