Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

僕の呪文と抽象絵画

2019-11-22 09:21:40 | 新音律
津高和一・架空通信忌運営委員会,神戸新聞総合出版センター (2006/1).
古本屋の店頭で100円.その前は奥の棚に500円の値がついていた.

津高 和一 (1911-1995) は洋画家で詩人.海外での評価が高いらしい.阪神・淡路大震災で自宅が倒壊し,妻と共にはりの下敷きになって亡くなった.架空通信忌は津高を偲んで2003年から定期的に行われている催し.

わが心の自叙伝,わが自庭展,わが心の眼,の3章+資料.
「...自叙伝」は神戸新聞に連載されたもの.農家に養子に入ってぐれたり,詩人として同人誌を出したり,何度も徴兵されたり,と,若い頃が中心.成功して世の中に認められる経緯は端折ってある.結婚の話など何も書いてない.「めしを食べ,糞をたれる,ただそれだけの行為...」など,表現は文学的だが生々しく直裁で,絵が抽象なのと対象的.

自庭展は,自宅の200坪の庭と邸宅という生活空間を1週間くらい開放して行われたのだそうだ.「わが自庭展」は展覧会の芳名録に肉付けしたような文章.
「わが心の眼」は詩を交えた,エッセイのような美術論.

この画家の作品もこの本に収録されてはいるが,モノクロで小さい.本自体B6, 150ページのペーパーバックで,この内容ならハードカバー・部分カラー印刷が良かったのにと思う.下のは画家自身が「自分の造形らしいものを表現し始めた」と言う,1951年の「母子像」

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