路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説】:菅氏が基地リンク論 沖縄振興の原点に戻れ

2020-09-09 08:05:00 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説】:菅氏が基地リンク論 沖縄振興の原点に戻れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:菅氏が基地リンク論 沖縄振興の原点に戻れ 

 菅義偉官房長官は、沖縄の基地負担軽減の成果として、那覇空港第2滑走路増設を挙げ「結果的には(沖縄振興と基地問題が)リンクしている」と述べた。

 次期首相に最も近いとされる菅氏の発言は「金と引き換えに基地を容認せよ」という「アメとムチ」の構図と重なる。この発言は容認できない。沖縄振興の原点に戻ることを強く求める。
 政府は公式に認めていないが、菅氏はこれまでも沖縄の基地問題と沖縄振興のリンクを容認する発言をしている。
 政府の沖縄振興は、日本復帰に向けた沖縄・北方対策庁を経て、1972年5月15日の復帰と同時に設置された沖縄開発庁が担ってきた。その後、内閣府沖縄担当部局に引き継がれている。
 沖縄振興開発特別措置法(沖振法)の条文のどこにも、基地問題と沖縄振興がリンクするとは書かれていない。沖振法の目的は「沖縄の置かれた特殊な諸事情に鑑み、沖縄振興計画に基づく事業を推進する等特別の措置を講ずることにより、沖縄の自主性を尊重しつつその総合的かつ計画的な振興を図る」ことにある。
 ただし、沖縄振興に責任を果たしていく開発庁の役割はあらかじめ限定されていた。前身の沖縄・北方対策庁設置に際し、防衛庁との間で覚書が交わされている。対策庁(後の沖縄開発庁)は復帰後、在沖米軍基地から派生する問題を扱えないように取り決められた。
 本来なら、米軍基地は沖縄振興・発展の最大の阻害要因である、との沖縄の声を重視し、「沖縄の自主性を尊重」すべきだ。しかし覚書に阻まれ、県や市町村が要望しても基地の整理縮小を前提とした振興計画を策定できなかった。
 地方財政法は「地方財政の健全性を確保し、地方自治の発達に資する」ことを目的としている。辺野古新基地建設反対という民意(地方自治)を無視して、基地建設と引き換えに予算をつける(リンク)ことは法の趣旨を逸脱する。
 かつて橋本内閣で普天間返還交渉に奔走した梶山静六官房長官を、菅氏は「政治の恩師」と呼ぶ。梶山氏は山中貞則、橋本龍太郎、小渕恵三、野中広務の4氏らと共に沖縄のよき理解者であった。
 とはいえ、梶山氏は国内の反発を恐れ普天間飛行場の移設先を県外ではなく名護市辺野古とする道筋をつけた。
 山中氏は沖縄振興の原点を、沖縄戦、米国統治と続く県民の苦難の歴史に対する「償いの心」と表現した。当時の橋本首相は、振興策は辺野古移設が前提かと問われ「二つの問題を一緒にされるのはとても悲しく聞こえる」という認識を示している。
 菅氏の基地リンク発言は「償いの心」を破棄し、辺野古新基地を容認するかどうかを迫り、結果的に沖縄を分断することにつながる。今こそ「恩師」らに学び、沖縄振興の原点に立ち返るべきだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年09月05日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:自民党総裁選 地方軽視の派閥「談合」

2020-09-09 08:04:50 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【社説】:自民党総裁選 地方軽視の派閥「談合」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:自民党総裁選 地方軽視の派閥「談合」 

 安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選は、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3氏による構図となる。

 菅氏が立候補表明する前から、主要派閥は「談合」によって支持を決め、菅氏は圧倒的に優位に立つ。事実上の次期首相を選ぶ総裁選を、国会議員の動向で決めるというのでは、地方軽視の「密室政治」との批判は免れず、国民の信頼は得られないだろう。次期政権の正統性が問われる。
 1日に開かれた総務会は、党員・党友投票をせず両院議員総会で選出すると決めた。通常の選挙方式なら国会議員票と地方票が同数だが、今回は地方票の比率が26%に減り、国会議員による多数派工作が勝敗を分けやすくなる。
 菅氏支持の細田、麻生、二階などの5派閥や無派閥議員は、単純計算で議員票の7割を超える勢いだ。地方票を加えた全体でも5割になる。選挙の前から菅氏が圧倒的有利な情勢である。
 そもそも地方票が導入されたのは、派閥の数の力を背景にした総裁選出に党内外から批判が高まったからだ。2014年から国会議員票と同数に増やした。
 より民意に近いと言われる党員・党友の投票をせず投票簡略化にこだわるのはなぜか。
 執行部は、政治空白が生まれると説明する。しかし、小泉進次郎環境相は「政治空白が生まれるという話があるが、政府の組織は回っている」と反論している。執行部の説明は説得力がない。
 党員・党友投票を求め、所属議員3分の1を超える署名が提出されても執行部は受け入れなかった。投票簡略化への根強い反発を踏まえ、執行部は各都道府県連の3票の投票先を党員の「予備選」で決めるよう促す方針を示した。しかし、それでも菅氏優勢は変わらず「ガス抜き」に過ぎない。
 投票簡略化の真の狙いは、地方人気が高い石破氏を封じ込める狙いがあるとの見方が根強い。
 今回の総裁選は、安倍政権を継承するかどうかが焦点になる。5派閥の支持獲得に成功した菅氏は、2日の立候補表明で「安倍政権の取り組みをしっかり継承し、さらに前に進めたい」と明言した。経済政策「アベノミクス」をはじめ、少子高齢化対策、戦後外交の総決算、北朝鮮拉致問題、憲法改正など安倍政権の継承を挙げた。
 ところで、安倍政権は「1強」と呼ばれる強力な政治基盤を背景に、批判や異論、少数意見を排除し数の力で相手をねじ伏せてきた。
 辺野古新基地建設に反対する沖縄との向き合い方に「1強」政治の特徴が表れた。菅官房長官は新基地に反対する翁長雄志前知事との会談で「粛々」と建設を進める姿勢を示したことがある。立候補表明でも建設推進を強調した。安倍政権の継承によって沖縄の民意が無視され県民が分断されるのであれば願い下げだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年09月03日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳】:岸田「継承」で狙う麻生派総裁派閥/08.29

2020-09-09 07:46:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【政界地獄耳】:岸田「継承」で狙う麻生派総裁派閥/08.29

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:岸田「継承」で狙う麻生派総裁派閥/08.29

 ★自民党議員がどんなに第1次内閣と違って決して放り投げたわけではないといったところで、唐突辞任表明すれば投げ出したと思われるだろう。首相・安倍晋三は在職記録を超えて年内ぐらいまではとどまりたいと思っていたようだが、体調気力が許さなかったのだろう。それでも24日の病院の帰りには公務復帰を口にしており、やはり逡巡(しゅんじゅん)の末、辞任選択したのかもしれない。ただ、国民や野党がコロナ禍などで早期国会開会を望んだものの政府与党は10月下旬まで開会する気がなかったことなどを見れば、その予兆首相は感じていたのかもしれない。

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 ★さて後継総裁だが国会開会の時期を10月下旬そのままと考えれば十分総裁選挙を行うことができる。政治停滞を作るわけにはいかないと自民党面々は言うが会見もしない、国会開かないとなれば既に政治空白は続いているといえる。党内思惑両院議員総会での決定になりそうだが、いろいろ工作が続くだろうが国民無視してもいい結果得られないだろう。27日の麻生派幹部の緊急幹部会では総裁選挙になった場合、麻生派にいる防衛相・河野太郎の出馬は派閥として断固阻止することを確認したのではないか。かねて政調会長・岸田文雄でまとめたい副総理兼財務相・麻生太郎岸田首班派閥総裁派閥にしておきたいのだろう。官邸中枢が岸田でまとめたいのは安倍政治継承とともに安倍政治負の部分隠ぺいを受け入れる必要もあるということだろう。

 ★一方、党幹事長・二階俊博は官房長官・菅義偉意中の第1候補に元幹事長・石破茂を担ぐ用意があると両にらみだ。安倍政治継承するのか、安倍政治から遠い石破延命を図るのか。幹部思惑はともかく、この1年以内に総選挙があることから議員心理は自分のポスターと抱き合わせる選挙の顔はだれかと考えるはずだ。選挙中、どの総理総裁が自分の選挙区に応援に来てくれれば有権者がたくさん集まるか、当選3、4回生の安倍チルドレンでさえ、次の選挙の顔血眼で考えるはずだ。

 ★その意味では有権者が安倍政治の継承を求めるのか、安倍政治を否定するのか、週末、地元に帰りそれを探るのが若手の仕事になる。ただコロナ禍の見通しは立たず、景気後退手におえない状況になっていくだろう。26日に中国軍が南シナ海に向けて中距離弾道ミサイル4発を発射した。米国も大統領選挙を前に米中関係も緊迫度を増すだろう。どれも難しい政治判断が迫られるばかり目指すことが短期間で実現できるとも思えない。首相の残りの任期、来年9月までの暫定内閣を「火中の栗を拾うのは得策か」と考えるのが総裁候補本音だろう。国民のために立ち上がるのか、党内調整でかごに乗って担がれるのか、国民いばらの道を乗り越えたいと訴え候補者はいるのだろうか。(K)※敬称略 

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2020年08月29日  08:55:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:首相辞任表明 民意尊ぶ政治の復権を

2020-09-09 07:10:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【社説】:首相辞任表明 民意尊ぶ政治の復権を

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:首相辞任表明 民意尊ぶ政治の復権を 

 安倍晋三首相が辞任を表明した。2012年12月の第2次内閣発足から約7年8カ月。体調が悪化し、職務を継続するのが困難と判断した。

 会見で「政治は結果を出すこと」と強調したが、長期政権にもかかわらず、主要な政策目標は未達成が目立つ。
 沖縄についてこれまで「県民に寄り添う」と繰り返した。しかし、基地問題を巡り歴代内閣の中で最も民意に寄り添わなかった。「この道しかない」と、数の力で押し切る政治を終わらせ、民意を尊ぶ政治の復権を望みたい。
 第2次内閣発足以降、デフレ脱却の経済政策「アベノミクス」を推進した。名目国内総生産(GDP)600兆円の目標を掲げたが、達成していない。財政健全化のための基礎的財政収支(プライマリーバランス)の20年黒字化は先送り。指導的役割を占める女性の割合が20年に「30%」という「女性活躍」目標も達成せず。北方領土問題や拉致問題は解決できなかった。
 国政選挙で連勝し「安倍1強」体制を築く。しかし、17年の衆院選小選挙区で自民党は得票率5割に満たないが7割超の議席を獲得した。現行の小選挙区制のひずみである。
 だが、安倍政権が信任されたと強弁して、集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法、特定秘密保護法、「共謀罪」法を国民の根強い反対を無視して成立させてきた。長期政権のおごりは森友・加計問題、首相主催の「桜を見る会」の私物化疑惑に表れた。
 沖縄には国内の米軍専用施設の約7割が集中し、米軍による事件や事故が相次ぐ。今年6月23日の「慰霊の日」に首相はビデオ映像を通じて「基地負担の軽減に向け、確実に結果を出す決意だ」と述べた。「唯一の解決策」として、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を強行する。対米交渉で辺野古以外の解決策を見いだそうとしなかった。
 米軍基地問題に対する県政の姿勢によって沖縄関係予算を増減させ、県を通さず国が市町村に直接交付する「沖縄振興特定事業推進費」を創設、地域の分断を図ろうとした。「アメとムチ」の政策である。
 辺野古の問題で昨年12月、埋め立て海域の約70メートルより深い軟弱地盤への対処などのため、総工費が当初計画の約2・7倍の約9300億円とする計画見直し案を発表した。しかし、技術的にも財政的にも完成は見通せない。
 安倍首相の大叔父に当たる佐藤栄作首相は、琉球政府の屋良朝苗主席に対し「本土の(基地)負担を沖縄に負わすようなことはしない」(1971年)と明言した。だが約束は今も果たされていない。
 安倍政権は、国政選挙や知事選挙、県民投票などで辺野古新基地建設反対の民意が示されても無視してきた。民主主義を形骸化させ、少数の国民に基地の負担を押し付けてはばからない政権として、歴史に名が刻まれるだろう。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年08月29日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:首相の連続在職最長 県民に寄り添わない政治

2020-09-09 07:10:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【社説】:首相の連続在職最長 県民に寄り添わない政治

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:首相の連続在職最長 県民に寄り添わない政治

 「安倍1強」と言われ、民意を無視し地域社会を分断する政治手法は、米国統治時代の沖縄の高等弁務官をほうふつとさせる。歴代政権の中で、これほど県民に寄り添わない政治があっただろうか。
 連続在職日数が長い首相を振り返ると、2位は安倍首相の大叔父・佐藤栄作氏。沖縄の施政権返還を実現した。3位の吉田茂氏は、サンフランシスコ講和条約や日米安保条約を締結した。では安倍政権は一体何を成し遂げたのか。
 長期政権となった自民党の3首相と沖縄の関わり方に共通点がある。日米同盟安定のために沖縄を利用してきたことである。
 歴代3位の吉田首相は、沖縄を日本から切り離したサンフランシスコ講和条約締結時に政権を担当している。
 講和条約交渉が東京で行われた1951年1月30日、ダレス米特使に対し、講和後の沖縄の取り扱いについて「バミューダ方式(99年間の租借)」で沖縄を米国に貸すことを提案している。日本が独立を果たした際、国の安全を米国に守ってもらう代わり、沖縄を差し出すという内容だ。首相の提案は、天皇が長期の貸与(リース)を申し出た47年の「天皇メッセージ」を具体化するような内容となっている。
 2位の佐藤首相は、沖縄返還を実現したことで知られる。
 しかし、日米が沖縄の施政権返還で合意した69年11月の首脳会談で、緊急時に核を再び沖縄に持ち込む密約をニクソン大統領と交わしていた。米軍が負担すべき沖縄の米軍用地の原状回復費や、米国の短波放送中継局の解体移転費用についても、日本側が肩代わりするという密約を交わしている。
 その佐藤首相を抜いて1位に躍り出たのが安倍首相である。第2次政権発足後、「唯一の解決策」として一貫して米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を進める。対米交渉によって、辺野古以外の解決策を見いだそうとしない。
 安倍政権は「沖縄振興特定事業推進費」を新設した。県を通さず国が直接市町村へ交付できるため、国の関与の度合いが強まった。国の施策に沿う自治体を優遇する新たな「アメ」として、地域分断に使われる懸念は拭えない。
 かつて高等弁務官が、沖縄統治のため琉球政府を通さず直接市町村に配分した高等弁務官資金の手法と似ている。
 民主主義を形骸化させ、力で押し切ろうという姿勢も際立つ。「自治は神話」と強弁し、都合のいい布令を繰り出し直接統治したキャラウェイ高等弁務官のようである。
 「県民に寄り添う」と繰り返すが、選挙で辺野古新基地建設反対の民意が示されても無視する。少数者に負担を押し付けてはばからない。この長期政権が県民に弊害をもたらしていることは間違いない。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年08月25日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:ドローン取材規制 基地の実態伝えられない

2020-09-09 06:01:20 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説】:ドローン取材規制 基地の実態伝えられない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:ドローン取材規制 基地の実態伝えられない 

 戦争中の広島県呉市を描いたアニメ映画「この世界の片隅に」で、絵が好きな主人公すずが段々畑から見える呉湾をスケッチしていると、憲兵にスパイ行為だと厳しく言い寄られる場面がある。呉は軍港である。海岸線の写生や写真撮影は禁止されていた。

 アニメが舞台にした時代の日本を彷彿(ほうふつ)とさせる法律が改正ドローン規制法だ。テロ防止などを理由に、6日から米軍基地やその周辺で小型無人機(ドローン)による飛行が原則禁止された。同時にドローンを飛ばす場合、30日前までに米軍の同意が必要になる。
 これでは基地内で発生した出来事に対応できず報道の自由が侵害される。国民の知る権利に応える報道は、高い公共性を有し、憲法によって保障されている。取材規制によって、国民に基地の実態が伝えられなくなる。知る権利を侵害しないよう法律の改正を強く求める。
 7年8カ月にわたって国政を担った安倍政権は、しばしば沖縄で基地問題取材の自由を制約した。
 2016年8月、東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に抗議する市民を取材中の本紙記者ら2人が機動隊によって拘束され、取材を妨害された。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)は、「沖縄の報道の自由が脅かされている」とする声明を発表したが、安倍政権は問題はなかったとする政府答弁書を閣議決定した。
 辺野古新基地建設を巡り17年1月、沖縄防衛局は報道各社に、刑事特別法の条文を示し、辺野古沖に設定した広大な臨時制限区域に立ち入らないよう求める文書を送付した。マスコミの取材活動を制限する狙いは明白だ。
 19年6月、言論と表現の自由に関する国連のデービッド・ケイ特別報告者は、国連人権理事会に報告書を提出。辺野古新基地建設の抗議活動などに日本の当局が圧力を加えたり、過度に規制したりし続けていると批判した。菅義偉官房長官は報告書が言及した政府によるジャーナリストへの圧力は「全くないと思っている」と反論している。
 そして昨年成立した改正ドローン規制法に基づき、飛行禁止区域の対象に米軍の「防衛関係施設」が初めて追加された。キャンプ・シュワブ、嘉手納基地、普天間飛行場など県内5施設を含む15カ所を対象とした。防衛省は今後、段階的に規制対象を拡大する。
 特に政府が建設を強行しているキャンプ・シュワブ沖の辺野古新基地建設現場の上空取材が困難になる。
 安倍晋三首相は言論統制につながる法律を残して去る。辞任表明に伴う自民党総裁選が8日告示された。
 菅官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3候補は、言論の自由をないがしろにした安倍政治を是認するのかどうか、立場を明確にしてもらいたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年09月09日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:秋雨前線

2020-09-09 05:05:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【卓上四季】:秋雨前線

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:秋雨前線

 秋雨(あきさめ)という言葉は春雨(はるさめ)に対するものとして江戸時代中ごろに登場したそうだ。金田一春彦さんによると、当時は日本語の乱れとして歓迎しない向きもあり、「俳語論」という本には、「あられぬ事どもの出来(いでく)るこそなげかはしけれ」と記された▼それでも、木の葉をぬらす雨音や湖面の水紋が目に浮かぶような風情がある言葉は、多くの俳人や歌人に愛好された。石川啄木や芥川龍之介も美しい歌を残している。共感や理解があれば、言葉は定着するものだ▼気象用語となった秋雨前線もその一例だろう。台風シーズンには前線が刺激されて大雨となることもあるため、おのずと警戒心も高まる▼台風10号でも対馬海峡付近で停滞する前線が活発化し、各地で被害をもたらした。特別警報こそ出されなかったものの、気象庁の注意喚起により、早めの避難行動を取った人も多かった▼ただ「数十年に1度」「過去経験のない」といった表現も多用されると、切迫感を後退させることにならないだろうか。「命を守る行動を」という呼び掛けも、いささか抽象的だ▼内閣府は来年、違いが不明瞭と指摘された避難勧告と避難指示を一本化する。不断の検証は当然とはいえ、用語も根付かなければ実効性は高まらない。コロナ禍でも実に多くの「警報」や「宣言」が飛び交い、「指針」や「モデル」が登場した。変わりやすいのは秋の空だけで十分である。2020・9・9

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年09月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2020年09月07日 今日は?】:ブラジルがポルトガルから独立

2020-09-09 00:04:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【2020年09月07日 今日は?】:ブラジルがポルトガルから独立

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』: 【2020年09月07日 今日は?】:ブラジルがポルトガルから独立

 ◆9月7日=今日はどんな日

  2020年夏季五輪・パラリンピックの東京開催が決定(2013)

 ◆出来事

  ▼ブラジルがポルトガルから独立(1822)▼ベネチア国際映画祭で稲垣浩監督の「無法松の一生」が金獅子賞を受賞(1958)

 ◆誕生日

▼山本コウタロー(48年=タレント)▼姿晴香(52年=女優)▼長渕剛(56年=音楽家)▼日之内エミ(82年=歌手)▼大久保麻理子(84年=タレント)▼森田涼花(92年=タレント)▼山崎賢人(94年=俳優)▼小坂菜緒(02年=日向坂46)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2020年09月07日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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