路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:救えぬ虐待 死の教訓全国で生かせ

2019-06-17 06:10:50 | 【学校等の陰惨ないじめ・暴力・体罰・自死・家庭での虐待・不登校・児相】

【社説①】:救えぬ虐待 死の教訓全国で生かせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:救えぬ虐待 死の教訓全国で生かせ 

 命が守れなかった過程で何が起きていたかが明らかになるにつれ、怒りが募る。札幌の二歳女児の衰弱死は、虐待事件が相次ぎ再発防止が叫ばれている中、その教訓を無視する形で起きた。

 池田詩梨(ことり)ちゃん(2つ)が六月に亡くなるまで、危険な兆候は何度も見過ごされた。

 虐待通告を受理してから原則四十八時間以内に安否確認をするというルールも、札幌市児童相談所は守っていなかった。四月、近隣住民から「昼夜問わず泣き声が聞こえる」という二度目の虐待通告があった時だ。ルールは東京都目黒区で起きた虐待事件を受けて昨年七月、国が決めた。

 死なせずにすんだ最後のチャンスは、三度目となる通告が札幌南署にもたらされた五月中旬だった。署は児相に同行を持ち掛けたが児相職員は行かなかった。

 警察と児相の言い分は二転、三転しており、責任の押し付け合いにも映る。惨事を繰り返さないためには、真摯(しんし)な検証が不可欠だ。

 くみとるべき教訓はいくつもある。女児の身体にはやけどの痕やあざがあったが、署員は母親の説明や、けがが軽度だったことから虐待はないと判断したという。

 しかし死亡時、体重は平均の半分しかなかった。二歳では何が起きているか自分できちんと説明することも難しい。より繊細、詳細に育児放棄の可能性を見極めていくべきではなかったか。

 その意味でも、専門家が同行しなかったことが悔やまれる。児相は同行しなかった理由として夜間の態勢が取れないことを挙げていたが、夜間休日業務は児童家庭支援センターに依頼することもできた。それも怠っていた。

 札幌市では事件の前から第二児童相談所をつくることを検討していたという。通告も増えていく中で、職員一人当たり百件以上の案件を抱え、子どもたちを一時保護する施設の広さも十分ではないという。

 子どもや親のSOSを受け止めるべき組織が、パンク寸前となっている。その危機感を行政全体でどこまで共有できていただろうか。乳幼児健診で女児の低体重は確認されていたという。

 全国の児童相談所も程度の差こそあれどこも余裕はないだろう。国は法改正して機能を強化し人員も増やす方針だが、態勢が追いつくのを現実は待ってくれない。出産前の支援の段階から子どもにかかわる機関の連携を強めていくほかに命を救う手だてはない。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月17日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:再開原爆資料館 遺品が生と死を語る

2019-06-17 06:10:40 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・核兵器禁止条約

【社説②】:再開原爆資料館 遺品が生と死を語る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:再開原爆資料館 遺品が生と死を語る 

 広島平和記念資料館本館が展示を一新し、二年ぶりに再開された。被爆者の遺品が、きっと語ってくれるはず。爪痕を刻まれた実物だけが知っている、紛れもない「被爆の実相」、戦争の真実を。

 梅雨が過ぎれば、七十五年目の夏が来る。直接体験者である「語り部」の皆さんも、確実に年齢を重ねている。どうすれば「被爆の実相」をリアルに伝え残せるか-。考え抜いた結果が「原点回帰」である。

写真

 「原点」とは、初代館長で地質学者の故長岡省吾さんが集めた被爆の遺物。瓦礫(がれき)に始まり、熱でゆがんだガラス瓶、真っ黒になったご飯が詰まったままの弁当箱…。手当たり次第に集めて歩いて、大切に保管した。その一つ一つが、原爆の真実を後の世に永く伝え続けてくれると信じたからだった。

 被爆から四年後、長岡さんの収集資料は、新設された市の中央公民館で公開された。広島平和記念資料館の原点だ。

 これまでも長岡さんが集めた遺品は、重要な展示物だった。それらを今回、新本館の展示の主役に据えた。被爆再現人形の撤去には、批判もあった。しかし「現実はこんなものではなかった」という被爆者の声を尊重し、実物中心のレイアウトに切り替えた。

 長岡さんの言う「悪魔の刻印」が深く刻まれた“本物”を選び出し、持ち主の遺影と詳しい説明を並べて展示した=写真。

 例えば焦げた手縫いのワンピース。傍らに二十三歳で被爆死した女性の写真。じっと見詰める。説明を読む。<体は触れることができないほど熱くなり、唇は大きく腫れました>。目を閉じる。耳を澄ます。<見守った肉親一人ひとりに『さようなら』と言いながら8月18日に亡くなりました>

 一瞬の閃光(せんこう)の中で理不尽に中断されてしまった被爆者の人生を、どう受け止めるかは、それぞれだ。しかし、私たちはその時そこで、過去ではなく、未来と向き合うことになる、と言えなくもない。この世に核がある限り-。

 八月を待たずに、ぜひ一度足を運んでほしいと願う。

 戦争を知らない国会議員が、戦争をいざなうようなことを言う、そんなおかしな時代であれば、なおのこと。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年06月17日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
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【筆洗】:米推理作家のヴァン・ダインが一九二八年、探偵小説を創作する上での二十のルールを・・・

2019-06-17 06:10:30 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【筆洗】:米推理作家のヴァン・ダインが一九二八年、探偵小説を創作する上での二十のルールを書いている

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:米推理作家のヴァン・ダインが一九二八年、探偵小説を創作する上での二十のルールを書いている

 ▼「その一」は、<登場する探偵と読者には、同じ機会(情報)が与えられなければならぬ。謎解きのヒントは分かりやすく記述されなければならぬ>。探偵小説が知的なゲームである以上、読者にフェアなルールを作りたかったらしい▼ルール「その四」。昨日の朝刊記事を読んで浮かんできた。<探偵自身、あるいは捜査員の一人が犯人だったという展開はあってはならぬ。それは見え透いたトリックである>-。京都府警は高齢男性から現金千百八十万円を詐取したとして交番勤務の巡査長を逮捕した。あまり聞いたことのない、現職警察官による詐欺事件である▼ニセ電話詐欺の対策などを通じ、この高齢男性が高額の現金を持っていることを知った巡査長が「現金を預かって保管する」と言葉巧みにだまし取ったとみられている▼高齢者を詐欺の魔の手から守るべき警察官自身が魔の手を使うとは開いた口がふさがらぬ。探偵小説の方はともかく現実社会では決して「あってはならぬ展開」である▼もちろん、悪い了見を持った警察官は少ないと信じるが、この一件の影響は大きい。オレオレと息子を名乗る人間はもちろんのこと今後は相談に耳を傾ける本物の警察官さえ、警戒しなければならぬのか。情けない時代である。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年06月17日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【私設・論説室から】:青ざめた日高さん

2019-06-17 06:10:20 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【私設・論説室から】:青ざめた日高さん

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私設・論説室から】:青ざめた日高さん 

 バブル崩壊後の混乱を振り返る文書を読んでいて、一九九二年危機のくだりにあの日を思い出した。

 株価急落による最初の危機、九二年八月十八日。夏の暑い日だった。大蔵省担当だった私は、たびたび取材に訪れていた総務審議官の日高壮平さんの部屋に入った。

 八九年に四万円近くまで上昇した株価は下落を続け、この日、一万四〇〇〇円を割り込みかねない水準まで急落。信用不安が広がっていた。

 部屋に入って驚いた。気丈でいつも強気の日高さんの顔が、明らかに青ざめていたから。日高さんは宮沢喜一首相と大蔵省の政策調整の要。そしてこんなことを口にした。

 「ここまで下がるとやらざるを得ないね」

 株価対策だと受け止めた。が、実は最初の公的資金投入が準備されていたことを後になって知った。宮沢首相が夏休みの軽井沢から急きょ帰京して株式市場を閉鎖。一気に公的資金を投入して金融機関の不良債権処理に着手する…。

 だが政治決断は遅れ、危機は繰り返した。公的資金の本格投入が実現したのは十年後、小泉内閣になってから。それを見届けるように〇四年、日高さんは六十三歳で急逝した。バブルは三十年の低迷と就職氷河期に姿を変え困難は続く。日高さんの青ざめた顔がその深刻さと重なって見える。 (安田英昭) 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【私設・論説室から】  2019年06月17日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【首相の一日】:6月16日(日)

2019-06-17 06:10:10 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【首相の一日】:6月16日(日)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:6月16日(日) 

 【午前】来客なく、公邸で過ごす。

 【午後】4時18分、東京・富ケ谷の私邸。9時19分、公邸。宿泊。 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年06月17日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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