路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:1次産業政策 競争一辺倒でいいのか

2020-09-22 05:05:30 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説①】:1次産業政策 競争一辺倒でいいのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:1次産業政策 競争一辺倒でいいのか 

 7年8カ月に及んだ安倍晋三前政権で、農林水産業は常に規制改革の標的にされた。

 菅義偉首相は官房長官として、地域農協との分断につながるJA全中の一般社団法人化などを進めた。首相就任会見では、競争導入で農水産物の年間輸出額が「9千億円まで伸びた」と強調した。

 酪農など国の支援事業で大規模化、集約化が進む分野もある。だが、多くの現場は生産者人口の減少と高齢化で疲弊している。

 新型コロナ禍で世界的に需要が減退し、「25年に2兆円」とした輸出目標の達成も厳しい。

 規制緩和で企業などの新規参入を進め、高く売れる農水産物の輸出を拡大するという成長シナリオは事実上頓挫したといえる。

 立ち止まり、国内の生産基盤強化に軸足を移すべきだ。

 次の国会では種苗法改正案が審議される見通しだ。道産米ゆめぴりかなど登録品種の不正な海外持ち出し禁止が主な狙いで、それ自体は知的財産保護にかなう。

 だが、国内農家が登録品種から種や苗を育てた「自家増殖」も許可が必要となり、許諾料の負担が生じるとの懸念は消えない。

 安倍政権は2年前、コメなどの種子開発を都道府県に義務付けた主要農作物種子法を廃止した。新たな法律で、その研究成果を民間へ提供するよう促していた。

 これでは、従来は「公のもの」だった在来種を基に、多国籍企業などが新品種に育成して登録すれば、独り占めできてしまう。

 国有林では今春の改正法施行で最長50年間、企業に対し大規模に伐採・販売する権利を与えた。

 12月施行の改正漁業法は、資源保護のため漁獲上限を設ける魚種を漁獲量全体の8割に拡大する。

 追加検討の15魚種には、道内の漁協が自主規制で資源を増やしてきたホッケも含まれる。一方で漁協などへの漁業権優先割り当てを廃止し、企業への開放を強める。

 気がかりなのは、一連の政策がすべて、規制改革推進会議や未来投資会議など官邸の意を体した有識者会議から発信されたことだ。

 人口減で国内市場が縮小する中、自動車や電機のように「日本の食」を輸出産業化する考えだ。

 だが、コロナ禍に直面し、ロシアなどは一時、輸出規制を強化して自国の食料確保を優先した。

 日本は昨年度の食料自給率がカロリーベースで38%にすぎない。輸出増よりも安定的な国内供給が先だろう。過度な競争で、現場がつぶし合う余裕はないはずだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年09月22日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:コンビニ改革 加盟店を支える本部に

2020-09-22 05:05:20 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説②】:コンビニ改革 加盟店を支える本部に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:コンビニ改革 加盟店を支える本部に 

 コンビニエンスストア本部がフランチャイズチェーン(FC)加盟店に24時間営業や仕入れを強制すれば、独占禁止法違反に当たる可能性がある―。

 公正取引委員会はこうした見解を示し、大手8社に対して自主的な点検と改善を行い、結果を11月末までに報告するよう求めた。

 本部との対等とは言いがたい関係に苦しむ加盟店の問題に、公取委が乗り出した事実は重い。

 各社は公取委の指摘を真摯(しんし)に受け止め、加盟店との関係改善を進める必要がある。

 公取委が昨年10月~今年8月に行った実態調査では、回答した約1万2千店のうち、66・8%が時短営業への切り替えや実験を行いたいと回答した。

 店のオーナーの休みは月2日ほどで、年収は5年前より約200万円減ったという。過酷な加盟店の実態が改めて浮き彫りとなり、放置することは許されまい。

 大きな要因はコンビニのFC契約にあると指摘されている。

 人件費などを差し引く前の加盟店の粗利益が多いほど、本部の取り分も増える方式だからだ。

 本部にとっては、加盟店が長時間営業する方が都合が良い。

 消費期限間近の商品の値引き販売も粗利益の減少につながるため、本部は消極的になる。

 これらの課題は以前から指摘されていた。各社で状況は異なるが、業界として改善の努力を怠ってきたと言わざるを得ない。

 また、経営ノウハウや商品の仕入れを本部に依存するため、本部の意向が強くなりやすい。

 実態調査でも、51・1%が本部の推奨により意に反して仕入れる商品があると答えた。

 こうしたビジネスモデルは、売り上げが右肩上がりで労働力も容易に確保できた時代には、本部と加盟店双方に恩恵があった。

 だが、市場が飽和状態となり人手不足が深刻化した現在、限界に達しつつあるのではないか。

 各社は時短営業の導入など改善策に取り組み始めているが、まだ限定的だ。実態調査では、本部が時短交渉を拒絶しているとの回答が8・7%あった。

 公取委は、一定の地域に集中出店して市場占有率を高める「ドミナント出店」で、本部が競合する既存店に約束していた配慮や支援を実行しなかったとの回答が多いことも問題視している。

 本部は加盟店と向き合い、長く共存共栄できる運営体制の構築に自ら乗り出してもらいたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年09月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:風評被害

2020-09-22 05:05:10 | 【電力需要・供給、停電・エネルギー政策・原発再稼働・核ゴミの中間最終貯蔵施設他

【卓上四季】:風評被害

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:風評被害

 いまから約200年前の江戸で、「蕎麦(そば)を食べるとあたって死ぬ」といううわさが流れた。「中毒者が出た」とか、「洪水で不作になった綿畑にまかれた種が原因」という説が広がり、蕎麦屋の休業が続出したという▼鈴木浩三著「江戸の風評被害」にある話だ。広く普及していたわりには、蕎麦に対する人々の知識が少なく、疑心暗鬼の連鎖を生んだ、というのが著者の分析である▼後志管内の寿都町や神恵内村で論議を呼んでいる核のごみ最終処分場選定に向けた文献調査への応募に関し、住民の間に地元産品が風評被害を受けるのではないかとの懸念が広がる。文献調査をしただけでも被害が心配という声も聞く▼まちのリーダーたちは「まずは勉強しよう」と呼びかける。江戸の話で言えば「蕎麦をもっと知ろう」ということになろう。ただ、風評被害は科学的根拠のあるなしにかかわらず、イメージが生み出す側面がある。勉強すれば防げるとは限らない▼この分野に詳しい関谷直也東大大学院准教授は「不安は理解できる」と語る。文献調査だけでも、将来への不安から移住や企業進出を取りやめたり、農水産物の安定供給が滞る懸念から仕入れ先を他の産地に切り替えたりすることはあり得るからだ▼両町村の動きはすでに全国から注目されている。どんな結論を出すにしても、何世代も先を見据えた上で慎重に考えなくてはなるまい。2020・9・22

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2020年09月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

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