《フィールドの向こうに・01.09》:2025年の「自分史」=田原和宏
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《フィールドの向こうに・01.09》:2025年の「自分史」=田原和宏
2025年は「昭和100年」、戦後80年、さらに阪神大震災から30年にあたる。節目の年だが、一介のスポーツ記者が論じるには荷が重い。歴史のことは歴史家に聞け。東京・神保町の古書店を巡ると、色川大吉さんの著書「ある昭和史―自分史の試み」(中央公論社)の一節が目に留まった。
「人は誰しも歴史をもっている」
色川さんは正史よりも、名もなき人々の思いをつなぐ「民衆史」「自分史」の提唱者で知られる。21年に96歳で亡くなった。同時代にあって歴史の流れを見極めるのは難しい。個人の体験や認識がどれほど限られ、偏っているか。悔いや過ちを含めて書くことで、歴史の全体像に近づけると説いた。
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