Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

どこ行くの,パパ ?

2013-02-15 07:45:30 | 読書
ジャン=ルイ・フルニエ,河野万里子 訳 白水社(2011/02).

「BOOK」データベースより*****
外では、常に人を笑わせるユーモア作家。家では、重度の障害を持つ二人の子の父。フランス中を感動に包んだ、実話に基づく笑いと涙の物語。フェミナ賞受賞作。*****

上記惹句は月並みすぎる.「笑い」と言っても自虐的なブラックユーモアで.作者は本の中で
「おまえは自分のこともままならない小さなふたりの子どもを冗談のネタにしたりして,恥ずかしくないのか ?
恥ずかしくない.そんなことで,愛情は減ったりしない.」
と自問自答している.

くちひるで「ブルンブルン」をやるだけの長男は早世してしまうが,1分おきにおなじ無邪気さで「どこ行くの,パパ ?」と聞く次男は30歳くらいで存命らしい.葛藤のすえに生んだ3人目の女の子は正常だった.

1-2 ページの断章の積み重ね.妻は父子を残して出て行ったらしいが,そう言うことは詳しくは語られない.

著者は有名人で,そんな彼が70歳を目前にして明かした私生活にフランス中が驚いた,と言うことだ.そんな事情は知らなくても,読み出したら頭から離れない本.フランスでも,著者は忘れられてもこの本は残るのではないだろうか.

白水社ではなく,もっと売ることに熱心な出版社から文庫化して貰いたい...なんて.
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