Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

小説・滝廉太郎

2019-11-06 09:33:54 | 読書
谷津矢車「廉太郎ノオト」中央公論社(2019/9).

アマゾンの内容紹介
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廉太郎の頭のなかには、いつも鳴り響いている音があった――

最愛の姉の死、厳格な父との対立、東京音楽学校での厳しい競争、孤高の天才少女との出会い、旋律を奏でることをためらう右手の秘密。
若き音楽家・瀧廉太郎は、恩師や友人に支えられながら、数々の試練を乗り越え、作曲家としての才能を開花させていく。そして、新しい時代の音楽を夢みてドイツ・ライプツィヒへと旅立つが……。「西洋音楽不毛の地」に種を植えるべく短い命を燃やした一人の天才の軌跡を描き出す。

時代小説家最注目の俊英が、ついに新境地・明治へ!
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実名の登場人物が魅力に溢れている.

ラファエル・フォン・ケーベル 夏目漱石が言うところの「ケーベル先生」.哲学者として有名だが,ここではピアニストとしても音楽家としても最高とされている.廉太郎にピアノを教える.

幸田幸 漢字回文というのかな? ふざけた名前だが幸田露伴の妹.天才バイオリニスト.鼻っ柱が強く廉太郎のライバル.こちらをヒロインにした方が面白い小説が書けそう.その姉・幸田延も音楽教育家として登場する.

他に土井晩翠・柴田環 (後の三浦環) も登場場面は少ないがいいところをみせる.

享年23歳の廉太郎が,死の床で「無調の音楽」に思いを馳せるのは,著者の創作だろうか.
最後が「もういくつ寝るとお正月」で終わるのが,良い.
10ばかりの「主な参考文献」の8番目が,拙著「音律と音階の科学」だった.ありがとうございます.

これは廉太郎の遺作「憾」.演奏:林品安(Pin-an Lin).「メヌエット」という可愛い曲もあるが,日本最初のピアノ曲だそうだ.

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