【菅首相】:野党時代に「棒読み」「答弁逃れ」批判 そのまま跳ね返る
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【菅首相】:野党時代に「棒読み」「答弁逃れ」批判 そのまま跳ね返る
菅義偉首相の野党時代の発言が、改めて注目を浴びている。当時の民主党政権の「答弁はぐらかし」や「原稿棒読み」を激しく批判していたが、それが現在の自らの姿勢にそのまま当てはまるからだ。政治家の発言に対する責任や整合性を問われ、批判はブーメランのように返ってきている。
「政治責任という(言葉の)定義は、これ、ないんじゃないでしょうか」。5日の参院予算委員会で、首相は野党議員から長男らによる総務省幹部の接待問題に対する政治責任を再三問われてこうかわした。
ところが、首相は2010年2月5日の衆院予算委で、当時の鳩山由紀夫首相に対して政治資金疑惑が浮上していた小沢一郎氏の民主党幹事長辞職を迫り、自らこの「政治責任」の言葉を使って追及している。「刑事責任とは別に、政治的道義的責任というのは当然あり得ると思いますが、総理はどう考えますか」
接待問題の発覚以降、野党は首相から長男への事実確認を求めたが、首相は「総務省で調査を行っている中、行政府の長として避けるべきだ」と拒否してきた。一方、11年前の同じ予算委で、小沢氏の疑惑について鳩山首相が「確認はしていない。行政の長として所見は差し控える」と述べると、野党議員だった首相は「全くおかしい。これだけ重要な事案を確認していないのは、私は信じられない」と語気を強めた。
国会でのやりとりだけではない。首相は11年1月の自らのブログに、民主党政権の閣僚の国会答弁について「原稿を早口で棒読みするなど、全く誠意も緊張感も感じられない」と記した。だが、現在は首相自身が記者会見などで「棒読み」と指摘を受けている。
首相就任後、野党時代に書いた著書「政治家の覚悟」を再編して発行した際は「公文書の重要性」などを訴えた部分を削除した。これに関しては安倍政権以来、新型コロナウイルス対策関連の会議での議事録未作成や「桜を見る会」などの文書を廃棄した姿勢との関連を問われた。
1月の衆院予算委で、立憲民主党の本多平直氏が野党時代の舌鋒(ぜっぽう)鋭い質疑を引き合いに「この時のあなたはどこへ行ったんですか」と問うと、首相は「記憶にありません」とだけ答えた。(鈴木誠)
元稿:北海道新聞社 主要ニュース 政治 【政局・菅政権】 2021年03月08日 11:36:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。