Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

日本の住宅遺産 名作を住み継ぐ

2020-01-01 10:16:21 | 読書
謹賀新年.

伏見 唯 著, 藤塚 光政 写真,世界文化社 (2019/9).
雑誌「家庭画報」連載の単行.図書館本.

Amazon HP より,出版社からの (長すぎる) コメント*****
類書との決定的な違いは、名作住宅を「住み継ぐ」という視点で捉えているところにある。
-(中略)-たとえ日本の建築史に燦然と名を残す、歴々の建築家が作った住宅であっても、今日の日本では住み継がれ、現役として継承されることは簡単ではない。そんな時代背景の中で、幸いにも受け継がれた26軒の名作の運命を紐解いているのが、本書である。画期的なのは、住み継いでいる現住人、あるいは現所有者のかたがたに、著者・伏見 唯氏がインタビューをしている点。丁寧な取材により描かれるのは、建築当時の施主や建築家の想いに始まり、その後どのように住み継がれていったか?そして現在の住まい手がどのように愛しんでいるのか?それぞれの住宅のヒストリーは実録でありながら、短編小説のように端正である。読後には多彩な住み継ぎ方を知ることができるだけでなく、現代の住宅建築の礎を作り上げた名建築家の方々の、住宅に込めた創意工夫を見て取ることができる。巻頭の豊富な口絵写真は、建築写真の第一人者・藤塚光政氏によるもの。「名作」が今なお暮らしの現場として息づく写真を見ながら、それぞれの住いの来し方行く末を読むことができる。建築専門書の枠組みを超えて、誰もが「住い」と自分の関係性を改めて考えたくなる1冊である。*****

写真・記事・平面図の3部構成で,とても読みづらい.カラー写真を巻頭にまとめざるを得ないのは理解できるが,記事と平面図はまとめて欲しかった.カラー写真の縮小モノクロ版が記事に再登場するのも,いいような悪いような.

内容は時期的には
1 戦前の邸宅は、現代住宅になりうるか - 1920~40年代
2 制限と清貧の協奏は、時を超えて響く - 1950~60年代
3 気鋭の観念と理想を、引き受ける - 1970~80年代
に分かれている.
戦前の住宅は重厚.1934年の同潤会「佐々木邸」が徹底した日本家屋.

1953年「コアのあるH氏のすまい」をはじめとする,小さな家に惹かれた.1972年「反住器」,1974年「大和町の家」などは過激な設計だが,それなりに住みこなされているようだ.
かってのわれわれの1985年のつくばの家の設計は小玉祐一郎さん=清家清氏のお弟子さんによるものだった.寝室と居間が連続しているあたり,その清家による1954年「私の家」と似たところがあった.

音楽室と寝室だけみたいな1955年の旧園田高弘邸は,2台のピアノが入った建設当時の写真がなくて残念.園田氏の逝去後,この住宅をだれかが遺産として引き継ぐことが,一般社団法人住宅保存トラスト発足のきっかけになったという.この団体がこの本を監修している.

16とんが住んでいる住宅も,住人たちの逝去後,どなたか住み継いでいただけないだろうか...土に還すというのも,確かにアリとは思うが....
コメント
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