「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

下着泥棒と「チャタレー裁判」

2007-04-14 06:36:40 | Weblog
下着泥棒に入った犯人の様子が一部始終、隠しカメラが捉えていた。
そして、それがテレビで放送された。犯人はなんと中学校の理科の
教師(35)で、二年生の担当だという。謝罪会見した校長は「○○先
生は真面目で、とても信じられない」といっていたが、隠しカメラの男
は一見真面目そうだがバカ面をしていた。

日本の社会は昔は”性”について厳格だった。戦前出版された本は
性描写は、すべて○○■■と伏字であった。キスの場面が日本映
画に登場したのは戦後まもなくの「はたちの青春」であった。観衆は
胸をどきどきさせて、そのシーンを見守った。僕がまだ新人社員だっ
た昭和32年、最高裁はD・H ローレンスの「チャタレー夫人の恋人」の
翻訳者(伊藤整)と出版社(小山書店)に”わいせつ文書頒布”罪を
適用、有罪にした。今、これを読んで見ても何のことはない。

わが国の性過剰露出はひどすぎる。世界でこんなに野放しの国はな
い。テレビ、ビデオ、DHD、雑誌、裏ブログなどなど、性犯罪の温床の
オン・パレードだ。かって研修事業でお世話したイスラム圏の研修員
が来日早々”日本はこんな状態で大丈夫なのか”とご注進におよんでく
れたことがある。

隠しカメラの下着泥棒先生のバカ面をみて、憐ミンの情さえ感じた。
性の過剰露出社会の犠牲者なのだ。「チャタレー裁判」の頃は、こ
んな可愛そうな男を救うスポットが、町のあちこちにあったから、こ
んな気味の悪い男はいなかった。難しい問題である。