Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「物」不在の物理学

2013-02-21 08:31:08 | エトセト等
「経済物理学」という言葉が新聞に出ていた.この本

高安秀樹「経済物理学の発見」光文社新書 (2004/09)

によれば,カオスとかフラクタルとかを経済現象の分析と制御に応用することらしい.
その昔,16 トンもカルマンフィルタなんかを知ったとき,これで株価の予測ができるのではないか,と考えたことがある.経済物理学はあの方向だろうと思う.

人間の思考も行為も化学現象,遡れば物理現象だし,人間の集合が引き起こす経済現象も,原理的には統計力学的に説明できるかもしれないが,このやり方は手に負えないのは明らかだ.とりあえず使えそうな物理の理論を場当たり的に経済に応用している段階.でも,エントロピーから始まった情報理論が到達した完成度は,経済物理にはないようだ.

いまの経済物理学よりももっと広い視野で,経済学を考えたらどうなるだろうか.

一般的な物理学の対象は「物」と「場」であろう.これに対応する経済学の対象は何だろう.お金あるいは貨幣価値だろうか.お金の偏りやばらつきを時間的空間的に研究することは,天気予報のようなものと思う.天気は気圧の揺動 fluctuation の結果であり,それなら経済現象はお金の存在の揺動だろうと,16 トンは考える.お金に偏りが生じると,それが成長したり (不安定性) 収まったりするところは,現在の経済物理学の得意分野である.

気圧の場合は基準値からの定量的なプラス・マイナスが分かりやすいが,お金についてはよく分からない.「物」という,実体のある物に貨幣価値を付けることは分かりやすいが,芸術・娯楽あるいは情報など実体のないものにも貨幣価値がついているのが困る.しかしマル金とマルビを積分するとゼロになるのは信憑性がありそうだ.貨幣価値はインフレ・デフレで変わるが,それは単に尺度が変わるだけで,地球全体では貧富を合計するとゼロになるという,ある種の保存則が成り立ちそう.

戯言でした.
コメント (2)
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