「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「昭和の日」② ”上を向いて”歩いた時代

2007-04-30 05:22:50 | Weblog
僕が大學を卒業した昭和28年は、新旧大學が一緒に卒業生を
出した年で、大変な就職難だった。”もはや戦後ではない”と
経済白書が記し、流行語になったのは、その翌々年の31年で
あった。昭和時代の定年は55歳、僕がそのまま仕事を続ければ
62年がその年、つまり僕にとってはサリーマン時代がまさに
昭和であった。

14歳の多感な少年時代に敗戦を迎えた僕らは、あらゆるものが
”コペルニックス”的転換だった。「神」だった天皇が「人間」を宣言
吹くものと思っていた"神風”が吹かず、神、仏への信仰は薄らいで
いった。今まで見たこともなかった”ジープ”にのって「民主主義」
と「自由」がやってきた。

”戦後ではなくなった”戦後をテレビのCMで表現すれば”モーレツ”、
流行歌でいえば、坂本九の"上を向いて歩こう"の時代であった。
列島改造、所得倍増で初任給が1万円前後だった僕の給料も43年
に転職した時には10倍増になり、やがてバブルへと向かった。

朝鮮戦争もありベトナム戦争もあり、そのたびに日本の経済は恩恵
を受け、飛躍したが、巻き込まれなかった。「平和憲法」のお蔭であろ
う。国内的には第一次安保、第二次安保、学園紛争なども経験した。
一方では東京五輪、札幌冬季オリンピックも開催した。

「昭和」の収支決算は? 前半にあれだけの犠牲を払ったお蔭で
後半三分の二はプラスの時代だった。戦争がなく平和を十二分に
満喫できた。が、失ったものもあった。それは日本人の”心”では
ないだろうか。