Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

しゃべれどもしゃべれども

2007-05-10 18:14:20 | 読書
佐藤多佳子著 新潮文庫 1997

1994年,本の雑誌でベスト1になった小説だそうだ.この著者の『一瞬の風になれ』が最近本屋大賞と吉川英治文学新人賞を受賞したので,この文庫本も増刷となったのかと思ったら,増刷は映画化されるせいもあるらしい.

二ツ目の落語家の一人称で語られるが,テンポがよく,新幹線片道で読み切れてしまった.読後感もよい.

わけありな大人3人プラス小学生が落語を習いはじめ,いろいろあったのち,彼らの発表会で終わる.もちろん主人公もスランプやら失恋やらで忙しい.落語の生徒の中にはもちろん女の子もいて,最後に予定調和的に主人公と良い感じになる.

しかしストーリーはもっぱら小学生を中心に展開する.著者のホームグラウンドのせいか青春小説のつもりでも児童文学になってしまったらしい.
いじめ問題 (この小説の当事者は多勢に無勢のけんかと称しているが) はこのごろたくさんの小説にネタを提供しているようだ.平和な世の中ならでは...などといったら叱られるだろうか.

枝雀の「まんじゅうこわい」を聞いてみようか.聞き慣れてたのとちがって,途中に怪談ばなしが挿入され,30分もかかるのだそうだ. ただし,この小説の主人公は東京の噺家です.

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鈍行旅行

2007-05-08 12:39:24 | エトセト等
連休に鈍行で広島大阪間を往復した.正確に言えば,往路は山陽本線白市・山陽電鉄月見山,そこから梅田に行き,帰りは大阪から白市まで.

ウェブの乗り換え案内はほとんどが新幹線利用が前提.かろうじて「スパなび時刻表」というのが新幹線不使用を指定できた.スパなびくんの往路のお薦めプランは
白市725-1035播州赤穂1041-1111姫路 (徒歩) 山陽姫路1117-1200山陽須磨1202-1204月見山

ところが白市にやってきた電車には岡山行きのプレート.アナウンスも「岡山行き」だった.しかし福山を過ぎたあたりで「播州赤穂行き」に変身し,結局乗り換えは不要だった.

姫路駅から道路を隔てた別なビルにある山陽電鉄の姫路駅への乗り継ぎは6分では不可能に近い.J子に従って,駅員の静止をふりきり切符を買わずに改札を強行突破.しかし現在の自動改札システムでは,電鉄側がそういうことをされると困ることがわかった.車掌は車内で切符を売らない.着駅は自動改札機があるだけの無人駅.でもインターフォンでどこかにいるらしい係員と交渉してお金を払い,なんとか出ることができた.

写真は月見山商店街の松岡珈琲店.入る機会はなかったが,おいしそうで気になる.

5/3と言うことで,行きはほとんどがらがら.混んだ区間もあったが帰りはスムースだった.
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霧舎巧傑作短編集 (ネタばれご注意)

2007-05-06 20:39:53 | 読書
本格ミステリを自称する4月刊行の講談社文庫.物故作家の短編集みたいなタイトルになんとなく手が出てしまった.

カバー裏には「師・島田荘司の御手洗潔と石岡和己の名コンビが登場する「動物園の密室」.あかずの扉研究会と霧舎学園のメンバーも集結...などと書いてある.ぼくにはなんのことか分からなかったが,分からなくても小説は楽しめた.

諸岡卓真というひとが解説で,伏線の名手とおだてている.7編の短編集だが,7編目にそれまでの6編の登場人物が勢揃いするという趣向.泡坂妻夫の亜愛一郎ものの最終回と同じ趣向...と思ったら,作者は泡坂ミステリが好きと,同じ解説に書いてあった.でもこの7編目はやっぱりおまけの出来.キリン舎と霧舎のこじつけは,苦しい.

どれもおたくっぽく,無機的な作品だなと思って読み進んでいったら,「月の輝く夜に」でとつぜんトーンが甘くかわった.
大路浩実のカットがよい.
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旧西尾邸,いまはレストラン

2007-05-04 21:29:04 | エトセト等
風光明媚な神戸・須磨の地にはかつて,大正天皇の離宮や数々の邸宅が軒を並べていた.
そのひとつが,神戸の貿易商が迎賓館として建てた『西尾邸』.

建物と庭園が神戸市の指定有形文化財に登録されたが,莫大な固定資産税がが建物の維持を困難にしていたという.
そこで,風格ある佇まいを活かして,民間企業がレストラン・結婚式場として運営し,その賃料で維持費をまかなおうというプロジェクト.これにH大で建築を専攻したQ谷氏も関わって,寸法を測ったり図面をひいたりしたとのこと.かれはジャズ研OBなので,この改装なった西尾邸のレストランで関西在住のOBOGを中心に昼食会をしました.ぼくとJ子もおまけで出席.大学を離れたらみなあか抜けていた.

門からのアプローチから,建物を見上げるあたりが良い感じ.学会のバンケットなどやったら好評だろう.われわれが食事をした部屋は壁板など当時のものを使っているようだった.見学させてもらったほかの部屋は,もっと手が入っていたようだ.披露宴会場は和室を洋風に使うので,いっそうレトロな雰囲気.
レストラン側は建物を売り込んだほうが良いのではないかというのが個人的な感想.間取り図・建物の歴史・工法の展示・パンフレットなど,あったのかもしれないが気づかなかった.

オープン記念ランチ2500円.ガラスの見せ皿がよかった.もちろんお料理も.サイトは
http://www.vizcaya.jp/restaurant.html

山陽電鉄月見山駅下車.クルマ一台通れるかという通りの両側に活気のある商店街.J子が西尾邸への途を訊いたら,豆腐屋のオッサンが「あーぼくの別荘ね」ときたもんだそうだ.途中に,これも由緒ある洋館だったウィリアム・M・ヴォーリズ設計の「室谷邸」があったのが,今年になってから取り壊されたとのこと.見たのは塀だけだった.



食後須磨離宮公園を散策.ここも日本じゃないみたい.入ったのと別な門から出て,歩道橋をわたったりトンネルをくぐったり.細い路地をぐるぐる歩いたら線路の反対側からもとの駅に出た.狐 (ではなく熊?) につままれたようでした.
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書店に積んであるPR誌

2007-05-01 08:40:46 | 読書
大手書店のレジに積んであるPR誌は,100円とか200円とかの定価はあるが,なにか本を買えばただでもらえる (買わなくてもくれそうだが...).
いま手許にあるのは,
小学館「きらら」5月号
ポプラ社「asta」5月号
東京大学出版会「UP」4月号.
どれも100ページ強.ただし東大出版会のは少し薄い.これだけ月遅れなのも東大らしい.

「きらら」「asta」は小説中心,連載が多い.ゆったりとしたレイアウト.「きらら」は石田衣良,蓮見圭一など豪華執筆陣.きらら文学賞というのがあって,随時応募できるとのこと.

astaはちょっとはずれた執筆者が多く,どちらかと言えばぼくの好み.書評鼎談「センセイの鞄」は笑えました.
この手のPR誌は本の紹介も柱のひとつだが,どの雑誌でも自社の出版物中心というわけではないらしい,このastaの「手のひらに謎がある-文庫で読むミステリ」でとりあげている「青春俳句講座 初桜」を読みたいとおもっている.

UPは冒頭に特集「東大教師か新入生にすすめる本」.じぶんの分野の本を薦めるひとが多いが,なかには高村薫,浅田次郎,吉村昭などの本もあがっていた.UPはこのように東大丸出しのところが辟易だが,そこを我慢すれば,学会誌の埋め草を拾い読みする感じで楽しめる.
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reading

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