スティーブン・エモット,満園 真木 訳,マガジンハウス(2013/8).
著者はマイクロソフト・リサーチ計算科学研究所所長.オックスフォード大学計算科学客員教授、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ計算生物学客員教授.
地球の人口は,1800年に10億,1960年に30億,2010年に70億,2050年に90億??
地球が支えきれる人口は有限であり,今まさにその限界が迫っていると説く.その論拠はいろいろなパラメータの外挿であって,単純であるがゆえに説得力がある.
字が少なく,レイアウトが工夫されていて,パワーポイントのような感じ.すぐに読み切れる.
目次にも文章が並んででいる.本の要旨を述べる代わりに,以下に目次から抜粋すると...
- 地球には何百万という種の生物がすんでいます。それをたったひとつの種が支配しています。わたしたちです
- わたしたちの人口はどうやってこれだけ増えたのでしょう
- 食料の需要が増えていることはべつに意外ではありません。意外なのは、食料需要の増加のペースが、人口増加のペースを大きく上回っていることです
- 現在、10 億人以上の人々が、深刻な水不足の状況のもとで暮らしています
- 現在の農業のやり方で、そして現在の消費ペースで、100 億人の人口を食べさせられる手段は、今のわたしたちにはありません
- 今世紀末までに、地球上のかなりの場所で、使える水が満足に手に入らなくなってしまいます
- 予想される需要をまかなうには、今世紀末までに、エネルギー生産を少なくとも3倍に増やさなければなりません
- わたしたちが今まさに直面しつつある気候問題は、まったくスケールが違います (16 トン注:この項特に思い当たるところが多い!)
- どの方向に目を向けても、人口 100 億人の地球は悪夢以外の何ものでもありません (16 トン注:エネルギー生産の増加が地球を汚染し食糧生産効率を低下させるという悪循環)
- 科学技術の力で切り抜けられないとすれば、残された唯一の方法は、わたしたちの行動を変えることしかありません
- わたしたちはこれからどうなるのでしょう
小惑星が何月何日に地球と衝突する軌道にあるとわかったとすれば,そしてそのために地球上の生物の7割が死滅するとわかれば,世界中の政府は一致団結して行動を起こすだろう.我々の置かれた状況は X デーが明確でないとはいうものの,小惑星衝突となんら変わりはない.
しかし著者は科学技術による解決は否定的で,人類のこの問題への対応には悲観的.生物進化史上急激に繁栄した種は急激に滅ぶ.人類も例外ではない.「わたしたちはもうダメだと思います」が結論である.
この本は理科系の視点で書かれているが,社会科学的な視点ではどうなるのだろうか (とはいえ,16 トン自身は社会科学・人文科学が現実問題を解決できると思ってはいないが).
食糧問題の一因は先進国の大衆のグルメ化だが,ピケティのいうような二極化が進めば,グルメたり得るのはほんの一握りの人種で,残りは食うや食わずということになりそうだ.
著者の視野は全世界的で,個々の国家には言及していない.日本は幸い ? 少子化が進んでいるし,比熱が大きい海水に囲まれていて気候変動に影響され難い.中国からの「気候難民」に国土を乗っ取られる危険が大きそう.
人口問題は後進国に集中した問題だが,かっての後進国ニッポンも数十年で少子化国家になった.このあたりに解決の手がかりがありそうだ.
図書館で借用.
著者はマイクロソフト・リサーチ計算科学研究所所長.オックスフォード大学計算科学客員教授、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ計算生物学客員教授.
地球の人口は,1800年に10億,1960年に30億,2010年に70億,2050年に90億??
地球が支えきれる人口は有限であり,今まさにその限界が迫っていると説く.その論拠はいろいろなパラメータの外挿であって,単純であるがゆえに説得力がある.
字が少なく,レイアウトが工夫されていて,パワーポイントのような感じ.すぐに読み切れる.
目次にも文章が並んででいる.本の要旨を述べる代わりに,以下に目次から抜粋すると...
- 地球には何百万という種の生物がすんでいます。それをたったひとつの種が支配しています。わたしたちです
- わたしたちの人口はどうやってこれだけ増えたのでしょう
- 食料の需要が増えていることはべつに意外ではありません。意外なのは、食料需要の増加のペースが、人口増加のペースを大きく上回っていることです
- 現在、10 億人以上の人々が、深刻な水不足の状況のもとで暮らしています
- 現在の農業のやり方で、そして現在の消費ペースで、100 億人の人口を食べさせられる手段は、今のわたしたちにはありません
- 今世紀末までに、地球上のかなりの場所で、使える水が満足に手に入らなくなってしまいます
- 予想される需要をまかなうには、今世紀末までに、エネルギー生産を少なくとも3倍に増やさなければなりません
- わたしたちが今まさに直面しつつある気候問題は、まったくスケールが違います (16 トン注:この項特に思い当たるところが多い!)
- どの方向に目を向けても、人口 100 億人の地球は悪夢以外の何ものでもありません (16 トン注:エネルギー生産の増加が地球を汚染し食糧生産効率を低下させるという悪循環)
- 科学技術の力で切り抜けられないとすれば、残された唯一の方法は、わたしたちの行動を変えることしかありません
- わたしたちはこれからどうなるのでしょう
小惑星が何月何日に地球と衝突する軌道にあるとわかったとすれば,そしてそのために地球上の生物の7割が死滅するとわかれば,世界中の政府は一致団結して行動を起こすだろう.我々の置かれた状況は X デーが明確でないとはいうものの,小惑星衝突となんら変わりはない.
しかし著者は科学技術による解決は否定的で,人類のこの問題への対応には悲観的.生物進化史上急激に繁栄した種は急激に滅ぶ.人類も例外ではない.「わたしたちはもうダメだと思います」が結論である.
この本は理科系の視点で書かれているが,社会科学的な視点ではどうなるのだろうか (とはいえ,16 トン自身は社会科学・人文科学が現実問題を解決できると思ってはいないが).
食糧問題の一因は先進国の大衆のグルメ化だが,ピケティのいうような二極化が進めば,グルメたり得るのはほんの一握りの人種で,残りは食うや食わずということになりそうだ.
著者の視野は全世界的で,個々の国家には言及していない.日本は幸い ? 少子化が進んでいるし,比熱が大きい海水に囲まれていて気候変動に影響され難い.中国からの「気候難民」に国土を乗っ取られる危険が大きそう.
人口問題は後進国に集中した問題だが,かっての後進国ニッポンも数十年で少子化国家になった.このあたりに解決の手がかりがありそうだ.
図書館で借用.