Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

黒牛と妖怪

2009-05-26 10:04:32 | 読書
風野真知雄著 (新人物文庫 新人物往来社 2009/5/11)

歴史文学賞という言葉から想像したよりも軽くて朗らかなエンタメ小説.このジャンルはあまり読んだことがないので,個人的には新鮮だった.

*****内容(「BOOK」データベースより)*****
江戸が東京と改まった明治の世。幕府の崩壊で二十三年間の幽囚の身を解かれ、文明開化のすすむ東京に舞いもどった男がいた。かつて幕府の要人として江戸市民から「妖怪」と恐れられた洋風嫌いのその老人が、密かにたくらんだ奇想天外な一件とは…。歴史文学賞受賞のデビュー作「黒牛と妖怪」、黒船撃退に破天荒な戦法でのりだした長屋住人の騒ぎを描く「新兵衛の攘夷」ほか、「檻の中」「秘伝 阿呆剣」「爺」の五篇を収録。
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以下 ネタばらし.
表題作はミステリの古典的列車消失トリックの陸蒸気への応用.表に出てくるのは晩年の鳥居耀蔵だが,その孫の嫁のおてんばな視点で描かれている.遠山の金さんの孫の金田一少年みたいな探偵役,その黒幕・勝海舟などが賑やかに登場.
「檻の中」では勝海舟の父・勝小吉が座敷牢の中で安楽椅子探偵役を務めるのだが,漢字が苦手のために馬鹿馬鹿しい結果に終わる.
ミステリっぽいのはこの2篇だが,「秘伝 阿呆剣」に登場するあっけらかんとしたお母上もいい感じ.「新兵衛の攘夷」は主人公の浪人および,同じ長屋の住人達から見た蒸気船騒動.最後の「爺」だけが織田信長が出て来る等,主人公も時代も変わっている.

新しい文庫.
帯を最初から印刷してしまったようなカバーデザインだが,牛がバスタブから立ち上がっている場面を想像してしまった.
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