内閣総理大臣が代わったら株価はどうなるのでしょうか? ちょっと気になったので過去のデータを調べてみました。安倍首相の後継を決める自民党総裁選が14日に実施され、菅氏が新総裁に選出されました。16日に召集された臨時国会では衆参両院の首相指名選挙が実施され、菅総理が誕生しました。

 内閣総理大臣が代わるパターンとしては<1>衆議院選挙の結果などから政権交代が起きたとき<2>同じ政党内で単純に人が代わる場合。この2つが主なパターンでしょう。今回は総理交代は、<2>のパターン。自民党内で人が代わっただけなので、過去のデータは、このパターンだけをピックアップしました。

 対象は社会党から自民党へ政権が戻った96年以降の8回分です。調査結果、総理が代わる半月前から半月後まで、約1カ月は、ゆるやかに株価が上昇傾向にあることがわかりました。しかしその後、じわじわと株価が下落し、代わってから1カ月半後には平均で7%程度も下落しています。

 これはリーマン・ショックで強烈な下落となった麻生総理の時を除いて出した値であり相当な下げです。菅総理の就任は16日でした。そこから半月後となる10月上旬までは、過去のデータからは株価が上昇しやすくなります。しかしそこで調子に乗るのは我慢した方が良さそうです。その後は一転して株価が下落しやすくなるからです。

 この株価の推移は転校してきた生徒や、新入社員の扱いに似ています。最初は珍しさでチヤホヤされ、実力以上に持ち上げられます。しかし、その時期を過ぎれば、性格や実力を評価される段階になります。総理の交代時は狙い目でもありますが、慎重さも必要です。

 ◆夕凪(ゆうなぎ) 

 1967年(昭42)、新潟県生まれ。電気通信大卒。大手IT企業に勤めながら04年に30万円から始めた投資資金で億超えを達成。12年に退職し、専業投資家の道を選ぶ。「イベント投資」の名付け親。ツイッターのアカウント「夕凪」で投資情報を随時更新中。著書に「スタバ株は1月に買え!」(東洋経済新報社)。