ジュゼッペ・トルナトーレ,柱本元彦訳,人文書院(2013/11).
「BOOK」データベースによれば「厳格さで知られる初老の美術鑑定士と決して姿を見せない謎の女.美術と骨董とオークションの世界に彩られた鮮やかなミステリー.」
同名の映画が公開された直後に出版されたが,訳者あとがきには,これは映画の原作ではなく,さりとてノベライズでもないと書いてある.著者まえがきには,映画監督である著者が,映画の構想をプロデューサーに話す前に書いた 30-40 ページの「仮初めの書き物」を出版社のすすめに応じて物語にしたとあった.
映画そのものは受賞多数で,昨年度イタリアで最も高く評価されたとのことである.
実はきれいで薄い本なので,図書館で借りたので,映画については何も知らなかった.
表紙図版はペトルス・クリストゥス「若い女の肖像」1470 頃だが,カバーでは一部だけ切り取られて原画よりミステリアスである.
長さで比べると,「戦争と平和」のような大河小説が,いくつかに分割してもせいぜい数時間の映画になってしまう.
逆にこの A5 版の日本語の本は本文 80 ページ弱だが,映画にすればやっぱり2時間くらいかなと思う.
文章では「家があった」で済むところが,映像では壁の色.窓の大きさ,庭の樹木なども写るので,圧倒的に情報量が多い.必要な情報だけでなく,一見不要な情報もふくめた映像の作り方が映画作家の腕の見せ所なんだろう.
この本はあっさりし過ぎていると追うのだが,その原因は映画を前提に書いたのに映像がないためだろう.
訳者氏は「映画とセットにして読むべきだろう」と書いているが,あとがきでそう書かれても...と思う.これが昨年公開された映画の予告編.
「BOOK」データベースによれば「厳格さで知られる初老の美術鑑定士と決して姿を見せない謎の女.美術と骨董とオークションの世界に彩られた鮮やかなミステリー.」
同名の映画が公開された直後に出版されたが,訳者あとがきには,これは映画の原作ではなく,さりとてノベライズでもないと書いてある.著者まえがきには,映画監督である著者が,映画の構想をプロデューサーに話す前に書いた 30-40 ページの「仮初めの書き物」を出版社のすすめに応じて物語にしたとあった.
映画そのものは受賞多数で,昨年度イタリアで最も高く評価されたとのことである.
実はきれいで薄い本なので,図書館で借りたので,映画については何も知らなかった.
表紙図版はペトルス・クリストゥス「若い女の肖像」1470 頃だが,カバーでは一部だけ切り取られて原画よりミステリアスである.
長さで比べると,「戦争と平和」のような大河小説が,いくつかに分割してもせいぜい数時間の映画になってしまう.
逆にこの A5 版の日本語の本は本文 80 ページ弱だが,映画にすればやっぱり2時間くらいかなと思う.
文章では「家があった」で済むところが,映像では壁の色.窓の大きさ,庭の樹木なども写るので,圧倒的に情報量が多い.必要な情報だけでなく,一見不要な情報もふくめた映像の作り方が映画作家の腕の見せ所なんだろう.
この本はあっさりし過ぎていると追うのだが,その原因は映画を前提に書いたのに映像がないためだろう.
訳者氏は「映画とセットにして読むべきだろう」と書いているが,あとがきでそう書かれても...と思う.これが昨年公開された映画の予告編.