元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【選挙・次期参院選・参院山口選挙区補欠選挙(10月24日投開票)】 2021年09月19日 20:33:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【安保法】:成立6年 野党の廃止法案審議されず、政府は既成事実化
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安保法】:成立6年 野党の廃止法案審議されず、政府は既成事実化
元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政策・他国を武力で守る集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の任務を大幅拡大した安全保障関連法】 2021年09月19日 19:57:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【南風録】:人生100年時代といっても若者にはピンとこないかもしれない。
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【南風録】:人生100年時代といっても若者にはピンとこないかもしれない。
実感としては折り返し辺りで不安や疑問が頭をもたげてくる。100歳を迎えるとはどんな心境なのか。
こんな思いの人たちが手に取るのだろう。間もなく98歳になる作家佐藤愛子さんのエッセー集「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」が鹿児島でもベストセラーになっている。
130万部を超えた「九十歳。何がめでたい」の続編で、身辺の出来事や世相をユーモラスに切り取る筆は健在だ。ありのままに老いを受け入れる姿勢はすがすがしく、定年が近づく身にはポンと背中を押された気分になる。
戦後の食糧難に話は及ぶ。「悲痛な思い出は笑い話になった。それを語る私も笑っている。笑い終えて憮然(ぶぜん)としている」。今の飽食の時代へのやりきれなさがにじむ。膝を打つ戦争世代は多かろう。読者は暮らしを顧みずにいられない。
100歳以上は増え続け、県内では本年度中に991人が仲間入りする。本紙連載「語り継ぐ戦争」にも100歳前後の証言が相次いでいる。コロナ下で面会はままならないが、人生の先輩方には貴重な体験や長寿のヒントを思い付くままに語ってほしい。
佐藤さんは孫の勧めもあって断筆を宣言した。ねぎらいの言葉が浮かぶそばから、満100歳の境地も読みたいと期待してしまう。どうか無理はなさらずに。きょうは敬老の日。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【南風録】 2021年09月20日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:[中国TPP申請] 公正な体制構築が前提
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[中国TPP申請] 公正な体制構築が前提
中国が、日本などが参加している環太平洋連携協定(TPP)への加入を正式申請した。アジア太平洋経済圏で主導権を握り、対立する米国に対抗する狙いとみられる。
中国は経済の対外開放や自由化が日本などに比べて大幅に遅れている。競争をゆがめる国有企業の優遇など是正を迫られる課題が山積し、加入へのハードルは高い。
実現するには、公正で透明度の高い経済貿易体制を構築することが前提となろう。加盟国は中国に抜本的転換を促す好機と捉え、加入交渉を通じて改革を求めたい。
TPPは農産品や工業製品の関税削減・撤廃や知的財産の保護などを盛り込んだ要求水準の高い経済連携協定(EPA)である。
当初は巨大経済圏構想「一帯一路」などで影響力を拡大する中国をけん制する「包囲網」として米国が主導し、12カ国が署名した。しかし、保護主義に走ったトランプ米政権が2017年に離脱し、残る11カ国で協定をまとめ直し18年末に発効した。
中国のTPP参加について、習近平国家主席は昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で「積極的に検討する」と表明していた。一層の経済発展と米国へのけん制の意図が透ける。
この時期に申請した背景には、自国への包囲網の動きが強まっていることへの警戒感もうかがえる。日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」に加え、米英豪3カ国の新たな安全保障の枠組み「オーカス」も構築される中、中国がインド太平洋地域を主導する意志を示す下地づくりとの見方がある。
ただ、国有企業の優遇、政府による過度な補助金、データの国外持ち出し規制などを続ける中国に対する国際社会の不信は根強い。最近は民間企業への締め付けを強化し、市場経済化に逆行する動きへ懸念が高まっている。
さらに、中国はTPP加盟国の一部と貿易や安全保障で激しく対立している。加入に必要な全加盟国の承認が得られるか不透明な状況だ。
加盟国は中国と向き合うと同時に、米国のTPP復帰も目指したい。加盟11カ国の世界の国内総生産(GDP)に占める割合は1割台だが、米国が加われば4割近くになる。中国の加入が実現すれば5割を超す自由貿易経済圏が誕生する。
米国は対中貿易摩擦の中で知的財産権の保護や国有企業への優遇停止などを求めてきた。復帰すれば多国間で中国に経済の公正化を働き掛けることが可能になる。
日本は今年、TPPの最高意思決定機関「TPP委員会」議長国である。透明性と公平性を前提に議論を主導していかなければならない。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年09月19日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【南風録】:名人といわれた落語家の六代目三遊亭圓生は、本題に入る前の「まくら」の名手としても知られた。
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【南風録】:名人といわれた落語家の六代目三遊亭圓生は、本題に入る前の「まくら」の名手としても知られた。
名高座の一つ「百川(ももかわ)」では、祭りの自慢話をユーモアたっぷりに語り、聴衆を引き込んだ。
「あたくしの郷里(くに)の祭りにはこうゆう特長があるんで…まァ、ぜひひとつ、見ていただきたい」。これもお国自慢と続けた名人の言葉通り、誇りたい催しは日本各地にある。それなのに肝心の祭りが開けない。コロナ下の悲哀である。
薩摩川内市の川内大綱引も2年続けて中止となった。本番を迎える予定だった22日、新田神社で神事だけ行うという。今年はコロナ終息も祈願する。400年を超える伝統を守るためにも、市民の願いが届いてほしい。
コメの収穫が終わった田んぼを回り、わらをもらい受けるところから大綱引の準備は始まる。数百本の長縄を練り、祭りが近づくと大綱に仕上げていく。「2年もないと作り方を忘れる」。関係者がもらす嘆きは切実だ。
悪い話ばかりではない。祭りを舞台にした映画「大綱引の恋」は、今月初めに全国ロードショーを終え、来月上旬には米国ロサンゼルスの日本映画祭で上映される。
上半身裸の男たちがぶつかる綱引きの醍醐味(だいごみ)が盛り込まれた作品である。スクリーンを通して伝わる「祭り自慢」が、多くの人を魅了するはずだ。いや、綱引きだけに引っ張って来ると期待して再開を待ちたい。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【南風録】 2021年09月19日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:[自民総裁選告示] 安倍・菅政治の総括を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[自民総裁選告示] 安倍・菅政治の総括を
自民党総裁選がきのう告示され、河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏が立候補した。
新総裁は事実上の次期首相であり、新型コロナウイルス禍のただ中にある日本のかじ取りという重責を担う。次期衆院選も近づく中、29日の投開票に向けて国民本位の政策論争を展開することが求められる。
問われるのは、安倍前政権から9年近く続く政治手法をどう捉えているかだ。後継の菅義偉首相も安倍晋三前首相同様、説明責任を果たさず、民意の離反を招いて退陣を余儀なくされた。安倍・菅政治の何を引き継ぎ、どこを刷新するのか明確にしてもらいたい。
総裁選は国会議員の383票と同数の党員・党友票計766票を争う。党内7派閥のうち6派閥が事実上の自主投票となる方向だ。過半数を獲得する候補者が出ず、上位2人による決選投票となる可能性もある。
河野氏は発信力を、岸田氏は「聞く力」をアピールする。高市氏は保守層の掘り起こし、野田氏は女性政策などに力を入れる構えだ。女性が複数立候補するのは初めてで、世代交代が進むという見方もある。多様な人材が名乗りを上げたことは評価できよう。
新総裁にとって最優先課題となるのがコロナ対応だ。新規感染者数は減少傾向にあるが、感染力の強いデルタ株の影響で医療の逼迫(ひっぱく)は続く。いかに感染拡大を防ぎながら、経済を動かしていくか。科学的な根拠と合わせて明確に示す必要がある。自治体との連携もさらに深めなければならない。
デジタル化やエネルギー政策など山積する課題をどう解決に導くのか。党内向けの議論に陥ることなく、国民に向けて具体的に語ってほしい。
安倍・菅政権では官邸側が省庁の幹部人事を握った結果、官僚に忖度(そんたく)がまん延し、森友学園を巡る財務省の決裁文書改ざんといった問題を招いた。日本学術会議の会員任命拒否問題でも説明を尽くす姿勢は見えなかった。
気掛かりなのは、森友学園問題について、解明チームを設置する考えを示した野田氏を除けば再調査に否定的であることだ。党内に影響力を持つ安倍氏への配慮だとしたら内向きの総裁選との批判は免れない。
共同通信が今月初旬に実施した全国世論調査で次の首相に最も望むものは「国民への説明能力」(36.3%)がトップだった。新総裁がその資質を備えているかどうかが政権の明暗を分けることになるのではないか。
決選投票を見据え、派閥間の「談合」の可能性もささやかれている。ポスト狙いの派閥政治が息を吹き返すようでは政治不信の払拭(ふっしょく)はさらに遠のく。選ぶ側の姿勢が問われていることも忘れてはならない。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年09月18日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【南風録】:ニューヨークと聞けば自由の女神像、パリならエッフェル塔を思い浮かべる人は多いだろう。
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【南風録】:ニューヨークと聞けば自由の女神像、パリならエッフェル塔を思い浮かべる人は多いだろう。
いずれも百数十年前に造られ、長い年月とともに街のシンボルとして浸透してきた。
世界的に有名とはいかないが、鹿屋市祓川地区を象徴するのは何といっても大園橋だ。1904(明治37)年、鹿屋と高隈、輝北方面をつなぐ街道と交わる肝属川に架けられた二連アーチの石橋である。
現在の国道は隣のコンクリート橋を通り、石橋は現役を引退してのんびり暮らすご隠居さまといった風情がある。光の当たり具合で赤みがかったり、黒ずんだりして見える石肌が田園風景に豊かな表情をもたらしている。
だが近い将来、姿を消すかもしれない。昨年7月の豪雨で付近が床上浸水する一因になったとして、地元町内会が市に移築を要望した。撤去となれば市有形文化財の指定解除が必要で、市文化財保護審議会が是非を検討することになった。
最新の土木技術があれば現地保存と防災を両立できるのではないか。そんな思いは消えない。一方で、過去に経験したことのないような豪雨が各地で相次ぐ昨今の気象を考えれば、住民が不安を募らせるのもよく分かる。
日露戦争勃発の年に誕生してから117年、その姿は多くの出身者の心に古里の原風景として刻まれてきたはずだ。かけがえのないシンボルを次の世代に残せないとすれば寂しい。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【南風録】 2021年09月18日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:[立民結党1年] 支持率の低迷どう克服
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[立民結党1年] 支持率の低迷どう克服
旧立憲民主、旧国民民主両党などが合流し、立憲民主党が発足して1年がたった。所属国会議員は衆参で150人超に上り、野党第1党として一定の成果を上げたのは確かだろう。
次期衆院選では単独過半数の獲得を目標に掲げる。だが、国民の支持が広がりを欠くのは否めない。個々の政策だけでなく、どんな日本社会を目指すのか明確に示さなければならない。
枝野幸男代表は「次期衆院選で政権の選択肢になるという合流の目標は1年で到達できた」と胸を張る。だが、現実は厳しい。
共同通信社の世論調査では昨年9月の結党当初、支持率は7.0%だった。菅義偉首相が退陣意向を表明した今月初めには12.3%と上向いてはいるが、46.0%の自民党に大きく水をあけられている。国民は政権の選択肢たり得ないと考えているのではないか。
民主党政権時代、米軍普天間飛行場移設問題で迷走し、消費税増税問題では党内抗争に明け暮れた。その印象が染みついているのも一因だろう。
新型コロナ対策などでは政府を批判、追及し、さまざまな政策課題にも対案を示してきた。だが、有権者の理解が得られていないのが現状だ。まずは発信力の強化など克服すべき課題を洗い出すべきである。
枝野代表は、政府の新型コロナ対策の遅れなどを厳しく批判した結果、「菅政権を事実上退陣に追い込んだ」と強調する。ただ、衆院選で議席を伸ばすには「敵失頼り」ではなく、説得力のある政策を打ち出せるかどうかが鍵を握っていると言える。
衆院選に向けて市民グループの仲介で共産、社民、れいわ新選組の野党3党との共通政策に合意した。消費税減税や最低賃金引き上げ、原発のない脱炭素社会の追求、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設中止などを盛り込んだ。
また、政権交代が実現した場合に直ちに取り組む政権公約も発表した。新型コロナ対策として30兆円規模の補正予算の編成、森友・加計学園や桜を見る会問題の真相解明、選択的夫婦別姓制度の早期実現など自公政権で実現できていない課題を列挙した。
こうした矢継ぎ早の発表は、自民党が総裁選で国民の注目を集める中で埋没する危機感の表れにほかなるまい。実現は可能なのか。国民の疑問を払拭(ふっしょく)する丁寧な説明が欠かせない。
立民鹿児島県連は先月末、ようやく発足した。衆院選では県内4選挙区に野党候補が1人ずつ立候補を予定し、野党が一枚岩になれるのか試される。
共通政策のほか、川内原発や馬毛島など身近なテーマも多い。鹿児島の将来像をどう描き、取り組むのか。立候補予定者は与党候補との対立軸となる政策を練り上げてもらいたい。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年09月17日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【南風録】:人を大事にする共生経済を提唱してきた経済評論家の内橋克人さんが、先日亡くなった。
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【南風録】:人を大事にする共生経済を提唱してきた経済評論家の内橋克人さんが、先日亡くなった。
偶然つけたラジオから、昨年末のインタビューのアンコール放送が流れた。
生産性だけを尺度に中小企業をふるいにかけよ-と唱える政策ブレーンに左右される「日本のリーダー」への疑義だった。企業の生産基盤と、人々の生活基盤は地域で重なる。「生きる、働く、暮らす」のどれも劣化しない社会を目指そうと、穏やかな口ぶりで訴えた。
次のリーダーを決める自民党総裁選がきょう告示され、29日に投開票される。安倍-菅ラインを引き継ぐ新しい顔は誰になるのか。
近づく衆院選を前に、勝ち馬に乗ろうと右往左往する党の内情が連日報じられる。派閥の議員数で票読みができた過去の公式は使えないようだ。ほとんどの派閥が事実上の自主投票を決めた。
どうすれば自らの選挙が有利になるか、保身ばかりが目立つ動きを追うのも正直うんざりしてきた。新型コロナ対応をはじめ、安全保障や原発を含むエネルギー政策、始動間もないデジタル庁、こども庁や夫婦別姓の行方など語ってもらいたい論点はさまざまある。
内閣発足1年を振り返った首相は昨日、記者団の前で「国民の命と暮らしを守ることを最優先に」と、いつもの決まり文句を持ち出した。胸に響く言葉の持ち主であってほしい。次のリーダーに望む資質の一つである。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【南風録】 2021年09月17日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:[ネット中傷厳罰] 教育通じ地道な啓発を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[ネット中傷厳罰] 教育通じ地道な啓発を
インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策を強化するため、法務省は刑法の「侮辱罪」を厳罰化し、懲役刑を導入する方針を固めた。きょうの法制審議会総会に諮問する。
ネット上の中傷は東京五輪の選手にも向けられるなど、深刻な人権侵害が社会問題化している。厳罰化は一定の抑止力となることが期待されよう。
併せて、正当な批判活動との違いも明らかにする必要がある。何が中傷に当たるのか、判例を積み上げるとともに、教育現場での地道な啓発活動を通して理解を広げることが欠かせない。
侮辱罪の現行の法定刑は「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」だが、法制審では「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を追加する案を検討する。公訴時効も1年から3年に延びる。
具体的な事実を示さなくても公然と悪口を言った場合に適用される侮辱罪の罰則は、具体的事例を示して人をおとしめる名誉毀損(きそん)罪より軽い。ネット普及による悪質な中傷は想定されておらず、1907(明治40)年の刑法制定時から大幅な見直しはなかった。
昨年5月、女子プロレスラーの木村花さんがテレビのリアリティー番組の内容についてネット上で中傷を受けた後に死去。男性2人が侮辱罪でそれぞれ科料9000円の略式命令を受けたが、「軽すぎる」との批判もあった。被害を繰り返さないためにはどのような刑罰が適切か、法制審で慎重に議論を重ねてもらいたい。
会員制交流サイト(SNS)などによる人権侵害は、子どもたちも無縁ではない。
文部科学省のいじめに関する調査では、パソコンや携帯電話を用いた中傷の件数は2019年度1万7924件で5年前の2倍以上に増えた。昨年11月、東京都の小学6年女児がいじめを訴える遺書を残して自殺した事案では、学校で配布されたタブレット端末で女児の悪口が送信されていた。
これからの社会にデジタル端末の活用は不可欠だ。一方、ネットでの心ない発言は他人を傷つけ、ときには命を奪うことさえある。被害者にも加害者にもならないよう、子どものうちから安全な使い方を学ぶことが重要だ。
ネット中傷の被害者救済では総務省も対応を強化する。匿名の投稿者を特定しやすくする改正プロバイダー責任制限法が4月に成立。これまでは2回必要だったが、1回で完結する新たな裁判手続きが創設された。
法整備や厳罰化の必要性は分かるが、例えば政治家への正当な批判を封じるような、恣意(しい)的な運用はあってはならない。「表現の自由」や「通信の秘密」への配慮と、人権の保護が両立できるよう、バランスの取れたネット対策を求めたい。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年09月16日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【南風録】:新型コロナウイルスは「第5波」とされる今も、相変わらずえたいが知れない。
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【南風録】:新型コロナウイルスは「第5波」とされる今も、相変わらずえたいが知れない。
子どもや若年層でも重症者や亡くなる人が増えるなど、感染が広がっている。身近にじわじわと迫っているようで気味悪い。
県と鹿児島市は、8月からの約1カ月半に20人が亡くなったと発表した。そのうち14人は年代や性別、死因が非公表だった。自宅待機中に容体が急変して搬送先で死亡した人もいたが、経緯は明らかにしていない。
遺族の同意を公表の条件にしているという。大切な人を亡くした家族の思いは、尊重しなければならない。「葬儀などと関連づけて個人が特定される」といった懸念も分かる。ただ、県民が共有すべき情報があるのではないか。
亡くなったのは高齢者か、若者か。健康だったのか、基礎疾患があったのか。ワクチンを接種していたのかどうか。そうした情報は、同じ年代や持病のある人にとって、とりわけ切実に違いない。
感染症についてデマが流され、感染者に対する根も葉もない情報がネット上で拡散されている。遺族が公表を拒むのは、年代や性別が身元の特定につながり、そうした誹謗(ひぼう)中傷にさらされるのを心配しているからかもしれない。
たとえ、対策を十分に講じていても感染する可能性は誰にでもある。そのリスクを減らすための情報が乏しくなるのはなぜなのか。私たち一人一人に問い掛けられている。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【南風録】 2021年09月16日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:[学ぼうSDGs] 子どもにも大切な課題
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[学ぼうSDGs] 子どもにも大切な課題
貧困の撲滅や教育の保障、気候変動対策など17の目標を定めた国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)は、未来を生きる子どもたちにとっても重要な内容だ。
鹿児島県内でも関心を持って活動に取り組んだり、夏休みの自由研究のテーマに取り上げたりした小中高生もいるだろう。
SDGsが目指す社会を考えることは、今、身近な地域や地球上で何が問題になっているのかを理解することにつながる。課題を知り、自分にできることから取り組んでみよう。
SDGsは2015年の国連サミットで採択された国際目標だ。30年までに達成することを目指し、「誰一人取り残さない」を理念にする。国内でも賛同・参加する自治体や企業が、年々増加している。
子どもたちの間でも認知度は上がっている。昨年12月から今年1月にかけて、子ども新聞や子ども向けの紙面をつくる全国21の新聞社が合同で行った小学生アンケートによると、SDGsを「知っている」という回答は48.5%に上った。
17の目標の中では、「海の豊かさを守ろう」や「安全な水とトイレを世界中に」などに興味を持っている人が多かった。身近な環境への関心が高いことがうかがえる。実際に、海岸清掃などのボランティアに参加したり、エコバッグを活用したりと、行動に移す姿が見られるのは頼もしい。
さらに一歩進んで、「貧困をなくそう」や「ジェンダー平等を実現しよう」など、ほかの目標についても学んでみてはどうだろう。世界の貧困の要因である飢餓問題の根底には、地球温暖化やジェンダー格差があるなど、一見別々に見えても、すべてのテーマが関連しているからだ。
国連児童基金(ユニセフ)によると世界で1日約200円未満の「極度の貧困」の中で生活する子どもは約3億8500万人に上る。その親たちの中には生きる糧を得るために違法と知りながら密猟や森林伐採で生計を立てる人もいる。自立できる生活の仕組みを考えることが、貧困をなくすと同時に環境保護にもつながるというわけだ。
また、アジア・アフリカでは「水くみ」が女性の仕事となっている地域も多い。地球温暖化による気候変動で干ばつが起これば真っ先に影響を受け、女性たちはより遠くまで水をくみに行かなければならなくなる。さまざまな課題を一体的に考えて、解決策を導く必要がある。
私たちの行動次第で人類と地球の将来は変わる。子どもたちには多くの事象に興味を持ち、社会をよくするための行動力を身に付けてほしい。SDGsの視点で世界に目を向け、大人と子どもが手を携えたい。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年09月15日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【南風録】:「八十八歳。加齢とともにこちらの足を止めようとする障害も生じてくる」。
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【南風録】:「八十八歳。加齢とともにこちらの足を止めようとする障害も生じてくる」。
森村誠一さんの著書「老いる意味」は老人性うつ病の体験などを率直に記したエッセーだ。
「人間の証明」をはじめとする社会派ミステリーで知られる作家に思うように文章をつづれない日が訪れた。脳から言葉がこぼれ落ちるような感覚を味わう。つなぎ留めるためにノートやチラシの裏に文字を書いて壁に貼り付け続けたという。
きょうは「老人の日」だ。2003年に「敬老の日」が第3月曜日に移ったのに伴い制定された。祝日でなくなったからか、老人の響きに違和感があるからか、あまり定着していないように感じる。
平均寿命が延びたのは喜ばしいが、その分自らの老いと向き合って生きなければならない時間も増えた。思うように体が動かなかったり記憶が衰えたりすると、森村さんでなくとも昔の自分と比べて落ち込むことがあろう。
杉浦佳子さんは、東京パラリンピックの自転車ロード2種目で日本勢最年長50歳での金メダリストとなった。「最年少記録は更新できないけど最年長はまた更新できる」のコメントに、自身の可能性を信じる力がにじむ。
森村さんも「まだまだ頑張っているじゃないか」と自分を褒める大切さを説く。私たちは誰しも自分史上最高齢の毎日を生きている。そう考えると年を重ねるのも少し楽しくならないか。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【南風録】 2021年09月15日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説】:[デジタル庁始動] 情報保護に不安が残る
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[デジタル庁始動] 情報保護に不安が残る
デジタル改革を推進するデジタル庁が発足、始動した。菅義偉首相は行政のデジタル化を看板政策に掲げ、同庁は中央省庁を統率する司令塔となる。
デジタル化の進展で個人情報のやり取りが広がれば、プライバシーを侵害しかねない。多くの課題や不安を解消し、全ての国民が利便性を享受できる改革にしなければならない。
改革が目指すのは「スマートフォン一つで、役所に行かずにあらゆる手続きができる社会」である。まずは年末までに、新型コロナウイルスのワクチン接種履歴を証明する「ワクチンパスポート」を電子化する。
さらに、公的給付金を迅速に給付できるよう預貯金口座をマイナンバーと一緒に事前登録してもらう制度を始める。マイナンバーカードと運転免許証の一体化も進める。
全国の自治体は2022年度末までに、子育てや介護など暮らしに密接した31の行政手続きをオンライン化する計画だ。妊娠の届け出や児童手当の申請のほか、介護保険の要介護・要支援認定の申請や更新などが対象となる。
手続きに煩わされず、スピーディーに行政サービスが受けられるようになるのは望ましい。ただ、ITに精通した人材は首都圏に集中し、地方では適任者が不足しているのが実情だ。デジタル庁の支援が欠かせない。
さらに、新型コロナのワクチン接種ではオンライン予約に戸惑った高齢者が少なくなかった。デジタル機器の扱いが苦手な人への配慮が求められる。
昨年実施された1人10万円の給付金支給で混乱が生じたのもデジタル化の遅れが原因だ。デジタル庁には各省の情報システム関連予算が一括計上されるなどの権限が与えられた。霞が関の縄張り意識を改め、デジタル改革を強力に進めなければならない。
民間、行政機関、独立行政法人の三つに分かれている個人情報保護法は一本化され、自治体が独自に定めている個人情報保護条例には全国共通のルールが導入される。個人が識別できないよう加工した情報の利用などをしやすくするためだ。共通ルール化で自治体の厳しい規制が後退してはならない。
デジタル庁職員約600人のうち、IT企業社員ら民間出身者が約3割を占める。出身企業への情報漏えいや不正の発生も懸念されている。未然防止策を徹底する必要がある。
弁護士や学者らでつくる公益財団法人はデジタル庁発足に合わせ、電子データによる政治資金収支報告書提出を国会議員らに義務付けるよう要望した。デジタル化によって「政治とカネ」の透明性が図られ、国民が容易にチェックできると主張する。
政府がデジタル社会の実現に本腰を入れるのであれば、前向きに議論を進めるべきである。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年09月14日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【南風録】:奄美市の大島高校の体育祭は、出身中学校や居住地によって六つに分かれる地区対抗で競われる。
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【南風録】:奄美市の大島高校の体育祭は、出身中学校や居住地によって六つに分かれる地区対抗で競われる。
大会を盛り上げる狙いで1950(昭和25)年に始まり、全国的にも珍しいという。
目玉の一つは応援合戦だ。新型コロナウイルスの影響で2年ぶりの開催となった今年も、各地区の有志が気迫のこもった演舞を披露した。太鼓に合わせた機敏な扇子さばきは圧巻、声を張り上げ、一糸乱れぬ動きは若い力がみなぎっていた。
演舞は先輩から後輩に引き継がれてきた。例年、夜間や早朝も練習し「部活より厳しい」とも言われるが、コロナ対策で様変わりした。団員は一緒に長時間取り組むことができない代わりに、先輩たちの動画を参考にしながら自宅で練習するなどしてカバーした。
最優秀賞に選ばれた金久地区団長の3年向直太郎さんは「限られた練習時間の中で一体感が生まれ、全力で打ち込めた」と話す。無観客のため地区住民の声援はなかったが、生徒たちは確かな思い出として胸に刻んだことだろう。
コロナ下で2度目の体育祭シーズンを迎え、まん延防止等重点措置が延長された鹿児島市では中止を決めた高校がある。本紙で紹介された、中止に気落ちする2、3年生の言葉を読み、切なくなった。
さまざまな行事が中止や変更を迫られている。二度と戻らない高校時代、生徒たちの心の糧となる舞台を用意してあげたい。
元稿:南日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【南風録】 2021年09月14日 03:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。