【産経抄・12.22】:寒さ本番、抜かりない備えを
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【産経抄・12.22】:寒さ本番、抜かりない備えを
荷を積んだ牛車が、乾いた音を立て近づいてくる。カタリコトリ。<牛は垂れた首を大きく左右に振りながら鼻から出る太い気霜(きじも)を道へ撒(ま)き撒き通り過ぎた>。志賀直哉『暗夜行路』である。寒烈に引き締まる冬空が目に浮かぶ。
雪が降るJR新宿駅前の広場
▼「気霜」という言葉は、手元の辞書や歳時記には見当たらない。造語だろうか。牛の大きな肺から吐き出された二筋の熱い息、それが一気に冷えるさまを思えば、冬の季語である「息白し」や「白息(しらいき)」では足りない。刺すような痛みを催す「気霜」は、言い得て妙な描写である。
▼きのうは冬至だった。ここから日脚が少しずつ伸びる一方で、寒さは本番を迎える。折しも列島上空には、北の方から強い寒気団が押し出してきた。地域によっては、数十センチの積雪が予想されている。踏み出す一歩にも、用心が必要かもしれない。
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元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【産経抄】 2024年12月23日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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