【社説①】:ジェンダー平等 政策の中心に据えねば
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:ジェンダー平等 政策の中心に据えねば
きょう八日は国際女性デー。森喜朗氏の女性蔑視発言に端を発したジェンダー平等を巡る議論は、日本が「後進国」である現実を浮き彫りにした。その背景に政治の不作為を指摘せざるを得ない。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年03月08日 07:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:ジェンダー平等 政策の中心に据えねば
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:ジェンダー平等 政策の中心に据えねば
きょう八日は国際女性デー。森喜朗氏の女性蔑視発言に端を発したジェンダー平等を巡る議論は、日本が「後進国」である現実を浮き彫りにした。その背景に政治の不作為を指摘せざるを得ない。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年03月08日 07:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:孤独・孤立対策 一人一人に寄り添って
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:孤独・孤立対策 一人一人に寄り添って
担当相を置くなど、政府が社会的な「孤独・孤立」の対応に本腰を入れ始めた。コロナ禍の中で自殺者が増えているのも、孤独問題と無縁ではあるまい。命を守る観点から対策を加速させてほしい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年03月08日 07:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【筆洗】:劇作家の井上ひさしさんは飲食店に入れば、箸の袋やコースター…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:劇作家の井上ひさしさんは飲食店に入れば、箸の袋やコースター…
劇作家の井上ひさしさんは飲食店に入れば、箸の袋やコースターに何を食べたか、誰と食べたかに加えて、値段までメモしていたそうだ。帰宅後、これを日記帳に貼る▼どうしてそんなことまでと娘さんが尋ねたそうだ。「値段をつけておけば、十年後二十年後に資料になるかもしれない」。きっと井上さんに店の名と料理を教えれば、値段をぴたりと当てただろう▼こちらの「値踏み」は相当、ひどい。総務省幹部がNTTから高額接待を受けていた問題である▼NTT側を含めた四人で約十九万三千円の会食。だいたい一人あたりが四万八千円となるが、この総務省幹部、会費として五千円を支払い、これで自分も応分の負担をしたと考えていたという。五千円の身銭を切っているのだからまるっきりの接待とは違うとでもおっしゃりたいのか▼当日、どんな料理が並んだのかは知らぬが、出てくる料理や酒の量でおよその総額と人数分の割り算で自分がいくら払うべきなのかを想像し、時に震えながら箸を進めるというのが、普通の会食だろう。払うべき金額を約十分の一で見積もるとはえらい役人さんにしては数字に弱すぎる▼仲間うちの飲み会でこんなことをすれば、あとでなにを言われるか。決めつけるわけにはいかぬが、勘定にびくびくなんぞしていなかったのだろうと疑っている。人が払う金なら割り算の必要はない。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2021年03月08日 07:09:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【私設・論説室から】:不平等はメディアにも
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私設・論説室から】:不平等はメディアにも
なぜ日本のメディアは、ジェンダー平等がこんなに遅れているんですか?
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【私設・論説室から】 2021年03月08日 07:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【菅首相の一日】:3月7日(日)
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【菅首相の一日】:3月7日(日)
【午前】7時31分、JR東京駅。9時57分、のぞみ81号でJR京都駅。10時38分、京都市左京区の国立京都国際会館。辻裕教法務事務次官、内田俊一同館館長ら出迎え。11時2分、第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)の開会式に出席し、スピーチ。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】 2021年03月08日 07:08:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【ふくしまの10年・東京で暮らしていく】:(3)ママ、もう1回歌いなよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ふくしまの10年・東京で暮らしていく】:(3)ママ、もう1回歌いなよ
元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【東京電力福島第一原発事故・東日本大震災】 2021年03月11日 06:33:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【ふくしまの10年・東京で暮らしていく】:(2)ホテルで避難生活
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ふくしまの10年・東京で暮らしていく】:(2)ホテルで避難生活
元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【東京電力福島第一原発事故・東日本大震災】 2021年03月10日 07:37:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【ふくしまの10年・東京で暮らしていく】:(1)心のずれに もやもや
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ふくしまの10年・東京で暮らしていく】:(1)心のずれに もやもや
元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【東京電力福島第一原発事故・東日本大震災】 2021年03月09日 07:47:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【東日本大震災10年】:戻れない古里 今も4万1241人が避難
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:」【東日本大震災10年】:戻れない古里 今も4万1241人が避難」
死者・行方不明者2万2200人に上る戦後最大の自然災害となった東日本大震災は11日、10年の節目を迎えた。津波に襲われた岩手、宮城両県の沿岸部には災害に強い新たなまちが生まれた。福島県では東京電力福島第1原発事故による避難指示の解除が進んだが、帰還できない土地が残る。
町のあちこちに立つ「帰還困難区域につき通行止め」の看板=福島県双葉町で、高尾具成撮影
今も避難する人が全国に4万1241人いる一方、被災42市町村の人口は10年前に比べて4・3%減った。人が戻れない、戻らない被災地は、10年の歳月を経てもなお復興が途上である現実を突きつけている。
2011年3月11日午後2時46分に三陸沖を震源とする国内観測史上最大となるマグニチュード9・0の巨大地震が大地を揺らした。高さ30メートルを超える大津波が押し寄せ、人々の命とまちをのみ込んだ。
警察庁の10日時点のまとめなどによると、死者1万5900人、行方不明者2525人。その範囲は12都道県に及ぶ。全半壊した家屋は40万5161棟。原発事故によって今も人が住めない地域は、福島県の7市町村337平方キロ。復興庁などによると、避難生活の末に衰弱したり自殺したりした関連死は3775人に達している。【関谷俊介】
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社会 【災害・地震・津波・東京電力福島第一原発事故・東日本大震災】 2021年03月11日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【東日本大震災・あれから10年】:「花は咲く」の先は…岩井俊二監督の直筆
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東日本大震災・あれから10年】:「花は咲く」の先は…岩井俊二監督の直筆
<あれから10年…忘れない3・11~東日本大震災~>
宮城県仙台市出身の岩井俊二監督(58)は、東日本大震災発生1年後の12年3月、NHKの復興支援ソング「花は咲く」の作詞を担当した。発生から10年目の今年、鈴木京香、西田敏行をはじめ岩手、宮城、福島3県ゆかりの俳優らが歌詞を朗読でつなぐ映像「花は咲く 2021」を監督した。岩井監督が10年、抱き続けた被災地への思いと、未来への願いを語った。また日刊スポーツのリクエストに「花は咲く」の、その先のメッセージを寄せた。【取材・構成=村上幸将】
東日本大震災発生から10年、抱き続けた被災地への思いと、未来への願いを語った岩井俊二監督(所属事務所提供)
岩井俊二監督が、東日本大震災発生から10年にあたり、寄せた直筆メッセージ
◇ ◇ ◇
震災発生時、米ロサンゼルスに滞在していた岩井監督は4月に帰国し、5月に宮城県荒浜、石巻、塩釜を回った。その後、作詞の打診を受けたが、復興支援というコンセプトに違和感を覚えた。
「震災は人それぞれ向き合い方があり、大勢でスクラムを組んで歌う応援歌より、1人が向かい合いやすいんじゃないかと。イマジネーションの源泉、聖地でもある仙台に、懐かしさと愛情を込めて私の言葉として書いた。ご家族を亡くした方のお話を聞く機会があって、人と人の関係は互いの記憶によって成り立っている…その尊さについて、ものすごく考えさせられた。生きていようがいまいが、大切な人を身近で感じ続けることは大事だろうと」。
この考え方は、18年に仙台で初めて撮影した映画「ラストレター」など、震災後の作品に通底している。
「共通しているのは、亡くなった存在があって、というところ。近しい人が亡くなった時、どう受け入れ、どうなっていくのか。「ラストレター」で、さらに具体的に物語として描いた気がする。意識的に繋がったというより、この10年で自分の中の一大テーマだった。何をやっても、そういう作品になっていった」。
同じチームで今年、撮った映像で「花は咲く」の歌詞と再び向き合った。
「大切な方を亡くされた方々にとっては、時計が止まっているような状態もあるだろう。原点回帰というか今も傷つき、苦しい思いをされる方に、思いをはせることに意味があると思う」。
11年夏、東京は20年五輪の開催都市に立候補。12年には正式な立候補都市に選定された。この頃から、疑問を抱いてきた。
「やっぱり、ケガを負ったんだと思うんですね。日本を1つの命として考えれば、大事に治すタイミングはあるはず。五輪は国が健康な状態の時にやるべきこと。被災地の治療に集中しなきゃいけない、お金も投じなきゃいけない時期に五輪事業を始めた。無理やり立ち上がろうとしたからケガが悪化し、異常な予算の高騰に繋がったりとか。本当に五輪は無理して、転ぶを繰り返していた気がする」。
発生から10年の今、コロナ禍が世界を直撃したことは考える機会だという。
「世界中が、いやがおうでも立ち止まらなきゃいけない状況になったことで、やっと少し立ち止まれるタイミングを得たようにも見える。考え、反省して、未来を進んでいくためにも震災とそれからの10年間を振り返りながら、傷の具合を見てやっていく必要がある」。
10年が経過したからこそ期待もある。
「人生において、ものすごい強烈な体験をした人たちが打ち負けるのかというと、逆にタフな人間を生み出すだろうという期待もすごくある。原発事故の問題を、何とか解決しようという研究者、復興を頑張ろうという中である種の進化を遂げていく若い子だったり。“震災世代”が活躍する日は必ず来るというイメージは、ずっと持っている」。
◇ ◇ ◇
◆「ラストレター」
岸辺野裕里(松たか子)は姉未咲の葬儀で、姉の面影を残す娘・遠野鮎美(広瀬すず)から未咲宛ての同窓会の案内と残した手紙の存在を告げられる。姉の死を知らせるために同窓会に行き、姉と勘違いされた裕里は、自身の初恋の相手乙坂鏡史郎(福山雅治)と再会。未咲のふりをして鏡史郎と文通を始めるが、その内の1通が鮎美に届いてしまう。そのことをきっかけに、鮎美は過去をたどり始める。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・災害・地震・津波・東日本大震災~あれから10年】 2021年03月11日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【東日本大震災・あれから10年】:radiko震災10年の朗読企画 上野樹里ら参加
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東日本大震災・あれから10年】:radiko震災10年の朗読企画 上野樹里ら参加
<あれから10年…忘れない3・11~東日本大震災~>
ネットラジオのradikoは、東日本大震災を風化させない取り組みとして、“日常生活の尊さ”をテーマにした詩のオリジナル朗読コンテンツ「311 VOICE Message」をradiko内に特設サイトとして設置する。
上野樹里(2019年8月18日撮影)
3月11日午前0時から19日深夜0時まで。 この企画は、今を生きる“日常生活の尊さ”をテーマにした詩の朗読コンテンツを通して、日常を消失させた東日本大震災の風化を防ごうという取り組み。1つの詩を、本企画に賛同した俳優が、それぞれの表現で朗読する。
詩は、CMディレクターで小説家でもある高崎卓馬氏のオリジナル。朗読に込めた想いを高崎氏は「コロナの影響のなか、あの震災から10年が経とうとしています。忘れてはいけないあの出来事から私たちが学ばなければいけないものは何か。そんなことを考えて言葉をならべていきました。たくさんの俳優さんたちに音読をしていただき、それぞれの思いが重なり、そのどれもがすこしずつ違う意味を帯びて立ち上がります。耳は心のそばにあるのだと聞いたことがありますが、みなさんの声を通してこの詩を聞くとそれを実感します」と話している。
この企画に賛同し朗読した俳優は以下の通り(50音順)。
安藤サクラ、伊藤沙莉、上野樹里、大森南朋、門脇麦、岸井ゆきの、窪田正孝、桜井ユキ、佐藤健、土村芳、長沢樹、松岡茉優、松田翔太、本木雅弘。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 芸能 【話題・災害・地震・津波・東日本大震災~あれから10年】 2021年03月10日 18:23:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【東日本大震災・あれから10年】:震災支援の台湾に感謝 展示会で捜索隊員へ記念品
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東日本大震災・あれから10年】:震災支援の台湾に感謝 展示会で捜索隊員へ記念品
<あれから10年…忘れない3・11~東日本大震災~>
東日本大震災から11日で10年となるのを前に、台湾台北市で10日、東北の当時や現在の様子を示す写真や日本の多数の漫画家による色紙などを展示し、支援してくれた台湾に感謝を表明する記念展示会の開幕式が行われた。展示は21日まで。
台北市の記念展示会場に展示された石巻日日新聞の記事(共同)
10日、東日本大震災の現場で救助活動に当たった隊員に記念品を贈る日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰代表(中央)(共同)
日本の対台湾窓口機関である日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰代表は「最も苦しい時に差し伸べてくれた温かい手を日本は決して忘れない」とあいさつ。現地で救助活動に当たった捜索隊員らに記念品を手渡した。
台湾の呉■燮外交部長(外相)は2018年の東部・花蓮県を襲った地震や、中国による果物禁輸の際の日本の支援に謝意を示し「この10年、台日は互いに支援し合ってきた。これからの10年も相手を思いやり続けると信じている」と述べた。
会場では震災で輪転機が被害に遭い、手書きの壁新聞で被災者に情報を伝えた石巻日日新聞(宮城県石巻市)の記事のパネルも展示された。
台湾は震災の際、国・地域別で最大規模の義援金200億円超を提供した。(共同)
※■は金ヘンにリットウ
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・災害・地震・津波・東日本大震災~あれから10年】 2021年03月10日 16:40:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【東日本大震災・あれから10年】:福島原発で働く息子のお母さんへ/有働由美子
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【東日本大震災・あれから10年】:福島原発で働く息子のお母さんへ/有働由美子
<あれから10年…忘れない3・11~東日本大震災~>
3月11日で、2011年の東日本大震災から10年になる。何度も東北を訪れているフリーアナウンサーの有働由美子さん(51)が、これまで触れあってきた東北の女性たちへメッセージを贈る。有働さんが今伝えたい思いとは。(9日、10日、11日のお昼頃3回配信予定)
◇ ◇ ◇
忘れられない1通のファクスがあります。
震災から何日かがたった、NHK「あさイチ」に届いた女性からのメッセージ。当時福島第一原発の爆発による放射能漏れへの非難が集中していました。不安は放射能そのものにとどまらず、原発、そこで働く人達へも向けられ、原因究明のためと言うより、非難のための非難も少なくありませんでした。
そんな中、そのファクスにはこう書いてありました。「うちの息子は福島第一原発で働いています。みなさまにご心配とご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。でも、、、うちの息子は地震が起こってから一度も帰ってきていません。連絡もありません。生きているのかどうかもわからない。けれどなんとかしようと、みなさんにご迷惑をかけないようにと、放射能の中作業している息子のような人間もいることだけわかっていただければ(要約)」
あのとき放射能についての情報が不足していた。想像を超えた地震の被害に誰もが不安と疲れがピークに達していた。その吐き出しどころを福島原発に、その周辺の人に向けていた。そこに働く人、そこに住む人も、不安な思いを抱える同じ人間なのに。
災害が起これば、被害を最小限に食い止めようと情報のない中、危険な現場に突入する人、命がけで救助に向かう人、遺体の捜索をする人がいます。そうやって働く人がいて、そしてその人それぞれに家族がいる。その家族の思いを想像したときに、どんな言葉を選べばいいのか。冷静になれば当たり前に気づくことに、災害時は気づかないことがあります。
あのファクスはそれを、見ていた人みんなに気づかせてくれるメッセージでした。
あのとき、あのメッセージを発信するのはとても勇気がいることだったかもしれません。でもどんなときにも忘れてはいけない大切なことを気づかせてくれました。
匿名のファクスでしたが、10年経って、今あらためて、ありがとうございました。とお伝えしたいです。【有働由美子】
◆有働由美子(うどう・ゆみこ)
日本テレビ系「news zero」キャスター。元NHKアナウンサー。東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター客員研究員。防災テーマのインスタグラム https://www.instagram.com/udoyumiko/ ニッポン放送「うどうのらじお」毎週金15時30分~。「文藝春秋」マイフェアパーソン。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・東京電力福島第一原発事故・東日本大震災~あれから10年】 2021年03月10日 11:50:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説①》:大震災10年 福島の再生 ともに歩む決意を新たに
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:大震災10年 福島の再生 ともに歩む決意を新たに
10年前のきょう、私たちが経験したのは人類史上例のない複合災害だった。
東日本大震災による東京電力福島第1原発事故で、福島の人たちは故郷を離れざるをえなかった。今も県内外で3万5000人以上が避難生活を強いられている。
放射能汚染の除去が進められ、避難指示は順次解除されたが、住民の帰還は十分には進んでいない。自治体による格差も目立つ。
避難生活が長引く中で、生活基盤が地元から移ったことが影響している。
政府の対応が住民の不安を増幅させているという事情もある。
政府は帰還困難区域の全域で避難指示を解除すると表明しているが、除染の方針が示されていない地域が多い。いつ、どのような形で解除されるかは明らかになっていない。
■進まない故郷への帰還
最長40年かかるとされた原発の廃炉作業が、あと30年で終えられる見通しもたっていない。
溶け落ちた核燃料の取り出しは今年中に始まる予定だったが、1年程度延期となった。
汚染処理水をためる約1000基のタンクは2022年度末には満杯となる。にもかかわらず、どう処分するかは決まっていない。
帰還の進まない自治体があり、政府は新しい住民の移住促進に施策の重点を置くことにした。新年度から、原発周辺の12市町村に移住する人に対して最大200万円を支給する事業を始める。
人口を増やして、まちのにぎわいを取り戻そうという計画だ。
だが、それだけで福島の再生は可能だろうか。
全村避難となった葛尾村は、震災前の人口が約1500人の小さな村だ。
これまでも、移住者を含め村内で自宅を建てた住民に祝い金を贈るなどの取り組みをしてきた。現在の居住者は431人で、うち避難指示解除後の転入者が104人と、4人に1人を占める。
移住促進にかかわる葛尾むらづくり公社の米谷(まいや)量平さん(34)は、自身も2年前に村へ移住した。地元新聞社の記者として担当していた村の復興にかかわりたいと思ったからだ。
米谷さんは、村の基幹産業である農業の技術を「村の財産」と言う。移住者ら若い世代に伝える機会をつくり、伝統をつなぐことが大事だと考えている。
「移住者をただ増やすことが目的だとは思っていない。できれば村の将来を一緒に考えてくれる人に来てほしい」と話す。
国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」も、地元の住民や企業の意向をどのように反映させていくのかが問われている。
構想は、ロボット開発や再生可能エネルギーなど、最先端の産業や技術の拠点をつくろうという国の福島復興策の柱ではある。
だが、地元の人の関心は薄い。自分の仕事や生活との関わりが見えてこないからだ。
■欠かせぬ人のつながり
新たな人や産業を呼び込んでも、新旧の住民が一緒になってまちの再生に取り組む仕組みがなければ、震災前とは断絶した全く別のまちになりかねない。
福島に住んでいなくても地域の将来を考えている人たちがいる。
富岡町の今里雅之さん(74)は、原発事故で娘が住む横浜市へ妻とともに避難した。
しばらくは近所付き合いもなく、孤立感にさいなまれた。
支援団体と相談して6年前、神奈川を中心とする避難者の会をつくった。約100人の同じ境遇の人たちと交流し、「たまっていたものを吐き出せて、気持ちが楽になった」という。
会の仲間らと地元の小中学校の校歌の合唱を練習し、福島を訪れて地域の祭りで披露した。
動物に荒らされ放題だった自宅は取り壊した。だが、「今後も地域の伝統や文化の継承に関わっていきたい」と思っている。
こうした人たちは全国に散らばっている。離れていても、地域のつながりを維持するうえで、大きな役割を果たすことができる。
再生への道はこれからも続く。
原発事故は、地方に負担を強いる大都市のあり方にも疑問を投げかけた。これは福島だけの問題ではない。住民とともに歩み続ける決意を新たにしたい。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年03月11日 02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
《社説①》:大震災10年 国の復興政策 ハード偏重の限界見えた
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:大震災10年 国の復興政策 ハード偏重の限界見えた
東日本大震災から10年となる。
関連死を含め2万2000人以上が犠牲になった。宅地造成やインフラ整備などハード事業はほぼ完了したが、復興は道半ばだ。
政府はこの間、復興事業に32兆円を投じた。だが、多くのまちで震災前からの課題だった人口減少が加速している。復興の実感が薄いという住民も少なくない。
政府の「復興構想会議」の提言で、合言葉となったのは「創造的復興」だった。単なる復旧にとどまらず、日本のあるべき将来像を示すという壮大な理念だ。しかし、実現したとは言えない。
具体的な復興計画は各自治体が策定したが、予算は全額、国の負担となった。そのこともあって事業が肥大化し、結果的に復興政策はハード偏重となった。
■事業長期化で人口流出
岩手県大槌町では、町長らを含め人口の1割近くが津波の犠牲になった。
その夏、町長に就任した碇川(いかりがわ)豊さん(69)は、町の中心部をかさ上げする土地区画整理事業に乗り出した。
公共施設や商業施設を集積し、新しいまちをつくる計画だった。その中核として全壊した旧役場庁舎を保存し、町外から人を呼び込むのに活用しようと考えた。
だが、造成事業は難航した。古い登記で所有者が分からない土地の存在が次々に判明したためだ。
住まいや仕事をなくした被災者は、目の前の生活に不安を抱えている。復興の遅れに対する不満が広がり、4年後、碇川さんは再選を逃した。
旧庁舎は解体され、まちづくりのテーマは見えなくなった。
震災から7年近くたって中心部の造成は完了したが、空き地が目立っている。
碇川さんは「住民が食べていける町を目指したのは間違っていない。しかし、高齢者の多い実情には合わなかったかもしれない」と話す。
区画整理や高台移転など造成事業の長期化によって、住民が住宅再建をあきらめるケースは、同県陸前高田市や宮城県石巻市など他の自治体でも相次いだ。
そもそも区画整理は時間を要する事業だ。スピード感が求められる復興には適さない。人の流出が進む地域であればなおさらだ。
だが、政府が提示したまちづくりの手法は限られ、自治体に選択の余地はほとんどなかった。要員も専門的な知識も不足したまま走り出すしかなかった。
復興の方針について短期間で住民の合意を得るのは難しい。今後は大災害が起きる前に、自治体と住民がまちの将来を見据え、方針を協議しておくことも大事だ。
■生活再建の支援さらに
ハード事業と比べ、被災者の生活支援は手薄だった。
被災者に直接支給される「生活再建支援金」は1世帯当たり最大300万円で、対象は全壊と、半壊の中でも大規模なものに限られていた。
そのため多くの被災者が支援を受けられず、壊れた家にブルーシートを張って住み続けた。支援金の支給対象に中程度の半壊が加えられたのは昨年のことだ。
国が東日本大震災で補助した支援金の総額は約3000億円にとどまる。
この10年で被災者一人一人の復興の格差は広がっている。
震災前の生活を取り戻した人がいる一方、今でも震災の影響から脱することができない人が少なくない。
毎日新聞が震災で片親か両親を亡くした子どもと保護者にアンケート調査をしたところ、世帯所得200万円未満の家庭が震災前は6%だったのが、震災後は4割超に増えていた。ひとり親家庭などが困窮している状況が浮かぶ。
被災者を苦しめているのは経済的な事情だけではない。
かつてのコミュニティーが崩壊し、その再建が進んでいない地域がある。一人も知り合いのいない災害公営住宅で、誰にもみとられずに「孤独死」する高齢者が多数いる。
そうした人たちを取り残さず、支えていくことは、今後の行政と地域の課題だ。
「復興」に向けて何ができて、何ができなかったのか。詳しく検証し、これからの取り組みに生かしていかなければならない。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年03月10日 02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。