Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

終着駅

2009-05-20 09:08:53 | 読書
「その街の今は」は薄くて軽かったので,こんどは薄くても重い本をと,図書館で物色した結果が,
結城 昌治 著「終着駅」講談社文芸文庫 (2005/09).もともとは中央公論に1984年に連載.

*****内容(「BOOK」データベースより)*****
敗戦直後の焼け跡・東京で、ウニ三という正体不明の男がどぶにはまって変死。その位牌はまるで死のバトンの如く引き受けた男達につぎつぎと無造作な死を招き寄せる。絶対的価値が崩壊した後、庶民はいかに生き、いかに死んでいったか? 独白体、落語体、書簡体等、章毎に文体を変え、虚無と希望の交錯する時代を活写。『軍旗はためく下に』の戦争テーマを深化した純度高い傑作。吉川英治文学賞受賞。
**********

上に「章毎に文体を変え」とあるが,賞の中でも文体が変わる.登場人物がやたらと多くて,時間を空けて読むと大変だったが,ページをひっくり返しながら最後まで読んだ.位牌を預かった人が死ぬ.次の人はふたつの位牌を預かってまた死んで行くという連鎖で.死人も位牌の数も増えていくというやりきれない展開.
最後近く,最初に死んだウニ三が犬になってしまったのはびっくり.

...と書くとミステリーみたいだが,純文学の貌をしない純文学だ.小生は戦中戦後を幼児体験しているためか,引き込まれてしまったが,若いひとはどう思うだろうか.

解説 常磐新平.
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