Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

夭折の画家 三橋節子

2019-07-21 09:12:11 | お絵かき

植松三十里「空と湖水 夭折の画家 三橋節子」文藝春秋 (2019/7).

三岸節子ではない.

Wikipedia から抜粋すると*****三橋節子 1939-1975 は日本画家.の鈴木靖将は日本画家.2児の母.33 歳で鎖骨の癌により利き手の右手を切断.左手で創作を続けたが,35歳で癌の肺転移により他界...*****

という略歴だけでも小説的な生涯.著者あとがきによれば,フィクションとのことだが,ノンフィクションとの境界はよくわからない.

小説は節子が未来の夫君をナンパする場面から始まる.しかし全体におとなしい書き方で,安心して読める.青少年向き? 大人にはちょっと物足りないかな.

節子は京大教授ご令嬢であることにコンプレックスを感じる.彼女は 16 トンと同世代.当時の「ハングリーでなければ芸術家になれない」的な風潮はわかるように思う.右手を切断されたその病院で,子どもにねだられて左手で描き始める場面など,いかにも女性らしい筆致だ.

三橋節子美術館が大津市にあるそうだ.三橋作品には近江の民話に題材をとったものが多い.この本のカバー「三井の晩鐘」と扉の「余呉の天女」は代表作.ネットでみた限りでは 16 トンの好みではないが,植松さんのおっしゃるように,実物をみれば全く印象が異なるのであろう.

西洋絵画で言えば,神話やキリストをテーマにした絵に相当すると思うが,そういう絵が苦手なのだ.梅原猛による「湖の伝説 - 画家・三橋節子の愛と死」新潮社 (1977/1)という評伝...一時新潮文庫に入っていた,にはテーマについて哲学的? に書いてあるのかもしれない.読み比べてみたいところ.

パソコン上では右の赤ちゃんの絵のような,一見 民話と無関係な作品がいいと思った.

図書館で借用.☆☆☆



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