Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

風の又三郎のテーマ

2019-06-16 11:23:43 | 読書
「銀河鉄道の父」や天沢退二郎の詩集を読んだので,その天沢の「謎解き・風の又三郎」 丸善 (1991/12) を書棚から引っ張り出した.「ウタの謎」に一章を割いていた.

戦前 1935 年の映画で杉原泰蔵が宮沢賢治の詩に曲をつけている.
戦後のバラック校舎で,教室間の仕切りを取り払ってこの映画を見せられた.解像度の悪い雨が降るモノクロ画面で,馬を追いかけて嵐の中を迷子になる場面がとても怖かった.
何十年か後に,何かの拍子にこの映画のテーマ音楽を聞いて,一度聞いただけなのにメロディが蘇ってびっくりした.


この音楽は 1989 年の伊藤俊也監督作品「風の又三郎 ガラスのマント」でも使われたという.


天沢の「ウタの謎」は
- なぜこのウタのメロディが残っていないのか? 憲治の死後作られた映画音楽が憲治の意に沿っているかどうかはわからない.
- このウタを「風の又三郎」というストーリーの中で歌っているのは誰か? 初期作品「風野又三郎」との関連.
- りんご・ざくろ・かりん... 何を吹きとばすのか.戦前の映画の歌詞は「甘いりんごも吹きとばせ,すっぱいりんごも吹きとばせ」だが,そう書いた憲治の原稿は残っていない.

天沢さんはこのウタと「風の又三郎」という宮沢作品のマッチングに違和感を感じておられるようだ.

コトバンクによれば,作曲した杉原は映画館でトロンボーンを吹いたのち,ピアノに転向.上海に渡りジャズに励んだ.テイチクに入社後,楽長兼ピアニスト兼作編曲家として活躍した.戦前派ピアニストの5指に数えられる一人とある.

曲を見ると,こどものうたとしては無理があるかもしれないが,7小節の半音ずつ下がるところがかっこいい.全12小節,5小節目で4度上がるところはブルースっぽい.これはこれで良いじゃないか.
「月がとっても青いから」の,菅原都々子のレコードがあったということだ.
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