越前敏弥「名作ミステリで学ぶ英文読解」早川書房 (ハヤカワ新書 2023/6).
6月創刊のハヤカワ新書の第1冊目.紙の本を買ってしまったが,NFT 電子書籍付きとやらにすればよかったと後悔している.
エラリイ・クイーン 『Yの悲劇』 『エジプト十字架の秘密』 『災厄の町』,アガサ・クリスティ 『アクロイド殺し』 『パディントン発4時50分』,コナン・ドイル 『恐怖の谷』の6作から6箇所ずつ,それぞれ1ページ足らずの文を選び,それぞれに数問の問題が出る.この本の帯の「ホームズはなんといった?」もそのひとつ.
6箇所の順番は作品の流れに沿っていて,最後はネタバレに至る.
英米のミステリは学生時代に原文で読んだが,わからない単語があっても辞書を引くことはなく,とにかく筋がわかればいいという読み方だった.この本の設問には半分くらいしか答えられなかった.いったいあの頃ぼくは何を読んでいたんだろう.
また,『Yの悲劇』 から『恐怖の谷』に至る作品群は,ほとんどを読んだはずなのに,筋も登場人物も覚えていないのも驚きだ.
英文読解は高校,いや 予備校以来 (大学の教養課程でもあったかもしれない).その後仕事で真剣に読み書きしたのは,分かりやすく誤解されないことをモットーとする物理の論文で,This is a pen の羅列みたいなもの.今更ながら,小説ならではの英文の面白さとは無縁だったと痛感した.
日本語の小説も斜め読みが身についてしまった.高校の現代国語みたいにねちねちと読んだら,この本同様に多くの発見があるのかもしれない.
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