「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

老人の在宅医療は大丈夫か

2007-04-02 06:50:35 | Weblog
75歳以上の高齢者を対象とした医療制度が平成20年から
スタートするそうだ。厚労省が社会保障審議会に提示した案
によると、従来の外来医療、入院医療とは違う在宅医療を中
核にした制度だという。

在宅医療と聞いて、僕は昔の「往診」と早とちりした。昭和30
年代頃まではあったような気がするが、白衣を着たお医者さん
が黒い大きなカバンを看護婦さんに持たせ、患者の御宅を往診
していた、あの「往診」である。僕も子供だった頃、自宅でお医
者にノドを吸入して貰った記憶がある。

ところが在宅医療と往診とはまったく違う。厚労省の基本的考え
方は、従来の病院、クリニックなどと違い在宅医療専門の施設を
設け、医師、看護師が定期的に患者の家へ行き診断するものだと
いう。これによって①高齢者の患者を病気別ではなく総合的に診
断できる②一人暮らしの寝たきり老人に対応できる③終末期を自
宅で迎えたいという患者の希望にも応えられるーというものだ。

高齢者にとって好いことばかりだが、加齢と共に疑い深くなってき
ている。よく高齢者の患者が一つの病院から次の病院へ”たらい
回し”されるケースを聞く。医療費の高騰を防ぐ策なのか、あるいは
医療機関の経営難のためなのかしらない。新しい在宅医療はこの解
決策なのだろう。厚労省の案どおり万事うまく動いてくれればよいが、
地方による医者の格差、福祉サービスの現状をみると、なんだか病
院からの年寄り追い出し策ではないのか疑いたくなる。