【社説②】:プロ野球開幕 迫力あるプレーを堪能したい
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:プロ野球開幕 迫力あるプレーを堪能したい
球春の到来だ。白熱した戦いを展開し、停滞感に覆われている日本を勇気づけてもらいたい。
プロ野球セ・パ両リーグが26日、開幕する。
昨季は新型コロナウイルス流行の影響で、開幕が6月にずれ込み、無観客で始まった。今季は全ての球場で観客を収容できる。4月中旬には収容人数の50%まで受け入れ可能になる見通しだ。球場で迫力あるプレーを味わいたい。
自治体からの営業時間短縮要請を受け、両リーグとも延長戦は行わず、九回で打ち切る。同点の場合は引き分けとなる。
迅速な試合運びは、以前からの課題である。各球団は速やかな進行への協力を心がけたい。
昨季の経験を踏まえ、各球団は感染対策を加速させてきた。巨人軍はキャンプ地の沖縄に、PCR検査の拠点を設けた。他球団や報道陣なども対象に含めて、地域医療の負担軽減を図った。
無観客の練習試合を経て、3月のオープン戦から観客を迎えた。各球団は自治体の要請に応じ、開始時間を繰り上げるなど感染防止に協力した。キャンプやオープン戦で感染者が出なかったのは、こうした取り組みの成果だろう。
シーズン中も感染対策が強化される。観客の密集を避けるため、電子チケットや自動ゲートの導入が進んでいる。感染歴を調べる抗体検査キットを希望する観客に事前送付し、体調管理に利用してもらう試みを始める球団もある。
感染防止には、球団側の努力とともに、ファンの協力が不可欠だ。マスクの着用を徹底し、大声や鳴り物での応援は避けてほしい。
政府の入国制限で、多くの外国人選手が来日できていない。緊急事態宣言の解除後、特例での入国が認められたが、当面は戦力にばらつきが生じよう。今こそ、若手の奮起を期待したい。
新戦力の注目株は、阪神にドラフト1位で入団した佐藤輝明選手だ。オープン戦では、最多の6本塁打を記録した。
東日本大震災から10年となる今季、田中将大投手が米大リーグから楽天に帰ってきた。初登板で勝利すれば、日本通算100勝となる。気迫あふれる投球で、東北を盛り上げてもらいたい。
政府は近く、感染対策の効果を検証することを条件に、2万人まで観客収容を認める方針だ。各球団が行った検証の結果は、東京五輪・パラリンピック大会の競技会場で感染対策に生かされる。
球界で蓄積した知見を、安全な大会の実現につなげてほしい。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年03月26日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。