路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【医療プレミア】:「自分は病んでいないと思っていたけれど…」元ジャニーズJr.中村一也さんを追い詰める善人たちの沈黙

2025-01-03 05:30:30 | 【魂の殺人と呼ばれ、繰り返される性暴力の現状・ジャニーズ事務所が抱える性加害の闇

【医療プレミア】:「自分は病んでいないと思っていたけれど…」元ジャニーズJr.中村一也さんを追い詰める善人たちの沈黙

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【医療プレミア】:「自分は病んでいないと思っていたけれど…」元ジャニーズJr.中村一也さんを追い詰める善人たちの沈黙 

 英国の公共放送BBCと国連という「外圧」で、ようやく重い扉がこじ開けられた旧ジャニーズ事務所の性加害問題。昨年12月には元ジャニーズJr.の飯田恭平さんらが旧事務所の元幹部などを相手取り、米国で3億ドル(460億円)超の賠償を求める提訴に踏み切った。一方、日本国内では報道が減り、NHKも旧ジャニーズタレントの起用再開にかじを切る。元ジャニーズJr.の中村一也さん(37)が事務所の創業者、故・ジャニー喜多川氏に受けた性被害を公表してからおよそ1年半。声を上げ、前線に立ち続けても、風化や孤立の不安はぬぐえずにいる。

会見する中村一也さん=東京都千代田区の日本記者クラブで2024年10月9日午後2時24分、菊地香撮影

会見する中村一也さん=東京都千代田区の日本記者クラブで2024年10月9日午後2時24分、菊地香撮影

 ◆「何でもするので絶対に助けてください」

 「去年(2023年)の10月12日の朝、『じゃあね、バイバイ』と仕事に向かったきり、主人は帰りませんでした。(中略)10月13日に一本の連絡から朝方探し歩いて、山道で主人を見つけました。『お願いします。お願いします。これからいい子にして何でも言うことを聞きます。何でもするので、絶対に助けてください。生きててください。お願いします』と手を合わせて泣き叫ぶ子どもを見て、このようなつらい経験は成長の糧になると私は思いません」

 昨年10月9日、東京都内の日本記者クラブで行われた旧ジャニーズ性加害問題当事者の会見で、中村さんはコップの水を飲んでから一通の手紙を読み上げた。

 差出人は23年10月に自死した元ジャニーズJr.(以下、元Jr.)の妻。会見場には娘と共に、その姿があった。亡くなった男性は中村さんと同様、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバーだった。

 今、中村さんは数カ月ごとに遺族の住む大阪へ赴き、子どもと遊ぶ時間を持っている。昨年2月には元Jr.の二本樹顕理(にほんぎ・あきまさ)さんを交えて3人でユニバーサル・スタジオ・ジャパンへも行った。

 「お子さんにとって心のケアになるんじゃないかなと思って。僕の勝手な思い込みかもしれないんですけれどね」(中村さん。以下同)

 ◆「唯一うれしかった」現役タレントからの言葉

 「すでに我々はかなり弱っている」

 会見で中村さんは、こうも訴えた。壇上にはアイドルグループ・忍者の元メンバーである志賀泰伸さんと、元Jr.の長渡康二さん。共にジャニー喜多川(喜多川擴=きたがわ・ひろむ。以下、喜多川)氏から受けた被害を明かし、救済と性暴力撲滅を求めて闘ってきた同志である。

 「BBCや国連の人権理事会がメスを入れてくれたおかげで大きく前進しました。たとえるなら僕らは"黒船”に乗っかることができた。でも今は、いつ沈められてもおかしくない小舟にいるようなんです。声を上げる仲間が減り、メディアにもなかなか報道してもらえないですから」

 23年10月、ジャニーズ事務所は「SMILE-UP.」(スマイルアップ。以下、スマイル社)に社名変更し、喜多川氏による被害者の補償と救済に専念する組織となった。一方、事務所所属タレントのマネジメント業務などは新会社「STARTO ENTERTAINMENT」(スタートエンターテイメント。以下、スタート社)が引き継ぐことに。昨年10月には被害補償などが進んだとして、テレビ東京とNHKが、スタート社所属タレントの新規起用を再開すると発表。結果、全局で起用を阻むものはなくなった。スマイル社は被害補償について、1011人から申告があり、533人に補償金を支払ったとしている(昨年12月27日現在)。

 「補償は当たり前の話。それをして初めてゼロにはならなくても、とりあえずスタート地点に立てるんじゃないですか。スタート社の現役タレントの沈黙もすごく気になります。大人として、何らかのメッセージを発信した上で再出発することもできたと思うんです」

 13歳から15歳まで旧ジャニーズ事務所で活動した中村さんには少なからぬ仲間もいた。だが23年5月の被害公表以降、声をかけてくれた「現役」は皆無だという。ただ一人、嵐のバックで踊っていた友人が心配していたと、人づてに聞いた。それだけに同12月に堂本光一さんがインスタグラムにアップした言葉には希望を見いだしたという。

 <今起きてる問題だって 元々心に傷を負ってるのにそこに攻撃的な言葉を投げるのは どうであれ絶対に許されない 色んなパターンがあるとは思うが 自分を応援してくれてる人にそんな人はいないと願いたいけど  もしそれが俺を守ろうとか そういうつもりで先方に攻撃的なコメントをしたりしている人がいるなら そういうのほんといらない>

 「とてもうれしかったし、力をもらいました。でも、他の人は続かないんですよね。現役の方でも性被害を公表しようとした人はいたのに結局、やめてしまった。ものを言えない環境はおかしいと思うんです」

 中村さんは前述の会見でキング牧師の言葉を念頭に、こう訴えた。

 「最大の悲劇は悪人の暴力ではなく、善人の沈黙である」

 ◆スマイル社設立の社団法人は性被害者支援をしているのか?

 中村さんが疑問に思うのは、なぜ会見をしたり、性暴力の撲滅に向けた活動をしたりするのが被害者であるのかという点だ。

 スマイル社は23年10月以降、会見をしていない。昨年11月に毎日新聞を含む複数のメディアやジャーナリストで会見の要請をしたが、実現していないのが現状だ。同社は月に2回、ホームページ上で補償の進捗(しんちょく)状況を報告するなどしているが、一方的な文言にしばしば中村さんは「はらわたの煮えくりかえる思いがした」と話す。

 疑念は、一般社団法人Mindfulに対してもぬぐえない。同法人は昨年5月30日、スマイル社から独立した形で社会貢献活動を行うために設立されたものだが、ホームページを見ると、これまで「石川県令和6年能登豪雨災害」の災害義援金として2000万円、少年院や児童養護施設などで講演やワークショップを行う一般社団法人へ1500万円の寄付などをしている。

 昨年6月5日のスマイル社の発表によると、事業内容の一つに「性犯罪被害者などの心のケアを必要とされる方が必要な支援を受けられるための環境整備支援」がある。だが、10月16日にアップ…。、

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 ■菊地香・毎日新聞医療プレミア編集部

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 医療・健康 【医療・連載「医療プレミア」】  2025年01月03日  05:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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