【HUNTER・12.10】:混乱続く兵庫県|捜査当局が握る斎藤知事の命運
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・12.10】:混乱続く兵庫県|捜査当局が握る斎藤知事の命運
パワハラ・おねだり問題で失職しながら再選を果たした斎藤元彦兵庫県知事。一連の騒ぎに幕引きを図るつもりだったろうが、SNSをバックヤードで展開していた株式会社merchuの社長、折田楓氏が《兵庫県知事選挙における戦略的広報:「#さいとう元知事がんばれ」を「#さいとう元彦知事がんばれ」に》と配信プラットフォーム「note」に“自慢話”をアップロードしたことで公職選挙法違反疑惑が浮上した。兵庫県政の混乱が続く。
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選挙期間中の活動で報酬支払いが認められているのは、車上運動員(いわゆるウグイス嬢)や事務員など、選挙管理員会に対して事前届出された人に限られている。斎藤知事は「ポスター代などに約70万円の報酬を支払ったが、公職選挙法には触れない」と火消しに走ったが、騒ぎは拡散するばかりだ。
ハンターは、折田氏が選挙戦最終日に斎藤知事と一緒に選挙カーの壇上に駆け上がり、SNSでライブ配信をしている様子を確認している。ポスター制作を依頼した人物がライブ配信するのは不可解というしかない。
また折田氏は、merchuの5人の社員を選挙期間中に「動員」したこともSNSであかしている。そうなれば、選挙への「労務提供」となり、ボランティアであっても選挙運動費用収支報告書に記載しなければならない。12月初めには、兵庫県の選挙管理委員会が報告書を公表したが、問題の70万円のうちの一部は使途が分かっていない。
折田氏はnoteで「次世代空モビリティひょうご会議」の有識者、「兵庫県地域創生戦略会議設置要綱」の委員、「兵庫県eスポーツ推進検討会」の構成員として有識者会議に名前を連ねていることも宣伝していた。しかも就任は、斎藤知事が2019年に当選してからというから非常に近い関係であることも容易に想像がつく。
人選に怪しさを感じる理由はまだある。同氏はnoteでスポーツに関し、《兵庫県のeスポーツ検討委員会メンバーなのに実は一度もやったことがない》と専門的な知識がない中で役職に就いたことも明かしていた。
有識者会議で折田氏は、3年間で15万円の報酬を得ている。また兵庫県の情報発信アプリ「ひょうごe-県民」でも随意契約をした業者から再委託を受け、デザイン、アイコンなどを手掛けている。兵庫県のホームページによれば、なぜか「ひょうごe-県民」は今年12月で閉鎖されることが決まっており、県庁内では「兵庫県知事選のあたりに閉鎖の詳細が決まっている。なぜこの時期に」と疑問視する声があがっていた。兵庫県の出入り業者といえる存在に折田氏に、斎藤知事が知事選でSNS展開を依頼していたのは確かだ。
疑惑が発覚して以降、折田氏はnoteの書き換えや削除などを繰り返し、会社のホームページにYouTubeまでも削除している。先月29日には、折田氏の会社が「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」として表彰される予定だったが、兵庫県によれば「欠席」と伝えてきているという。
斎藤知事側の一連の動きについて、元東京地検検事で、ネット企業大手「Yahoo」でも勤務経験がある落合洋司弁護士は次のように指摘する。
「斎藤知事やその弁護士は折田氏側への支払いを認めてしまった。しかも契約書がなく、口頭での契約だという。どこまでポスターで、どこまでがSNSの報酬か、本当にその切り分けができるのか疑わしい。折田氏のnoteからみると、斎藤知事が買収、折田氏が被買収ととられかねない。さらに折田氏は兵庫県から利益を得ている立場で、公正性を鑑みると選挙に関わってはいけないはずだ。例えば、兵庫県から大きな公共事業を受注した企業が選挙で県に関係する政治家を積極的に応援したとなれば、誰もが疑問視するでしょう」
現在、兵庫県議会の百条委員会では今年3月に表面化した内部告発についての審議が続いている。ある自民党の兵庫県議は「現在の百条委員会は内部告発について、となっているので選挙疑惑の追及は原則できません。ただ、兵庫県の有識者会議のメンバーとして仕事を得ている折田氏が、知事の選挙を有償で手伝っていたことを斎藤知事は認めており、再度、別に百条委員会を立ち上げることは十分に考えられます。斎藤知事の選対は、ないに等しい状態でした。選挙事務所にも選挙がわかる人がおらず、なぜあれだけの選挙ができるのかと思っていた。その背後に折田氏がいて、斎藤知事の演説日程にあわせてSNSを裏で操っていたというなら納得だ」と話す。
折田氏のnoteには、斎藤知事が折田氏に「依頼」をしている画像が出ていた。折田氏は「仕事」とも述べており、そこにボランティアという文字はない。斎藤知事の主張とは食い違うところだ。斎藤知事は買収、折田氏が被買収の公職選挙法違反容疑で、で刑事告発されており、捜査当局の動きにも注目が集まる状況だ。
「斎藤知事の当選で、とりあえずは混乱が収まるものと期待していた。しかし知事はさらなる混乱を引き起こした。県の幹部は再選を受けて、斎藤知事にごますって出世を狙うか、あるいは隠れて目立たないようにするかと困惑していた。だが、さらなる大炎上で、みんな腰が引けている。公選法違反で県庁に警察、検察から家宅捜索が入るなんてことになれば一大事。ここまで県民に混乱と迷惑をかけている元凶の斎藤知事は、ごまかし、まやかしの言葉を並べて逃げるのではなく、さっさと辞職するほうがいい」(ある県職員)
選挙戦で「県民のため」と繰り返した斎藤知事。本当にそう考ええるなら「辞職」が最善ではないのだろうか。知事の行為が原因となった形で、人が死んでいることは事実なのだ。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【話題・選挙・兵庫県知事選・公選法に抵触疑義】 2024年12月10日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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