【高市早苗氏】:奈良県知事選での自民内の軋轢に怒り 県連と党本部が別々の候補を応援か
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【高市早苗氏】:奈良県知事選での自民内の軋轢に怒り 県連と党本部が別々の候補を応援か
統一地方選・前半戦(9日投開票)の結果をめぐり、自民党内の〝不協和音〟が表面化した。奈良県知事選で「保守分裂」となり、日本維新の会公認の新人に敗れたことについて、県連会長を務める高市早苗経済安全保障担当相が苦言を呈したのだ。高市氏は今国会で、放送法の「政治的公平」の解釈に関する総務省の「行政文書」が流出した問題で、一部野党の追及を受けた。「日本初の女性宰相」を目指し、試練の時といえそうだ。
「党本部が、県連推薦以外の人を応援したのではないかという疑問の声が上がっている。きちんと検証することが大切だ」
高市氏は11日の記者会見で、奈良県知事選について怒りをにじませた。
奈良県知事選は、78歳の現職、荒井正吾氏に世代交代を求める声が上がるなか、高市氏ら党県連は元総務官僚の平木省氏を推した。これに対し、荒井氏は党重鎮の後ろ盾をアピールして出馬し、分裂選挙に突入した。自民支持層を奪い合うなか、維新の新人、山下真氏が勝利した。
元日本維新の会顧問で、大阪市長を退任した松井一郎氏が《奈良県知事選挙は自民党が割れた事による漁夫の利、山下さんはこれからの4年が勝負》とツイートしたように、自民党は調整不足が悔やまれる。
加えて、高市氏は放送法文書問題の国会対応に追われ、終盤までほとんど地元入りできなかった。
高市氏は冒頭の会見で、「維新の躍進に至った責任は痛感している」と反省を述べたうえで、荒井氏が出陣式で森山裕選対委員長から「激励の電話を受けた」と言及したという報道を引用し、「地元からは、報道が事実かどうか確認してほしいとの声がある」「県連と党本部が別々の候補者を応援したのではないか」と指摘した。
これに関連して、森山氏は9日夜、「最初の候補者調整で反省しなければならないこともある」と述べている。党内からは「苦戦は予想できた。党執行部が汗をかかなかった」(自民党ベテラン)と執行部の責任を指摘する声があがる一方、高市氏の責任を問う声もある。
一連の動きをどう見るか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「維新が躍進したのではなく、自民党が分裂して負けた。その点で自民党自身に責任がある。この敗北の傷は深く、想像以上に深刻だ。ここまで候補者調整がもめたなら、党本部が入るべきだった。安倍晋三元首相や菅義偉前首相なら即刻、自らが乗り出しただろう。いわゆる行政文書の騒動もそうだが、今の政権には、そうした問題調整能力や指導力が欠けているのではないか」と指摘する。
確かに、山下氏が獲得した26万6404票に対し、平木氏と荒井氏の得票を合計すると計29万票超で上回るのだ。
一方、鈴木氏は高市氏の言動にも注文をつける。
「さまざまな事情があり、高市氏の言い分にも一理あるが、政治は結果責任だ。高市氏自身も調整不足を認めていた。総理総裁を目指すなら、結果を受け止める謙虚さも必要ではないか」
元稿:夕刊フジ 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】 2023年04月12日 17:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。