路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【青木理さんの寄稿】:検察庁法改正案と刑事司法の歪み

2020-07-10 08:15:40 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【青木理さんの寄稿】:検察庁法改正案と刑事司法の歪み

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【青木理さんの寄稿】:検察庁法改正案と刑事司法の歪み

 与党が検察庁法改正案を強引に審議入りさせたことを受け、ネット上には異例の抗議が前例のない規模で広がった。政権がお気に入りの検事長を定年延長させて検事総長に据えようと謀り、その横紙破りの奇策を後づけで合法化、制度化、恒久化する改正案への反発は予想外に強いらしく、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけたツイッターの投稿は合計で500万件を超えたとも600万件を超えたとも各メディアが伝えている。

ジャーナリストの青木理さん=東京都千代田区で2020年4月6日、長谷川直亮撮影

 ジャーナリストの青木理さん=東京都千代田区で2020年4月6日、長谷川直亮撮影

 これも各メディアで報じられた通り、数多くの著名人が抗議に同調したことも注目された。俳優、ミュージシャン、アーティスト、アイドル、タレント、コメディアン、作家、漫画家、その顔ぶれや分野は実に多種多様、ふだんは政治的発言をしない者たちも加わり、ネット上には次のような訴えが続々とアップされた。<これ以上、保身のために都合よく法律も政治もねじ曲げないで><得意技の「ある組織の人事を自分の都合のいいものにする」を、いつまでも使わせてちゃいかん><どのような政党を支持するのか、どのような政策に賛同するのかという以前の問題>。そのいずれにも、私は深く同意する。

 他方、かつて東京地検特捜部に証券取引法違反容疑で逮捕、起訴された経験を持つ実業家はこんなツイートをアップした…、

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【担当:青木理・ジャーナリスト】  2020年05月14日  02:04:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県】:コロナ感染めぐり「東京は諸悪の根源」と知事、後に発言取り消し

2020-07-10 00:16:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【兵庫県】:コロナ感染めぐり「東京は諸悪の根源」と知事、後に発言取り消し

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県】:コロナ感染めぐり「東京は諸悪の根源」と知事、後に発言取り消し

 新型コロナウイルスの感染者が東京で急増していることをめぐり、兵庫県の井戸敏三知事は9日、県庁で開かれた対策会議の冒頭で、「(東京は)諸悪の根源」と発言した。東京から全国へ感染が波及することを懸念したものとみられ、その後の記者会見で「決めつけるわけにはいかない。発言を取り消す」と釈明した。

井戸敏三知事                   井戸敏三知事

 会議で知事はすぐに発言を修正。約2時間半後に開かれた会見で記者に追及されると「撤回だとそれまでの間、発言があったことになる。取り消すということは最初から発言はなかったことになる」とした上で、「東京でしっかり対応をしてほしいことを意図していた」と述べた。

 元稿:産経新聞社 産経ニュース WEST関西 【できごと】  2020年07月09日  20:13:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

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【47リポーターズ】:かつてない危機の中、国トップの説明責任はどうあるべきか コロナ禍、

2020-07-10 00:16:00 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【47リポーターズ】:かつてない危機の中、国トップの説明責任はどうあるべきか コロナ禍、安倍首相の記者会見の姿勢に疑問の声

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【47リポーターズ】:かつてない危機の中、国トップの説明責任はどうあるべきか コロナ禍、安倍首相の記者会見の姿勢に疑問の声 

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)というかつてない危機にある時、対策の手を打つ国のトップは、主権者である国民にどう説明責任を果たすべきか―。安倍晋三首相は2月以降、5月25日の緊急事態宣言全面解除まで、新型コロナ対策の節目ごとに計8回の記者会見に臨んだ。国内だけでなく、海外からも注目を浴びる重要な場だったが、質問を短時間で打ち切ったり、十分に回答しなかったりする姿勢に、多くの疑問の声が上がっている。(共同通信=鈴木拓野、松井健太郎)

かつてない危機の中、国トップの説明責任はどうあるべきか コロナ禍、安倍首相の記者会見の姿勢に疑問の声

 2月29日、安倍首相は官邸で開いた記者会見で、全国全ての小中高校を臨時休校にする方針について国民に理解を求めた。会見の時間は36分間。そのうち、冒頭の約20分間は首相の発言が占めた。教育という国民生活に密着した分野での唐突な要請だっただけに、さまざまな疑問が浮かんで当然と言える状況だったが、質問はたった15分程度で打ち切られた。

 「まだ質問がある」。記者らは声を上げたが、安倍首相は応じることなく会見場から立ち去り、その後、帰宅した。この一連の様子がツイッターなどで話題になり、首相会見への関心がにわかに高まった。

 次は新型コロナウイルス特別措置法が成立した翌日の3月14日に開かれた会見。この時は司会がいったん質疑打ち切りを告げたのに対し、安倍首相は「まだいいんじゃない」と続行した。とはいえ、最終的には質問を求めて挙手する記者が残る中、計50分余りで会見は終わった。

 その後の会見ではさらに少し時間が延び、1時間を超えるようにはなったものの「直後に政府の対策本部が予定されている」などと終了を予告し、時間を区切るようになった。

 2月29日の記者会見に出席し「まだ質問がある」と声を上げたジャーナリストの江川紹子(えがわ・しょうこ)さんは「当初よりは時間が長くなり、司会がフリーの記者も指名するようになったのは評価できるが、節目にはもっと時間を取るべきだ」と批判する。

 出席できる記者の数も、「3密(密閉、密集、密接)」対策を理由に絞られるようになった。大手マスコミは1社当たり1人で、フリーの記者は抽選となった。江川さんは「別室と回線をつなぐなど、工夫すればもっと多くの参加が可能だ」と指摘している。弊害を取り除こうという努力が足りないとの見方だ。

 さらに、再質問が認められないことも問題視されている。質問と答えがかみわなかったり、はぐらかされたりしたとしても追及できないという問題が生じている。

 例えば、最初に緊急事態宣言を発令した4月7日の会見では「発令が遅いとの批判にどう答えるか。感染拡大を抑えられなかった原因をどう分析しているか」と問われた。首相はこれに対し、「いつ出すか専門家と毎日、議論してきた。やみくもには出せない」と述べただけで、政府の責任に直結しかねない後半の質問には回答しなかった。

 節目に記者会見を開かないケースも見られた。近畿3府県の緊急事態宣言を解除した5月21日は会見をせず、記者団が首相を囲む「ぶら下がり」形式で7分間だけ取材に応じた。この前日、検察庁法改正案で渦中の人となった黒川弘務(くろかわ・ひろむ)前東京高検検事長の賭けマージャン問題が報じられており、会見を開けばこの問題についても質問が多く出ることは必至だったと言える。

 結局、会見しなかったことで、翌22日の衆院厚生労働委員会では野党議員から「不都合な問題を聞かれることから逃げた」と批判された。

 「コロナ対策は国民の最大の関心事で、記者は国民の声を代弁している。コミュニケーション不足は問題だ」。東京大の関谷直也(せきや・なおや)准教授(社会心理学)はこう話し、一連の安倍首相の対応に苦言を呈する。

 中でも5月25日の会見では、首相が「まさに日本モデルの力を示した」と自賛した点を挙げ「緊急事態宣言解除後の経済対策ばかりが強調された半面、日本の対策のどういう点がうまくいったのか見えてこなかった。質疑応答が不十分だったため、日本モデルという曖昧な言葉が曖昧なままになっている」と指摘した。

 日本大危機管理学部の福田充(ふくだ・みつる)教授(リスクコミュニケーション論)はコロナ禍でのリーダーのあるべき姿として、ドイツのメルケル首相を好例として挙げた。「自分の言葉で語り、質疑応答もはぐらかさず丁寧だ。政治家としての信念が報道を通じて国民に共有され、民主主義において大事な安心感や信頼感を生んでいる」と説明した。

 一方で、安倍首相については「会見では生の言葉が国民に伝わる必要があるが、官僚の作文を読み上げているように見え、熱意や気持ちが伝わりにくい」と印象を語った。

 元稿:一般社団法人共同通信社 47NEWS 政治 【政局・新型コロナウイルスの感染拡大に伴う施策】  2020年06月13日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 東日本編」 ②-①

2020-07-10 00:15:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 東日本編」 北海道鈴木、愛知大村は○、宮城△、石川、千葉、神奈川×、小池都政は? 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 東日本編」 北海道鈴木、愛知大村は○、宮城△、石川、千葉、神奈川×、小池都政は? 

 新型コロナウイルス対策が進むなかで、全国の知事たちの存在感が増している。多くの議論で知事たちが永田町をリードする前例のない“異常事態”だ。政治学者の御厨貴氏(東京大学名誉教授)に、全国の知事の評価と、いま日本政治に何が起こっているのかを聞いた。

               ◆◆◆

◆コロナ対策をリードする知事たち

 都道府県の知事が、これほど中央に影響力をもった時代は現代日本政治史上なかったでしょう。

 5月4日に緊急事態宣言の延長が決まりましたが、事前に知事会から「全国一律に延長して欲しい」という突き上げが4月末にありました。休校が続く学校を「9月入学」に切り替えようとする提案も、東京の小池百合子知事や大阪の吉村洋文知事らが議論をリードしています。

 今回の新型コロナをめぐる事態は、特定の地域だけに起こった自然災害ではありません。全国で一挙に危機が起こったため、安倍政権はここまで危機管理能力をまったく発揮することができず、積極的な意思決定ができていません。その間、各都道府県が独自に自分たちで状況を把握して対策を打っていかなければいけなかったのです。

 そこが、全国の知事たちが多彩な政策を訴え始めた理由です。ただ、知事たちの間でも対策に成功している人もいれば、空回りしてしまっている人もいる。メッセージを発信し続ける各都道府県の知事たちの活動を、それぞれ通信簿的に評価しながら振り返ってみたいと思います。

◆北海道・鈴木直道「○」 最年少知事が道筋をつけた

 今回のコロナ禍で全国的にもっとも名を揚げたのは、北海道の鈴木直道知事(39)でしょう。日本のコロナ対策の道筋を付けたのは彼だといっても過言ではありません。昨年4月に全国最年少の知事として初当選してから1年足らずですが、彼は「待っていても誰も北海道のことを助けてくれない」という事の本質を理解していたのです。


   北海道の鈴木直道知事(39)への御厨氏の評価は? ©時事通信社

 鈴木知事は、2月28日に北海道での感染者数が63人となった時点で、道としての「緊急事態宣言」を全国に先駆けて出しました。その直前の26日には、道内すべての公立小中学校の臨時休校を決めています。こちらも全国初です。そして感染者の増加に歯止めをかけた。初期の対応は見事でした。 

 活躍の背景には、鈴木知事の経験があります。彼はもともと東京都衛生局の職員でしたが、夕張市に派遣されたことをきっかけに2011年から2019年まで夕張市長を勤めました。当時の夕張は、市が自由に使える財源の約8倍となる約350億円以上の負債を抱えた財政破綻のまっただ中。そこから蛮勇をふるって大改革し、町を立て直していった。今回はその経験が生きています。

 つまり夕張での経験は、彼に「他に学ぶべきモデルがない時、手探りの状態でどうするべきか」という教訓を与えた。中央をアテにしても話は進まない。それを分かっているから、思い切って独自路線を歩むことができたのです。

 今回、鈴木さんが先陣を切って一気に動いたことで、他の都府県の知事たちも自分たちに合った方法で動くようになった。それが現在まで続く日本全体のうねりを生み出していきました。これだけ危機的な状況の中で、まさに地方から中央政府を動かしたのですから、今回の初動対応は文句なしの「○」といわざるを得ないでしょう。

◆宮城県・村井嘉浩「△」 3.11疲れが出たか

 鈴木知事が経験を生かした一方で、過去の体験を生かし切れていないのが、宮城の村井嘉浩知事(59)です。

 3.11のとき、村井さんの頑張りは特筆するものがありました。私が議長代理を務めた「東日本大震災復興構想会議」でも、委員として大変活躍された。積極的な復興策などで、陸上自衛隊出身らしい危機管理能力を遺憾なく発揮しました。

 今回も期待していますが、いまのところ特に目立ったところはなく、本来の能力から比べると寂しい。私にいわせれば、彼は「3.11疲れ」なのだと思います。この9年間、彼に限らず被災地の知事たちはずっと3.11の事後処理に当たり続けています。その中で、新たな事態にも対応しなければいけなかった。今回は本来のリーダーシップを発揮できませんでした。 

◆東京都・小池百合子「○」 “脅し”も使いこなす首都圏のMC

 いま感染者が最も多いのは首都圏です。その首都圏の知事は、千葉県の森田健作知事(70)は俳優出身、神奈川県の黒岩祐治知事(65)はフジテレビの元キャスター、埼玉県の大野元裕知事(56)もラジオでコメンテーターをやっていたことがありました。そんな「メディア慣れ」したメンバーのなかでも、東京都の小池百合子知事(67)の存在感は図抜けています。

 私が「時事放談」(TBS系)で司会をしていた際、彼女をゲストに迎えたことがあります。そのときの振る舞いは見事なもので、すべての議論が彼女の演出で進行していきました。驚いている私に、小池さんは「だって、私はMC出身ですよ」と笑顔で言い放ったものです。

 彼女は、女性キャスターのパイオニアの一人。首都圏のコロナ対策においても、彼女が「メインキャスター」でした。「感染爆発 重大局面」というフリップを手にしながら要請した外出自粛についても、休業要請についても、首都圏で先をいっていた。“都の対策がいかに先を行っていて、国の対策がいかに遅れているか”を連夜の会見で“MC”として流し続けました。

 もちろん、負の側面もあるでしょう。たとえば、彼女が「ロックダウン」という言葉を口にしたことで、欧州諸国のような強制力のある都市封鎖が行われるかのような緊張感が生まれ、みな戸惑いました。あれは一種の「脅し」のテクニック。首長が「こんなことも起こるんだぞ」と、あそこまで唐突に市民を脅かすことなど普通はやりません。実際に、その煽りによって、一部で買い占めが進むなど、市民生活に混乱が生じたというマイナス面もあった。

 しかし、この「脅し」が効いて、国が動いた。安倍政権も「このまま全ての対策が東京都の後手後手に回っては大変だ」と慌てて動き始めたのです。

 この「脅し」のメリット・デメリットを承知の上で、「いまは政府を引き付けて引っ張っていかないといけないんだ」と、過激な表現を使うことを選んだ。その結果、実際に国を動かしているわけですから、その意味では現状までの小池さんの危機対応は満点に近い。この7月に行われる都知事選に向けたパフォーマンスだと言う人もいるかもしれませんが、嫌ったところで、彼女がやっていることに国もついて行かざるを得ないのは事実なのです。 

 この小池知事の「演出巧者」ぶりを見たあとに、ほかの首都圏の知事たちを見ると、全員が後手を踏んでいるように見えます。休業要請にしても東京がすると言った後になって、じゃあ千葉はどうする、うちの財政はどうだ……とズルズルと後追いをしているようにしか見えません。

 俳優の森田知事も、キャスターの黒岩知事も、自分で演出するというよりは周りのお膳立てがあって初めて動く“プリンス”だったことがバレてしまいました。首都圏の知事は小池知事以外は全員「×」ですね。

  元稿:文藝春秋社 主要出版物 【週刊文春】 2020年05月05日 18:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 東日本編」 ②-②

2020-07-10 00:15:40 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 東日本編」 北海道鈴木、愛知大村は○、宮城△、石川、千葉、神奈川×、小池都政は? 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 東日本編」 北海道鈴木、愛知大村は○、宮城△、石川、千葉、神奈川×、小池都政は? 

 新型コロナウイルス対策が進むなかで、全国の知事たちの存在感が増している。多くの議論で知事たちが永田町をリードする前例のない“異常事態”だ。政治学者の御厨貴氏(東京大学名誉教授)に、全国の知事の評価と、いま日本政治に何が起こっているのかを聞いた。

               ◆◆◆

◆コロナ対策をリードする知事たち

 都道府県の知事が、これほど中央に影響力をもった時代は現代日本政治史上なかったでしょう。

 5月4日に緊急事態宣言の延長が決まりましたが、事前に知事会から「全国一律に延長して欲しい」という突き上げが4月末にありました。休校が続く学校を「9月入学」に切り替えようとする提案も、東京の小池百合子知事や大阪の吉村洋文知事らが議論をリードしています。

 今回の新型コロナをめぐる事態は、特定の地域だけに起こった自然災害ではありません。全国で一挙に危機が起こったため、安倍政権はここまで危機管理能力をまったく発揮することができず、積極的な意思決定ができていません。その間、各都道府県が独自に自分たちで状況を把握して対策を打っていかなければいけなかったのです。

 そこが、全国の知事たちが多彩な政策を訴え始めた理由です。ただ、知事たちの間でも対策に成功している人もいれば、空回りしてしまっている人もいる。メッセージを発信し続ける各都道府県の知事たちの活動を、それぞれ通信簿的に評価しながら振り返ってみたいと思います。 

 ◆愛知県・大村秀章「○」 “2大巨頭”が珍しくタッグ 

 緊急事態宣言が最初に出された時に対象区域に含まれなかったことで、妙な苦労をした自治体もありました。その筆頭が愛知県です。

 この愛知には、大村秀章愛知県知事(60)と河村たかし名古屋市長(71)という“2大巨頭”がいます。昨年も「あいちトリエンナーレ」で対立するなど、この2人は衝突することも多く、微妙な距離感です。ただ今回に関していえば、うまく連携できている。2人あわせて「○」の評価です。

 一般的に河村市長の方が事あるごとに口を出す印象がありますが、今回はあえて控えめに振る舞っている。むしろ今回は、大村知事の方が、4月7日の政府の緊急事態宣言を受けた10日の会見で「どうして愛知県は緊急事態宣言に含まれないんだ」と訴えて、独自の緊急事態宣言を出すなど、表に立って主張することが多かった。

 もちろんこれには、知事と市長の役割の違いもあるでしょう。ただ河村さんは自分が中央に好かれてないことを自覚していますから、今回は自分が出しゃばることでかえって反発を食らうと考えて、目立つことを避けたんだと思います。

 そもそも名古屋という大都市を抱える愛知県が、なぜ緊急事態宣言が最初に発令されたときに対象地域に入らなかったのか。それは行政が頑張って踏みとどまっていたとも言えるんです。それでも範囲外となって、「なんか愛知、出遅れてない?」と不思議なマイナスイメージが生まれてしまった。その辺の雰囲気も敏感に感じ取って、2人は動いたわけです。

 全国的に見れば、大村知事の初動も決して早くない。公立小中高校の休校問題でも、4月2日まで「6日始業」を主張していて、6日になって初めて、「7日から19日まで臨時休校にする」と発表するなど、ドタバタしていました。それでも普段は“微妙な関係”の知事と市長が、緊急事態に足並みをそろえて国に対抗しているわけですから合格点だと思います。 

 ◆石川県・谷本正憲「×」 知事の危機感を修正できない組織

 いまからすると信じられないようなことかもしれませんが、国内感染者が初めて1日100人を超え、東京でも40人の感染が確認された3月27日になっても、都民に向けて「無症状の人は(東京から)おこしいただければ」と県内の観光をアピールしていた知事がいました。石川県の谷本正憲知事(75)です。

 4月30日時点で、石川県の人口10万人あたりの感染者数は東京都に次いで全国で2番目に多くなっています。残念な経過をたどっている状況を考えても、谷本知事に危機感が足りなかったことは間違いありません。

 ただ、多かれ少なかれ地方の知事は「コロナと言っても、まだ都会のことで現実感が湧かない」という気持ちを持っていたと思います。根深い問題は、知事のトンチンカンな反応を県の上層部が修正できなかったことです。県のお偉いさんたちも危機感を持てなかったから、そのまま知事が公の場で発言してしまった。役所の危機管理のありかたという視点でも「×」ですね。
( 西日本編 に続く)

大阪吉村、和歌山仁坂、鳥取平井は○、広島△、兵庫、福岡は×…政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」 へ続く

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))   

  元稿:文藝春秋社 主要出版物 【週刊文春】 2020年05月05日 18:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」 ③-① 

2020-07-10 00:15:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」 大阪吉村、和歌山仁坂、鳥取平井は○、広島△、兵庫、福岡は×

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」 大阪吉村、和歌山仁坂、鳥取平井は○、広島△、兵庫、福岡は× 

 北海道鈴木、愛知大村は○、宮城△、石川、千葉、神奈川×、小池都政は? 政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 東日本編」 から続く

 新型コロナウイルス対策で安倍政権がつまずく中で、全国の知事たちが中央に先駆けて次々に感染症対策を打ち出す前代未聞の事態が起きている。政治学者の御厨貴氏(東京大学名誉教授)に、全国の知事の評価と、いま日本政治に何が起こっているのかを聞いた。( 東日本編 はこちら)

                ◆◆◆

◆大阪府・吉村洋文「○」 若さでピンチをチャンスに変えた

 ここまでの日本の新型コロナウイルス対策を振り返ると、3月20日〜22日の3連休、兵庫―大阪間で「往来自粛」の要請が出されたことは特筆すべき出来事です。首都圏において、小池百合子都知事が会見で「外出自粛」を強く要請するのは、その3連休明けのこと。関西はより早い段階で対応をとっていた。その判断を下したのが、大阪の吉村洋文知事(44)です。

 御厨氏の評価が分かれた、大阪府の吉村洋文知事(44、右)と大阪市の松井一郎市長(56) ©AFLO

 大阪くらいの大都市になると、行政にさまざまな要素が絡み合っている。なにか動かそうとしても、一気に物事が動かないものです。にもかかわらず、吉村知事は他県まで巻き込んだ移動制限をいち早く訴えるなど、これまで緩急自在にやってきています。文句なしの「○」です。

 吉村知事の前任者で、同じ維新の大阪市の松井一郎市長(56)は、今ひとつです。4月23日の会見でも、スーパーが混雑している問題について「(女性は)商品を見ながらあれがいいとか時間がかかる。男は言われた物をぱぱっと買って帰れるから(男性が)買い物に行くのがいい」と発言して批判されるなど、言っていることも政策もチグハグな感じがします。

 当然ながら、日本維新の会の代表でもある松井市長の方が政治家として格上ですが、こういう有事では、若い吉村知事の瞬発力の方が役に立つ。北海道の鈴木直道知事(39)に次いで全国で2番目に若い知事ですから体力もある。コロナ対策を次々にこなしていくうちに、的確な選択を取れるようになっていったのでしょう。

 さらに吉村知事の活躍は、「維新」という政党のピンチをチャンスに変えたとも言えます。これまで維新は市と府の二重行政を解消するとして、病院や感染症の研究施設などの統廃合を進めてきました。その結果が、現状の大阪における医療現場の逼迫の一因になっています。

 実際に大阪府知事、大阪市長を務めた元維新代表の橋下徹氏(50)は、〈大阪府知事時代、大阪市長時代に徹底的な改革を断行し、有事の今、現場を疲弊させているところがあると思います。保健所、府立市立病院など。そこは、お手数をおかけしますが見直しをよろしくお願いします〉(4月3日)とツイートしています。

 いつ維新批判が起こってもおかしくないピンチでしたが、“緊急事態なんだから今更そんなこと言っても仕方ない”と言わんばかりに、厳しい措置を矢継ぎ早に打ち出して、停滞している中央を尻目に物事をどんどんと動かしていき、活路を見いだしました。

 そうした維新が持っている“なんだか訳のわからないパワー”が、「やっぱり維新はやってくれる」と、市民にアピールする契機になっている。維新は吉村知事の馬力に救われました。

◆和歌山県・仁坂吉伸「○」 陸奥宗光の研究が活きた?

 関西で大阪以外に目立っているのは、和歌山の仁坂吉伸知事(69)です。

 2月中旬、県内の病院で医師と患者に感染がわかった際、県内すべての肺炎患者と、無症状者でも感染可能性がある人全員を対象に600人以上、PCR検査を行いました。国が出していたガイドラインを超えて、初期段階で大勝負をかけたのです。3月4日にはその病院が通常業務を再開できました。

 仁坂知事は外交官の経験もある上に、とにかく歴史の好きな人です。和歌山出身の明治期の政治家・外交官、陸奥宗光について自分で研究もしていました。そんな陸奥について、仁坂知事は「明治維新の時に出遅れてしまって、なかなか出世できなかった」という意識を強く持っている。その教訓を活かして勝負どころの決断が早い。今後どれだけ県独自で続けられるかという問題はあるにせよ、中央任せにせずに、独自の路線を貫こうという強い意志を感じます。 

◆兵庫県・井戸敏三「×」 他府県の流れにも乗れず

 大阪や和歌山に対して、兵庫の井戸敏三知事(74)はまったく負けています。なぜここまで後手に回っているのでしょうか。

 3月の3連休に吉村府知事が打ち出した「兵庫−大阪」の移動制限についても、事前に相談がなかったことに不満げで、記者会見でも「大阪はいつも大げさだ」と愚痴った。学校の休校問題でも、4月3日の会見で「8日再開」としながら、6日午前になって再開延期を発表するなど、他府県の流れにも乗っていけず大きく遅れをとっている。「×」と評価せざるをえない現状です。

 実は、これも過去の経験と関係があります。兵庫県は4半世紀前の阪神淡路大震災以来、阪神復興の要の役割を見事に果たしてきました。その後も、自然災害に対して全国的リーダーシップを発揮している。逆説的ですが、それが今回は仇になった。自然災害への対応ならぬコロナ災害の対応に、迅速に動けなかったのです。

  元稿:文藝春秋社 主要出版物 【週刊文春】 2020年05月05日 18:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」 ③-②

2020-07-10 00:15:20 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」 大阪吉村、和歌山仁坂、鳥取平井は○、広島△、兵庫、福岡は×

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」 大阪吉村、和歌山仁坂、鳥取平井は○、広島△、兵庫、福岡は× 

 北海道鈴木、愛知大村は○、宮城△、石川、千葉、神奈川×、小池都政は? 政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 東日本編」 から続く

 新型コロナウイルス対策で安倍政権がつまずく中で、全国の知事たちが中央に先駆けて次々に感染症対策を打ち出す前代未聞の事態が起きている。政治学者の御厨貴氏(東京大学名誉教授)に、全国の知事の評価と、いま日本政治に何が起こっているのかを聞いた。( 東日本編 はこちら)

                ◆◆◆

◆広島県・湯崎英彦「△」 早すぎた“コンサル的”発言

 普段はあまり中央まで届かない中四国の知事たちの発言も、今回の事態では話題を呼んでいます。中でも国の政策を大きく問い直すような指摘をしたのが、広島の湯崎英彦知事(54)です。

 彼が主張したのは、国が全国民に給付する10万円について、県職員の受け取り分を、中小企業を対象にした県独自の支援策の原資として活用するというもの。4月21日の記者会見でのこの発言は波紋を呼び、「個人に出る10万を召し上げるのか」「知事の横暴ではないか」と大きな反発を受けた。翌日には事実上の撤回を余儀なくされました。 

 一方で、この湯崎知事の発言で、全国的にも10万円をどう考えるのか議論が加速しました。大都市圏でない地方自治体は、コロナ禍が長引けば、すぐに財政的な限界に直面します。お金がない中で「いかに早く、まとまった金額を必要なところに回せるか」は、多くの地方都市に共通する難問です。湯崎知事の発言は、そんな地方の窮状を突き詰めていった結果なのです。

 一応の給与保証がされている公務員分の給付を“県が一刻も早く対策を打つ財源として使わせて欲しい”という願いはそれなりのスジは通っている。経営コンサルタント出身の湯崎知事ならではの「合理的」な発言だった。この発言以降、各地方で財政対策について議論が続いていますから、日本全体の政治を動かした発言だったとも言えるでしょう。ただ如何せん、実際に10万円が配られてもいない段階で言うのはあまりに早すぎた。功罪相半ばする乱暴な発言でしたので、評価は「△」でしょう。    

◆鳥取県・平井伸治「○」 地の利を生かして勝負に出た

 中国地方では、とくに鳥取の平井伸治知事(58)の存在感が増しています。感染者が4月10日までゼロ。鳥取砂丘などの観光地を抱えながら、「コロナ疎開」にやってくる県外の人に対しても、初期から警告を発してきました。

 感染者を受け入れる感染症指定病床の不足問題についても、2月20日に医療関係者も含めた対策会議を開いて、約1カ月後には元々の12床から200床、4月には300床超まで増やしました。さらにドライブスルー方式やウォークイン方式のPCR検査の導入、無観客公演や配信への助成などが全国的に評価されています。

 平井さんがここまでできるのは、前任の“名知事”片山善博さん(68)の存在が大きいでしょう。片山さんに負けまいと平時の時からいろんなアイディアを出してきた。東京にいると、「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」と発言したことくらいしか印象がないかもしれませんが、さまざまな観光誘致施策のほか、18歳までの小児医療費や保険適用外だった不妊検査の助成なども実現しています。今回もその行動力がいい方向に出ています。

 また、平井さんは「地の利」を上手く生かしてもいます。鳥取ぐらいの規模、いってしまえばそれほど大きくない県であれば、どこに何歳くらいの人口がいて、病院にはどのくらいのベッドがあって……という情報が知事の頭に入っている。そうした武器を最大限活用しながら、次から次へと効果的な手を打っています。文句なしの「○」評価です。 

◆福岡県・小川洋「×」 中央との微妙な距離が露わに

 九州各県は中央からの独立意識が強い。しかし福岡県の小川洋知事(70)は、中央に対して、どうも上手く動けていない印象があります。

 安倍首相が4月7日に緊急事態宣言を正式に打ち出した後、それを受けた小川知事の会見は、対象となった7都府県で最も遅かった。これは象徴的です。遅れた理由として他都市の動向を見定めていたとの報道もありましたが、その後も独自の対策には乏しく、九州の中心地としてヒトやモノが行き来する福岡のトップとして、スピード感が足りません。

 小川知事は、知事選で福岡が地元の麻生太郎副総理(79)が擁立した候補と激しく争いました。そんな“中央との微妙な関係”から「独自策で失敗したらどうしよう」という心配が生まれるのはわかります。ただ、この危機的な状況で県民にその心配が垣間見えてしまったのはいただけません。

◆沖縄県・玉城デニー「保留」 GWを乗り越えられるか

 いま日本でいちばん舵取りの難しい状況に直面しているのは、沖縄県の玉城デニー知事(60)といえるかもしれません。観光シーズンのGWを乗り越えることが出来るのか。結果が出るまで2週間ほどかかるとすると、5月末ごろが山場。その正念場を超えるまで、評価は保留といったところです。

 GW前から、玉城知事は「沖縄に人が来たら困る」「どうかキャンセルして」と悲痛にも近い叫びをあげていて、その語気は相当強い。あまりやりすぎると、「沖縄は県外の人間を差別してるじゃないか」といわれかねない綱渡りの状態です。

 ただ、沖縄の抱えている事情はよくわかります。沖縄県には離島が多く、その島々はもともと地域医療体制に大きな不安を抱えている。そんなところに新型コロナウイルスが入ったら、島の人々が命の危険にさらされる。県独特の経済や医療の事情、さらに歴史も巻き込んだ非常に難しい舵取りを迫られているのです。

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

  元稿:文藝春秋社 主要出版物 【週刊文春】 2020年05月05日 18:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」 ③-③

2020-07-10 00:15:10 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」 大阪吉村、和歌山仁坂、鳥取平井は○、広島△、兵庫、福岡は×

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【文春オンライン】:政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 西日本編」 大阪吉村、和歌山仁坂、鳥取平井は○、広島△、兵庫、福岡は× 

 北海道鈴木、愛知大村は○、宮城△、石川、千葉、神奈川×、小池都政は? 政治学者・御厨貴「知事たちの通信簿 東日本編」 から続く

 新型コロナウイルス対策で安倍政権がつまずく中で、全国の知事たちが中央に先駆けて次々に感染症対策を打ち出す前代未聞の事態が起きている。政治学者の御厨貴氏(東京大学名誉教授)に、全国の知事の評価と、いま日本政治に何が起こっているのかを聞いた。( 東日本編 はこちら)

                ◆◆◆

◆「地力」が試される地方政治のルネッサンス

 これまで日本では「金太郎あめの行政」とも揶揄される、画一的な地方政治が続いてきました。

 それが今回、国の新型コロナウイルス対策が停滞し、都道府県知事がはじめて必死になって何ができるか考えなくてはいけない事態になった。その結果、自治体の、さらに知事の「地力」がはっきりしました。国からの押しつけではなく、都道府県が競い合って政策を打つようになれば、地方政治のルネッサンス。“アフターコロナ”の社会は、中央と地方の関係が様変わりするかもしれません。 

 正直なところ、今回の安倍政権のコロナ対応には、点数の付けようがありません。今後もやれることはたくさんあるはずです。感染者への現場対応は各知事に任せたとしても、休業補償や医療体制の再構築、検査体制の強化など、いわば後方支援的な政策は中央にしか出来ません。

 安倍政権が始まって8年目。これまで彼らは個々の課題を深く考えることなく、次々に政策を打ち出して「アクセルを吹かせる」ことを重視してきました。いわば、政治課題を次々に消費することで国民に対して「やってる感」を演出してきた。多少問題が出ても、次のテーマを打ち出せば、その勢いで誤魔化すことができた。

 ところが今回の感染症という課題は、いわばウイルスの方が勢いを作っている。自分たちでコントロールできず、自ら「やってる感」が出せない。その結果、ただ立ち止まっているように見えるのです。

 いま彼に必要なのは、地方の後方支援策で「やってる感」を出すことです。ところが、8年に渡って前に立ってアクセルを吹かすことに専念してきただけに、いまさら後方支援という役回りに政権のテイストを変えられない。最終的には政権交代しない限り、新型コロナウイルス問題の収拾は難しいかもしれません。

◆ポスト安倍レースにも影響?

「ポスト安倍」を考えても、新型コロナウイルス問題は転換点になる可能性があります。コロナ対応で、安倍政権の閣僚や与党幹部たちは完全に「落第」です。この鉄火場でリーダーが立ち止まる現状に国民が不安を共有していることにも気づけず、地方への迅速な後方支援体制の確立という、これまでとは違った課題にも対応できていない。

 岸田文雄政調会長(62)、菅義偉官房長官(71)、茂木敏充外務相(64)、河野太郎防衛大臣(57)、石破茂自民党元幹事長(63)……これまで名前が上がっている候補者は、中央で政治をしてきた人です。今後、中央と地方の関係が変わっていくと、地方で成功した首長から「ポスト安倍」に急浮上してくる可能性もあります。国民は新型コロナの経験で、危機に際して次々と対策をとっていくエネルギッシュなリーダーを望むようになっています。今回、紹介した知事たちが生み出す地方からのうねりが、日本政治を変えていくことになるかもしれません

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))

  元稿:文藝春秋社 主要出版物 【週刊文春】 2020年05月05日 18:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2020年07月08日 今日は?】:孫文が東京で中華革命党を結成

2020-07-10 00:04:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2020年07月08日 今日は?】:孫文が東京で中華革命党を結成

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2020年07月08日 今日は?】:孫文が東京で中華革命党を結成

 ◆7月8日=今日はどんな日

  日本人初の女性飛行士向井千秋さんが乗った米スペースシャトルが、打ち上げられる(1994)

 ◆出来事

  ▼孫文が東京で中華革命党を結成する(1914)▼防衛庁が国産初の空対空ミサイルの発射実験に成功する(1963)

200px-Sun_Yat_Sens_Young_Time2.png

  中華民国建国

 ◆誕生日

  ▼中村ゆうじ(56年=タレント)▼三谷幸喜(61年=映画監督)▼八代英輝(64年=弁護士)▼久世星佳(65年=女優)▼谷原章介(72年=俳優)▼秋山真太郎(82年=劇団EXILE)▼古畑星夏(96年=モデル)▼歌田初夏(02年=AKB48)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2020年07月08日  00:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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