タイトルは「近視者の見る映像を絵にする」という意味.生まれて初めて眼鏡をかけたときは,周囲が「総天然色映画」のように見えると思った.白内障の手術後眼帯をとったときも感激したものだ.
そこで近視用眼鏡を外すと,光が滲んで,世界がまた違って見える.かって「話の特集」という雑誌があり,そこにジャズピアニスト佐藤允彦氏が,「近視の世界」と題し (あるいは,似たようなタイトルで),数枚の大きなモノクロのピンボケ写真をグラビアページに出していたのをみて共感した.
ざくろの絵を1枚目はせいぜい見たとおりに描いたが, あまりおもしろくない.もっと細部を省略したい.そこでもと物理教師として考えるのは,空間的ローパスフィルタの適用 : はやいはなしが近視者に見えるように描くことである.左がモデル?の写真,右端が細部を省略し適当に描いた結果.
物理的に対象にローパスフィルタを適用した像を得るには (ここまで論文調) 佐藤流にピンボケ写真を撮ればいいのだが, iPhone カメラでピンボケ写真は難しそう.そこで撮影済みの左写真をピンボケにしてみることにした.使ったのはフリーソフト Gimp.「フィルタ→ぼかし→ガウスぼかし」と進んで,パラメータを適当に設定した一例が中央画像.
右と比べると,わが脳内フィルタも意外とガウス的だったようだ.
究極の省略画法のひつは熊谷守一流だと思う.氏の絵の贋作は多いというが,クマガイ・AIフィルタを用いた贋作製作も可能かもしれない.