路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【政局】:「入閣できるなら『旧統一教会と関係を断つ』ってみんな言う」 第二次岸田改造内閣発足も7人の閣僚に旧統一教会側との“接点”

2022-08-11 16:23:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【政局】:「入閣できるなら『旧統一教会と関係を断つ』ってみんな言う」 第二次岸田改造内閣発足も7人の閣僚に旧統一教会側との“接点

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:「入閣できるなら『旧統一教会と関係を断つ』ってみんな言う」 第二次岸田改造内閣発足も7人の閣僚に旧統一教会側との“接点 

 ■TBSテレビ

 元稿:MBS News!(JNN系列)主要ニュース 政治 【政局・岸田政権・内閣改造】 2022年08月11日 16:23:00 これは参考資料です。 転載等各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【続・WOMAN千夜一夜物語】:「元ファーストレディー」安倍昭恵さんは、この先の人生をどう生きるのか ■夫人の肩書を利用した"社会貢献活動"がことごとく問題に

2022-08-11 11:16:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【続・WOMAN千夜一夜物語】:「元ファーストレディー」安倍昭恵さんは、この先の人生をどう生きるのか ■夫人の肩書を利用した"社会貢献活動"がことごとく問題に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【続・WOMAN千夜一夜物語】:「元ファーストレディー」安倍昭恵さんは、この先の人生をどう生きるのか ■夫人の肩書を利用した"社会貢献活動"がことごとく問題に 

 安倍晋三元首相が銃撃され亡くなってから1カ月余り。妻、昭恵さんの動向にも注目が集まっている。以前、執筆した記事について昭恵さん本人から連絡を受けたというコラムニストの河崎環さんは「これからも、『モリカケ』などの大きな問題を引き起こした元ファーストレディーであるという事実は消えない」という――。
 
安倍晋三元首相夫人 安倍昭恵さん
 安倍晋三元首相のひつぎをのせた霊柩車で通夜の行われる東京都港区の増上寺に向かう妻の昭恵さん。2022年7月11日撮影 写真=AA/時事通信フォト
 
 ◆MORINAGAへの屈折した思い

 後述するちょっとした事情があって、私は個人的に森永乳業・森永製菓の製品に対して屈折した思いがある。不買運動だなんて、そんな大層なことは考えない。哲学的でもなければ政治的ですらない。ちょっとした、ごく個人的で卑近で矮小わいしょうなわだかまりというか、「森永ほど日本を代表する大食品グループなら、私なんかが数百円買わなくたって、十分に売上あるじゃない?」というほとんどただのひがみから、同じようなものがあるならば競合他社製品を買おうとする。だが私一人がそんな消費行動をとったところで、塵や花粉、いやウイルスレベルの選好にすぎず、すなわち日本を代表する食品会社、大企業森永グループからすれば「無」である。

 というのも、日本の食品界というのは、国民に長く愛される、優れた森永製品であふれ返っているのだ。

 「マウントレーニア カフェラッテ」や「リプトン」の紅茶飲料が森永乳業だって、ご存じでした? 私が「これなしではティータイムにあらず」と信じているおいしいバタークッキー「チョイス」は森永製菓で、同じほどの高コスパ製品は他に見当たらない。幼い頃から親しんできた「チョコボール」も「ハイチュウ」も、ヨーグルト「ビヒダス」も森永だ。「チョコモナカジャンボ」のない日本の夏なんて、夏じゃない。「ピノ」はハートや星型が当たると小さく嬉しいんだよねぇ。そうか、クラフトやフィラデルフィアのチーズ製品は、日本では森永乳業だったのか……。そして私なんかがどうあらがおうとも、ココアはやっぱり森永なのである!

 そして所詮しょせんはうっかりぼんやりした人間である私は、いつもおいしく食べたり飲んだりしてから、ふと手の中のパッケージの隅に羽を広げた天使のマークと「MORINAGA」の文字を発見し、「これも森永か……」と悔しがる日々である。

 モリナガ・イズ・エブリウェア(森永はあちこちに存在する)。すみません森永さん、やっぱり御社すごいです、日本国民の食生活をこんなに豊かにして下さってありがとうございます。他社のを買うぞなんて言ってごめんなさい、ぜひ今後ともお世話にならせてください……(弱い)。

 カンのいい読者の皆さんなら、既にお分かりであろう。私が森永製品に屈折した抵抗を見せるのは、そう、森永が元首相夫人・安倍昭恵さんの実家という、うっすらとした苦手意識からである。

 ◆ファーストレディーの社会的責任

 2020年5月のことだ。コロナ感染拡大が深刻化し、当時の安倍政権の判断によって、日本は初の緊急事態宣言下にあった。この連載コラムではその頃、週刊誌で報道され、事情を知る人々から私の耳にも入っていた安倍昭恵さんの「社会貢献活動」に苦言を呈したのである。(「日本のファーストレディー安倍昭恵が、国家の緊急事態に超KYな行動に走るワケ」)

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻さを増す中、日本のファーストレディーたる安倍昭恵さんの周辺がまた賑やかになった。森友学園問題で、国有地売却に関する文書改ざんへの関与に苦しみ、自殺した近畿財務局職員・赤木俊夫さんの遺書が公開されて、2017年のいわゆる「モリカケ劇場」における安倍昭恵さんのプリマドンナぶりを思い出した人も多かっただろう。

 そこに、コロナ禍という言葉も定着して国民が広く自粛要請を受け入れ始めた3月下旬にセレブリティーを集めて開催していた花見社交パーティーが露見し、さらに3月中旬、安倍首相の「コロナ警戒発言」翌日に催行された50人規模のスピリチュアル大分旅行もすっぱ抜かれ、それを報じるマスコミ側も額に青筋を立てて追及をするというよりは、理解に困り「何を考えているんだ?」と純粋に当惑している様子がありありとわかる。


 重大な社会的責任と人生の行く末を共有しているはずの夫でさえも、側近でさえも、取り巻く友人さえも、誰も本気で怒らず苦言を呈さず安倍昭恵さんの交友や言動の天衣無縫ぶりを泳がせるということは、誰も彼女の存在や影響力を重要視しておらず「存在を軽視されている」ということなのではないのだろうかと、私は彼女に対してしばしば寂しさを感じるのだ。


 なぜ、ファーストレディーには「お嬢さん育ちだから仕方ない」が成立してしまうのか?

 かなりキツいことを書いたのは、私は、象徴たる皇室の女性像や配偶者像にはほぼ意見を持たないが、国民に選挙で選ばれ、しかも国政を率いる首相の、配偶者なる立場の人には、むしろ大いに社会的責任があると極めてシビアに考えていたからだ。

 その頃、私は怒っていたのである。仮にも民主主義国家の私たちは、あなたの夫を選挙で(間接的に)首相として選んだかもしれないが、あなた(夫人)に票を投じたのではない。なのにその立場を「私は総理の妻ですから、私の知名度をどんどん使ってください」と利用し、夫の把握していない「社会貢献活動?」を展開した結果が、「モリカケ」や有象無象の「スピリチュアル」だったのか、と。

国会議事堂
             ※写真はイメージです 写真=iStock.com/Korekore
 
 ◆「夫人」の肩書はどう使うべきなのか

 明治以来、男性優位で構築されてきた日本社会が根底に持つVIPの妻、「○○夫人」なる立場の女性たちに対する独特の視線は、女性の地位や、女性なる存在に対する価値観を著しく損なってきた。夫の権力を妻の側にも無条件に劣化コピーして渡すことで、それは結果的に「女は(結婚さえうまくいけば)愚かでもいい」との歪んだ社会的合意を生んだ。

 自分の手柄ではない、自分の仕事でもない、夫の肩書きに「夫人」をつけて名乗り社交に生きる女性が、ひと昔前までの日本では「いいところの奥様」としてうらやまれたのかもしれない。だがそれを、男女が平等に就職し、結婚出産後も当たり前に仕事を続ける共働き世帯がマジョリティーを占める現代の価値観では、「他人のふんどしで相撲を取る」という。

 ファーストレディーの社会的責任、それは「(自分が国民から選挙で与えられたわけではない)“総理の妻”としての知名度を利用しようとチヤホヤ群がってくる民に請われるまま、あちこちに名前を貸して回る」ことではない。

 仮にも私たちが参政権を行使した結果としての総理の仕事を邪魔せず、公式の場で配偶者として傍らに立つことを求められるときは「夫人」の顔でその役割をまっとうし、だがその舞台以外では「夫人」の人生ではなく、独立に高潔に自分個人の人生を生きることではないのか。だがそのためには、妻が「夫とは独立した何者かであること」が前提となるのだが。

 私が発表したコラム記事は、現代の多くの老若男女から「よく書いてくれた」とのコメント、反響を頂戴した。自民党や安倍首相(当時)への支持者からも、そうでない人からも。保守革新関係なく、同じように思っている人々は多かったのだと、私は知った。

 ◆直接届いたメッセージ

 すると、当時まさに渦中の人だった安倍昭恵さん本人から、私のSNSへ直接メッセージ(DM)がきたのである。しかもぼんやり生きている私がなかなか気づかないので、間に人を介して「読んでください」とわざわざ知らせてこられるほどだった。

 私信となるので詳細は省くが、批判したりまさか脅したりされるではないにせよ「記事を読みました」「どういう方なのかな……と思って」との内容に、もちろんご本人が記事を愉快に思われたわけがないということが伝わってきた。

 それで、私は再びひどく失望したのである。

 「だから、そういうところなんですけど……」

 ウェブであれ週刊誌であれ何であれ、公のメディアに署名で記事なりコラムなりを書いている筆者を「(当時)現役の首相夫人が」ネットで検索し、直接二者間のDMを送ってしまう。

 これは匿名のブログ記事ではない。Twitterのアカウントで無責任に好き勝手に吠えているのでもない。公器であるメディアで、きちんと編集者からテーマの打診があり、それに筆者が応えて執筆し、編集者やデスクや編集長、編集部内の校正と内容チェックを経て、「筆者と編集部の調整・合意のもと」、この媒体の正式な記事として世に公開され、原稿料が発生しているものである。

 ◆昭恵さんへの返事

 炎上上等の物書きキャリア20年超、自分の「作品」である記事についてお話しさせていただくのは、正門を叩いて来られた客人のみだ。

 「正式に公開されている記事へのお問い合わせ」は、その媒体へ正式にお問い合わせください。編集部で正式に扱わせていただきます。私は、「ご連絡ありがとうございます」としながら、安倍昭恵さんへそうお返事をした。そしてこのプレジデントオンライン編集部に「このようなことがありました」と経緯を報告し、マスコミ人としての使命感から、一番売れている週刊誌と老舗のワイドショーにも相談した。社会人の基本、報告連絡相談のホウレンソウである。

 ◆「元ファーストレディー」の今後

 安倍晋三元首相が、旧統一教会に恨みを持つ山上徹也容疑者の手製銃から発された凶弾によって帰らぬ人となったのは、もう約1カ月前のことになる。憲政史上最長政権を担った元首相。経済重視の安定保守政権ゆえの順当な国力復調を支え、いまだ激しい論争を呼んではいるが、新しい日本の方向性を明確に示すリーダーシップを発揮した、平成令和日本を代表する政治家。政治的な賛否は一旦き、その貴重な命が理不尽にも奪われたことに無念を感じ、心から哀悼の意を表したい。

 事件当初、世論はこれを政治テロと捉えた。「民主主義への挑戦」「言論封殺だ」「政治は暴力には屈しない」との反応であふれたが、事件の詳細が明らかになるにつれて一転、世論は大きく3つの方向へと分離した。

 一つめは安倍元首相を「日本国の威信を取り戻すべく尽力した」と美しく英雄視する流れ、二つめはそれを阻止する意図でモリカケ問題を再燃させ、かつ旧統一教会と政界の「真の関係」を追及する流れ、そして三つめが、秀才でありながら40代にして非正規労働者であったと報道される山上容疑者を「弱者の時代の不遇な英雄」視する流れである。

 政治一家に生まれ育った安倍晋三氏は、その死すらも政治的に遂げた。ご遺族の悲しみたるや、そしてマスコミ対応、国葬をめぐる論争での疲弊たるや、想像に難くない。だが安倍元首相へのひとりの個人としての哀悼の念と、政治家としての評価は別の軸で考えねばならない。日本だけではない、世界がこの劇的な死をどう悼むのが適切か、探っている。

 そして配偶者の安倍昭恵さんは、世間が彼女の存在を「安倍晋三夫人」と自動的に定義したほどに揺るがぬ存在であった「ご主人」の亡きあと、どのような生き方をされていくのか。不明瞭な社会貢献活動の結果、あの「忖度そんたく」という言葉を一躍有名にし、国民の反感を煽り内閣支持率を急落させた元ファーストレディー、という事実までをも埋葬することはできないのである。

 【関連記事】:

■日本のファーストレディー安倍昭恵が、国家の緊急事態に超KYな行動に走るワケ
■「安倍元首相の死は自業自得だ」と言う安倍批判派の人たちに伝えたい「安倍晋三・昭恵夫妻」の知られざる姿
■友人としての弔辞は感動的だったが…安倍氏不在の自民党を支配する麻生氏がこれから始める"恐ろしいこと"
■安倍元首相だけではない…米メディアが「トランプ元大統領と統一教会の癒着」を相次いで報じる理由

 元稿:PRESSIDENT Online 主要ニュース 政治・経済 【トレンド・担当者:河崎 環 】 2022年08月11日 11:16:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【政局】:安倍派を服従させ、菅元首相を完全につぶす…岸田首相の「優等生内閣」にある冷徹な政治意図を解説する ■その最終的な狙いは「消費税増税」である

2022-08-11 11:10:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【政局】:安倍派を服従させ、菅元首相を完全につぶす…岸田首相の「優等生内閣」にある冷徹な政治意図を解説する ■その最終的な狙いは「消費税増税」である

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:安倍派を服従させ、菅元首相を完全につぶす…岸田首相の「優等生内閣」にある冷徹な政治意図を解説する ■その最終的な狙いは「消費税増税」である

 岸田文雄首相は8月10日、内閣改造と自民党役員の人事を行った。そこにはどんな意味があるのか。政治ジャーナリストの鮫島浩さんは「安倍派を服従させたうえで、菅元首相の影響力を排除するという狙いが読み取れる」という――。

首相官邸に入る岸田文雄首相=2022年8月10日午前、東京・永田町
 首相官邸に入る岸田文雄首相=2022年8月10日午前、東京・永田町 写真=時事通信フォト
 
 ◆「凡庸な人事」に込められた岸田首相の野心

 何とも代わり映えのしない顔ぶれである。勉強ができる「優等生内閣」という評もあるが、筆者は「いつか見た内閣」と命名したい気分だ。

 岸田文雄首相が8月10日に実施した内閣改造・自民党役員人事はまったく面白味に欠ける内容に終わった。9月上旬に予定していた人事を大幅に前倒しした狙いは、いったい何だったのだろう。そう首を傾げる読者も少なくないのではないか。

 しかし、サプライズのカケラもなくどこからみても凡庸なこの人事には、恐るべき政治的意味が込められている。

 今回の人事は、安倍晋三元首相が凶弾に倒れて政界から突如退場し、最大派閥・清和会(安倍派)が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題の直撃を受け金縛り状態にあるなかで電撃的に断行された。

 後世、日本政界にこの20年続いてきた清和会支配を終焉しゅうえんさせ、長らく低迷してきた宏池会(岸田派)時代へ移行する大きな節目と位置づけられるに違いない。

 2001年の清和会支配の幕開けとなった小泉純一郎政権の劇場型政治とは裏腹に、国民の関心とは遠く離れた閉鎖的な永田町で目立たぬように進んだ清和会時代の終焉と宏池会への権力移行――。今回の人事の政治史的意味をじっくり解説していこう。

 ◆中枢ポスト維持、岸田―麻生体制はより強固に

 岸田首相は今回の人事で、自民党のキングメーカーである麻生太郎副総裁(麻生派)と麻生氏に従順な茂木敏充幹事長(茂木派)、内閣の要である松野博一官房長官(安倍派)、林芳正外相(岸田派)、鈴木俊一財務相(麻生派)を留任させた。

 政権中枢ポストはそのまま維持し、岸田―麻生体制をより強固にするという狙いはいかにもシンプルだ。

 厚生労働相の加藤勝信氏(茂木派)と防衛相の浜田靖一氏(無派閥)は再登板。デジタル相には河野太郎・元行政改革相(麻生派)、経産相には西村康稔・元経済再生相(安倍派)。山際大志郎経済再生相(麻生派)は留任。このあたりの人選は「いつか見た内閣」といったイメージをかき立てる。

 自民党政調会長だった高市早苗氏(無派閥)は経済安全保障相に、経済産業相だった萩生田光一氏(安倍派)は自民党政調会長に、自民党選挙対策委員長だった遠藤利明氏(谷垣グループ)は総務会長に横滑り。このあたりはポストをたらい回しにしているだけだ。

 初入閣組は9人で岸田政権発足当初の13人から大きく減った。寺田稔総務相(岸田派)、永岡桂子文科相(麻生派)、西村明宏環境相(安倍派)、谷公一国家公安委員長(二階派)らは各派閥の入閣待望組の推薦をそのまま受け入れた順送り人事である。

 旧統一教会と自民党の濃密な関係に世論の批判が高まるなかで、新閣僚に新たな問題が発覚して内閣支持率がさらに下落するのは避けたい。そうしたなかで「守りの人事」になった側面は否めない。

 ◆起用されなかった「影の主役」――福田前総務会長と菅元首相

 それにしても話題を集めようがない布陣である。わざわざお盆休みの前に人事を前倒しして、夏休みの間に人事があったことを忘れてもらいたいという狙いを込めているのではないかと勘繰りたくなるような人選だ。

 では、今回の人事が政局的に何の意味もなかったのかというとそうではない。

 今回の意味は「起用された人」よりも「起用されなかった人」に注目しなければわからない。それは福田達夫前総務会長(安倍派)と菅義偉前首相(無派閥)だ。今回の「影の主役」はこの二人だった。

福田達夫防衛大臣政務官兼内閣府大臣政務官(2017年当時)
福田達夫防衛大臣政務官兼内閣府大臣政務官(2017年当時)(写真=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

 参院選が終わり、しばらく国政選挙はない(次の参院選も2025年夏。衆院議員の任期満了は2025年秋。永田町では国政選挙を気にすることなく政権運営できる「黄金の3年間」とささやかれている)。

 岸田首相の自民党総裁任期は2024年秋まで。当面は選挙を気にすることなく政権運営に専念できる。岸田首相と麻生氏にとって今回の人事で国民的人気を引き寄せ、内閣支持率を引き上げなければならない切迫した事情はない。

 むしろ二人にとって今必要なのは、自民党内の基盤を強固にすることである。その意味で今回の人事が「国民向け」とはならず、「党内向け」になったのは当然の帰結であったといえるかもしれない。

 ◆福田氏が総務会長を外された意味

 麻生氏には野望がある。祖父・吉田茂の直系である池田勇人が旗揚げした老舗派閥・宏池会は清和会支配のなかで分裂・弱体化した。その流れをくむ麻生派、岸田派、谷垣グループを再結集して「大宏池会」を再興し、清和会をしのぐ最大派閥に躍り出て、伝統ある自民党史に新たな章をつくることである。 

 岸田政権発足後、安倍氏の求める「高市幹事長、萩生田官房長官」の人事案を拒絶し、安倍氏の地元・山口県の政敵である岸田派ナンバー2の林氏を外相に抜擢してポスト岸田の一番手に位置付ける人事を断行した。

 さらには清和会の安倍系と福田系の抗争の歴史を踏まえ、福田赳夫・康夫元首相に続く三代目の福田氏を自民党総務会長に、松野氏を官房長官に抜擢し、安倍氏の影響力をそぐ人事を露骨に展開した。安倍長期政権下で続いた安倍氏と麻生氏の蜜月関係は最大派閥の座をめぐる駆け引きが激化し、すでに終わりを告げていた。

 参院選後の内閣改造・党役員人事は麻生氏にとって、もともと清和会支配を終焉させ、大宏池会再興を進める第一歩に位置付けられるものだった。

 そこで福田氏を重要閣僚に抜擢して安倍氏後継の最有力候補に引き上げ、清和会内部の安倍系と福田系の抗争をあおり弱体化させていくシナリオを描いていたのである。

永田町にある自由民主党の本部ビル
写真=iStock.com/oasis2me ※写真はイメージです

 ◆安倍派を弱体化させるシナリオは不要になった

 そこへ予期せぬ事件が起きた。安倍氏が凶弾に倒れ、清和会はリーダー不在となったのである。安倍氏は三度目の首相返り咲きの芽を残すため、後継者を絞っていなかった。

 安倍系筆頭格である下村氏をはじめ、安倍氏のお気に入りだった稲田朋美元防衛相、衆院に鞍替えして総理総裁を目指す意欲をみせている世耕弘成参院幹事長、萩生田氏、西村氏ら安倍系に加え、福田系の福田氏や松野氏を含めて、清和会は安倍氏後継をめぐる群雄割拠の内部抗争で岸田首相や麻生氏が外から手を突っ込まなくても自滅しそうな状況に陥ったのである。

 しかも安倍氏をはじめ清和会全体と旧統一教会の濃密な関係が露見したことで清和会は身動きがとれない状況になった。

 下村氏は文部科学相時代に旧統一教会の名称変更を認めたことに批判が殺到し、福田氏は記者会見で自民党と旧統一教会の関係が「何が問題かわからない」と言い放って集中砲火を浴びた。

 清和会は支柱を失って崩壊状態となり、当面は集団指導体制をとることを決定。求心力は大幅に陰り、岸田首相と麻生氏にとっては大宏池会再興を進めて清和会に取って代わる絶好の機会が訪れたのだ。

 ◆「安倍亡き安倍派」を掌握した岸田首相と麻生氏

 ここで岸田首相や麻生氏ら宏池会側が老獪だったのは、福田氏を安倍氏の実弟である岸信夫防衛相の後継に抜擢する案を流したことだろう。福田氏が重要閣僚に引き立てられれば、清和会会長の有力候補としての地位を固めることになる。福田氏の先輩格にあたる萩生田氏や西村氏らにとってこれは受け入れ難い人事だった。 

 今回の人事に際し、現職閣僚だった萩生田氏や清和会事務総長の西村氏は岸田首相や麻生氏、茂木氏らと接触した。

 宏池会関係者は「萩生田氏や西村氏は福田氏の重要閣僚起用を何としても阻止するよう、岸田首相や麻生氏に懇願した。岸田首相と麻生氏はこれを受け入れ、その代わりに岸田政権への忠誠を誓わせたという構図です」と話す。

 清和会を支配下に置く狙いはここに完成した。萩生田氏の政調会長起用と西村氏の経産相起用は、清和会が大宏池会の軍門に下ることを示す象徴人事といっていい。

 「萩生田氏や西村氏はすこしでも楯突くそぶりをみせたら福田氏を抜擢されてしまう恐れがあり、もはや岸田首相や麻生氏には逆らえません」(宏池会関係者)。

 いちばん割を食ったのは、安倍系の下村氏や稲田氏、世耕氏らだが、萩生田氏と西村氏を引き抜かれたうえに、旧統一教会問題の直撃を受けて岸田政権に反旗を翻す余裕はないと足元をみられている。今回の人事で岸田首相や麻生氏は安倍亡き清和会をかなり掌握した。

 清和会をしのぐ大宏池会の再興に動いても清和会を挙げて反旗を翻すことはないという手応えを感じたに違いない。

 ◆これは完全な「菅つぶし」人事である

 もうひとり、今回の人事で外されたのは菅氏である。菅氏については副総理格で入閣させるのではないかという臆測が広く流布されていた。

2021年1月1日、菅義偉内閣総理大臣
2021年1月1日、菅義偉内閣総理大臣(写真=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

 岸田首相は菅氏とまったくそりがあわない。麻生氏も菅氏とは安倍政権下でことごとく対立し、最大の政敵ともいえる存在だ。自前の派閥を持たず党内基盤の弱い菅氏を無役で干し上げて影響力を一掃するのは、岸田政権発足当初からの方針だった。

 だが、菅氏をあまりに追い詰めると、清和会の不満分子と結託して岸田政権に反旗を翻す恐れがある。それはやっかいだ。そこで副総理格で閣内に取り込み、菅氏の動きを封じる構想が岸田政権内にあったのは事実である。

 清和会は安倍氏が退場したうえ、旧統一教会問題が直撃して一気に弱体化し、萩生田氏や西村氏を中心に宏池会支配に従順になった。菅氏を野に放って清和会の一部不満分子(下村氏や稲田氏ら)と結託したところで、もはやさほどの脅威にはならない。

 岸田首相や麻生氏はそんな手応えを感じ、心置きなく菅氏を外すことができたのである。これは完全な「菅つぶし」人事だ。菅氏にとっての最大の誤算は清和会が予想を超えるスピードで弱体化してしまったことだった。

 ◆河野太郎氏の入閣は「菅つぶし」の一環

 菅氏は安倍長期政権下の官房長官時代にその地位を利用し権力基盤を築いた。この先2~3年、国政選挙や自民党総裁選が予定されていない「凪」の時代、無役のまま求心力を維持するのは容易ではない。できれば副総理格で入閣し、そのポストを復権への足掛かりにして求心力を維持したいところだった。

 岸田首相と麻生氏から明確に決別された今回の人事はかなりの痛手だ。菅氏は8月8日収録のCS番組で入閣の意欲を問われ「閣内でということで限定すれば、そこは考えていない」と答えた口調は弱々しかった。岸田首相や麻生氏が自らを入閣させる気がないことを事前に察し、この先の展望が閉ざされたショックを隠し切れなかったのだろう。

 さらに菅氏にとって岸田―麻生体制に立ち向かう最大のカードである河野氏を閣内に取り込まれたのも厳しい。

 河野氏は地元・神奈川つながりで築いてきた菅氏との連携を維持するつもりはあっても、菅氏に同調してこの先2〜3年も冷や飯を食い続ければ存在感が埋没することを恐れたに違いない。河野氏入閣にも岸田首相と麻生氏の「菅つぶし」の徹底ぶりがうかがえる。

 ◆もはや脅威ではなくなった

 菅氏としては二階俊博元幹事長や石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境相らとの連携を強化するしかないが、二階氏は高齢のうえ幹事長を離れた後は存在感が急速に薄れている。石破氏も「過去の人」になった感は否めない。

 小泉氏ら菅シンパも岸田政権の長期化が見込まれるなかで菅氏と徐々に距離を置く可能性もある。安倍政権が石破氏を見せしめのように冷遇することで求心力を増したように、岸田政権は菅氏を徹底的に干し上げることで求心力を高めるのではないか。

 菅氏の盟友である日本維新の会の松井一郎代表は、すでに政界引退を表明しており、菅氏は手詰まり感を深めそうだ。

 公明党・創価学会は岸田首相や麻生氏との接点が薄く、菅氏を自民党との交渉窓口にしてきたが、早ければ9月にも予定されている山口那津男代表から石井啓一幹事長への世代交代を踏まえ、岸田政権の長期化をにらんで新たなパイプづくりを模索することになるだろう。

 ◆安倍派を制圧…清和会から宏池会の時代へ

 まったく面白味に欠ける内閣改造・自民党役員人事だったが、岸田首相と麻生氏にとっては清和会をほぼ制圧し、最大の政敵である菅氏に大打撃を与え、自民党内の権力基盤を着実に固めるものになった。

 自民党は清和会時代から宏池会時代へ確実に移行したといっていい。

 その強固な体制のなかで岸田政権が次に目指すものは何か。安倍氏の悲願であった憲法改正は後景に退くであろう。ここでも旧統一教会の憲法観と自民党の憲法改正案が似通っているという世論の批判を口実にすることができる。

 池田勇人、大平正芳、宮澤喜一ら大蔵省(現財務省)出身の首相を輩出した宏池会の悲願は、憲法改正ではなく、消費税増税だ。

 財務相を9年近く務めた麻生氏がキングメーカーとして君臨するなかで大宏池会が再興し、最大派閥として自民党支配を確立した先にあるのは、消費税増税であろう。

 元稿:PRESSIDENT Online 主要ニュース 政治・経済 【トレンド・担当者:鮫島 浩 ジャーナリスト】 2022年08月10日 19:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【政界地獄耳・08.04】:訪台は米外交の真骨頂 中国のけん制を米国は無視

2022-08-11 07:50:00 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、国家の個人等の権利を抑圧統治】

【政界地獄耳・08.04】:訪台は米外交の真骨頂 中国のけん制を米国は無視

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・08.04】:訪台は米外交の真骨頂 中国のけん制を米国は無視 

 ★2日、米ナンシー・ペロシ下院議長は中国の再三の警告にもかかわらず台湾を電撃訪問。午後10時44分、台北市の松山空港に着陸した。台湾の外務省に当たる外交部の呉■(■は金ヘンにリットウ)燮・部長(外相)が政府を代表して空港まで出迎えた。ペロシは到着後に声明を発表し、「私たちの台湾訪問は、台湾の活力ある民主主義に対する米国の揺るぎない関与を履行するものだ」と表明した。

 アメリカのナンシー・ペロシ下院議長は2022年8月2日、台湾の台北に到着し、台湾のジョセフ・ウー外交部長(左)の出迎えを受けた。

 ★同行メンバーは下院外交委員会のグレゴリー・ミークス委員長(民主党)、下院退役軍人委員会のマーク・タカノ委員長(民主党)、スーザンデルベネ下院議員、ラジャ・クリシュナムルティ下院議員、アンディ・キム下院議員(いずれも民主党)らがおり、一方、共和党のマコンネル院内総務を筆頭とする上院議員26人が同日、声明を発表し「議会が取り組んできた米国の『1つの中国』政策と一致するものだ」とペロシ訪台を支持すると表明した。中国サイドも反発を強める。ペロシの台湾到着直前には中国軍のSu-35戦闘機が台湾海峡上空を通過した。中国外務省はペロシ訪台を「重大な政治的な挑発で、中国は絶対に認めない」と猛反発。中国人民解放軍が4日から7日に台湾周辺の複数の空・海域で、実弾射撃を伴う「重要軍事演習」を行うとした。米海軍も台湾東方のフィリピン海に空母「ロナルド・レーガン」、ミサイル巡洋艦「アンティータム」、駆逐艦「ヒギンズ」、強襲揚陸艦「トリポリ」が“通常”配備されている。

 ★中国内の台湾現状維持派に自信をつけさせ強行外交への不安を高める。戦争で経済低迷すれば国民は不満。いずれも秋の国家主席・習近平3選を危うくする。中国政府はけん制だけで軍事行動は何もできない。しかも閣僚ではなく下院議長と同行議員団という顔ぶれ、24時間以内の滞在など、計算された一石を投じたといえる。中国は再三、訪台をけん制したが米国は無視したことも大きい。今回の訪問は米外交の真骨頂ではないか。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2022年08月04日  07:53:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【岸田政権】:飛び交う人事情報 目くらまし内閣改造に加担の大マスコミ

2022-08-11 06:23:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【岸田政権】:飛び交う人事情報 目くらまし内閣改造に加担の大マスコミ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田政権】:飛び交う人事情報 目くらまし内閣改造に加担の大マスコミ 

 10日行われる岸田内閣の改造人事は、何もかもが異常で邪だ。先週金曜(5日)の夕刻、突如、「岸田首相が来週、内閣改造に踏み切る」というニュースが永田町を駆け巡り、自民党議員は「寝耳に水だ」と大騒ぎ。連立を組む公明党も、同日、山口代表が首相から電話をもらい、初めて知らされたという。自公の党首が顔を合わせての改造協議は、週明けの8日だった。


 自民党役員交代を含む人事は9月というのが政界の一致した見方で、5日に臨時国会が閉会後、選挙区でお盆の挨拶回りなどの日程を入れていた衆参議員は虚を突かれた。それでなくても、8月上~中旬は広島・長崎の原爆忌に終戦の日と、平和の尊さに静かに思いを馳せる日々が続く。それを乱暴にぶった切るように、岸田は内閣改造の日程を組んだ。まさに奇襲攻撃だ。

 「統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党議員の親密な関係がクローズアップされ、内閣支持率が急落した。逆風をはねのけ、難局打開を図ろうという側面があるのは間違いない。もっとも『俺は政局上手』と自負している岸田首相は、不意を打つように電光石火で人事をやって、党内に自らの力を誇示しようという意図も感じられる」(岸田首相をよく知る政界関係者)

 そして5日以降、永田町は人事一色。あちらこちらで情報戦が展開され、与党議員も政治記者も右往左往だ。それは平和記念式典が開かれた6日の広島でも繰り広げられ、式典後の岸田の記者会見は、慰霊そっちのけ。東京から首相に同行した政治記者らの質問は、改造人事に関するものばかりだった。

 ◆狙い通りにシメシメ

 大マスコミは小出しにタレ流されるリーク情報に飛び付き、世紀の国民愚弄改造名簿作りを競い合っている。

 まず、麻生副総裁と茂木幹事長、松野官房長官の続投情報が流され、次に麻生派の鈴木財務相、岸田派の林外相の留任情報が続いた。いわゆる政権の骨格は維持、ということらしい。

 ◆なぜ自ら率先し、党として調査しないのか

 その後、安倍派の萩生田経産相を政調会長などの党要職で起用、と一斉に報じられたかと思いきや、萩生田本人が8日の会見で「俺は骨格じゃなかったのか」と交代に難色を示し、人事がいったん停滞。夕方になって、公明党の斉藤国交相と安倍派の高木国対委員長の留任が報じられた。他にも「茂木派は小渕優子が再入閣」「安倍派からは西村明宏と参院の岡田直樹の初入閣が有力」といった人事情報が乱れ飛ぶ。

 8日に公表されたNHKの最新世論調査(5~7日実施)で、内閣支持率は3週間前の前回から13ポイントもの大幅下落の46%。昨年10月の岸田内閣発足後で最低に落ちた。自民党の統一教会“汚染”が影響したのは確実で、「統一教会と政治との関係について、政党や国会議員が十分説明していない」が82%に上った。

 10日の改造に向け、大マスコミが人事の情報を連打し続け、改造後も新大臣の横顔やら抱負やらを報じてくれれば、支持率への悪い影響は緩和されると岸田はシメシメ。統一教会隠しの国民目くらましに、メディアがまんまと乗っかってくれる。岸田は笑いが止まらないだろう。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「統一教会問題では現職閣僚との歪んだ関係があったり、安倍派が最も親密だったりと、人事に絡めた報道がそもそも多かった。そこへ内閣改造ですから、安倍派の処遇はどう変化するのか、派閥ごとの閣僚の人数は……などに焦点を当てた報道ができるので、メディアにとって今回の改造は、いつにも増して格好の材料になっている。それこそが岸田首相の狙い通り。名称変更問題など統一教会に政治が便宜を図った可能性があるのか、教団がどこまで政治に浸透しているのかなど、国民が知りたい疑問を追及する報道が改造をきっかけに減ってしまう恐れがある。メディアには岸田首相の邪な狙いにハマらないようにしてもらいたい」

 岸田は人事の断行を表明した6日の会見で、こう明言した。

 「国民に疑念を持たれることがないように、社会的に問題が指摘される団体との関係は十分注意しなければならない」

 「仮に法令から逸脱する行為があれば、厳正に対処する」

 しかし、である。岸田が自民党と統一教会との関係にメスを入れられるかといえばノーだ。就任から1年弱、この無策首相が何か1つでも具体的な成果を上げたことがあったか。漠然としたままの「新しい資本主義」が象徴的。感染爆発が深刻な新型コロナ対策も事実上“放置”だ。

 もっともそれ以前に、もはや簡単には手を切れないほど、自民党と統一教会の組織的な癒着はどっぷり。岸信介の時代にさかのぼる両者の関係はもう50年にわたる。

 議員事務所で教団からの派遣秘書が手弁当で働き、信者たちが後援会まで立ち上げ、選挙になれば熱心に手伝ってくれる。それは一種の“麻薬”のようなもので、一度経験すれば手放し難い。

 関係を報じられた自民党議員は100人規模に上る。圧倒的に安倍派に多いのは、代々「文教族」が多く、文科省が宗教法人を所管するため、両者が「選挙支援」と「行政の後ろ盾」というウィンウィンの関係にあるからだ。

 実際、教団の支援を受け、7月の参院選で井上義行議員が当選した。3年前は8万票で落選した井上は、今回、7万票を上乗せして勝利。まさに統一教会の全国の組織票とされる票が乗っかった形だった。

 教団の支援が井上に移ったため、出馬辞退に追い込まれたのが宮島喜文前参院議員。6年前同様の支援を求めたが、「今回は井上」と派閥領袖の安倍元首相に教団の支援を付けてもらえず、出馬を断念したと元参院議長が明かしている。

 統一教会の組織票によって、1人の議員の当落が左右される。そして、当選した議員は今も堂々と自民党に所属している。「党との組織的な関係はない」と繰り返す茂木幹事長の詭弁はチャンチャラおかしい。

 ◆持ちつ持たれつの腐れ縁

 「自民党と統一教会の関係は、持ちつ持たれつの腐れ縁で、お互いに利用価値があるから続いている。自民党は業界団体頼みの選挙をやってきた。しかし、時代が移り、業界団体がどんどん弱体化している。そんな中で、頼りになるのが宗教団体です。『社会的に問題が指摘される団体との関係は十分注意し』と岸田首相は言いますが、関係議員はできれば手を切りたくない、いつまでも裏で支えてもらいたい、というのが本音でしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 だからなのか、岸田は発言とは裏腹に、統一教会問題に腰が引け気味だ。

 当初から「政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明をしていくことは大事」と個人の責任に丸投げ。8日は党所属の全議員に点検と見直しを求めたが、あくまで個人ベースだ。

 なぜ自ら率先し、党として調査しないのか。「国葬」がふさわしいとした偉大な指導者の横死の原因が、統一教会との関係にあったと容疑者が供述したのだ。普通なら背景や真実を必死になって調べるものだろう。それこそが真の弔いだ。霊感商法や人権侵害があるなら、立法措置を講じて反社会的団体として厳しく対処し、被害者を救済することこそが政治の仕事だろう。

 政治評論家の森田実氏が言う。

 「岸田政治の特徴は『三十六計逃げるに如かず』。元首相が凶弾に倒れるという、これだけの酷い事件が起きたのですから、背景を徹底究明して政治の正義を取り戻すことが求められているのに、曖昧にしてごまかし、話題を変えて逃げる。だいたい、警察トップの国家公安委員長が統一教会の関連団体の催しの実行委員長を務めていながら平気の平左でいることには呆れます。改造で退任させるのではなく、責任を取らせ辞任させるのが筋でしょう」

 この国はどんどんおかしな方向へ進んでいる。岸田の目くらましにだまされてはダメだ。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・政局・岸田内閣の内閣改造・旧統一教会との癒着疑惑】  2022年08月09日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【2022年08月09日 今日は?】:日の丸を国旗、君が代を国歌として法制化する国旗国歌法成立

2022-08-11 00:00:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2022年08月09日 今日は?】:日の丸を国旗、君が代を国歌として法制化する国旗国歌法成立

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2022年08月09日 今日は?】:日の丸を国旗、君が代を国歌として法制化する国旗国歌法成立

 ◆8月9日=今日はどんな日

  日の丸を国旗、君が代を国歌として法制化する国旗国歌法成立(1999)

日本国政府国章(準)
日本の法令

Flag of Japan.svg

  ◆出来事

  ▼関西電力美浜原発3号機で蒸気漏れ事故。5人死亡(2004)▼リオ五輪競泳男子800mリレーで日本が銅。同種目のメダルは52年ぶり(2016)

 ■美浜発電所3号機のしくみと復水配管破損箇所(概略系統図)

美浜発電所3号機のしくみと復水配管破損箇所(概略系統図)

 ◆誕生日

  ▼黒柳徹子(33年=タレント)▼石橋蓮司(41年=俳優)▼池上彰(50年=ジャーナリスト)▼田山涼成(51年=俳優)▼木南晴夏(85年=女優)▼小野健斗(89年=俳優)▼運上弘菜(98年=HKT48)▼信濃宙花(03年=STU48)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2022年08月09日  00:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする