Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

さよならドビュッシー

2011-01-18 09:53:55 | 読書
中山七里著 宝島社文庫(2011/01).

冬休みはこたつでミステリ,というのが昭和の過ごし方だったが,昭和もこたつも,冬休みも,遠くなりにけり.

ところでこちらは,2009年「このミス」大賞受賞作の文庫化.悪くはないが少女マンガを一気読みしたのと似た読後感.さきの「愛おしい骨」と比べるといかにも軽い.

解説 (大森望) に,音楽+スポ根+ミステリのハイブリッドとある.
スポ根というのは,火災にあって全身に皮膚移植を受けた女子高生ヒロインが艱難辛苦の末ピアノコンクールで優勝するというストーリーだから,リハビリの描写に迫力.高校でもちゃんと いじめられたりする.

著者は女性と思っていたが違うそうだ.ピアノも弾けないらしい.でも,ピアノの楽曲や奏法については,素人を韜晦出来る程度に十分上手に描いてある.ショパンやドビュッシーを弾いている方の意見を聞きたいもの.タイトルは,コンクールで「月の光」と「アラベスク」を弾くから.このコンクールでは,最後はとっさの判断で,彼女は山下洋輔みたいな奏法で弾くのだ.

でもミステリとしては... ヒロインの一人称で語られて,最後のどんでん返しは辛い.本格派の視点からはルール違反すれすれかも.

カバーイラストはなかなかの力作.女性の作かと思ったら,これも外れだった(北沢平祐 or PCP).
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg