「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「俺は君のためにこそ死にに行く」

2007-04-07 07:50:13 | Weblog
旧制中学時代の友人に誘われて「俺は君のためにこそ死にに行く」
という戦争末期の特攻隊員の生き様、死に様を描いた映画を一昨日
試写会で見た。僕は本当のことを言うと戦場シーンが嫌いなので友
人の誘いにリラクタントだったが、見た後の感想は”グッド”、映画
会社のアンケートにも85点をつけた。

僕らの世代は戦争体験が当時の年齢によって違う。従軍世代も戦地に
よって戦争感が違うようにだ。この映画の総指揮を取った石原慎太郎
や主演の岸恵子は、いわゆる集団疎開児童、敗戦時中学1年生だから
戦争には組み込まれていない。そういうわけか彼らには戦争の過酷さ
についての認識があまい。

映画の宣伝ビラを見て石原慎太郎・総指揮監督と知り、彼の戦争認識
が反映している、のではないかと恐れた。が、それは杞憂でさすが芥川
作家である。きちんとあの時代を総括し、当時の日本人の心を描いてい
た。岸恵子も少女時代の体験を見事に演技に反映し好演である。

僕らは戦争末期、敵の上陸作戦に備え、利根川運河の拡幅工事に学徒
動員され、特攻隊員と同じような生活をしていた。敵の艦載機の機銃
掃射に逃げまどった。多分、戦争があと1年続いていたら、僕らは特攻
隊員と同じ運命”見事に”国のため散華していたかもしれない。

僕は戦場シーンにアレルギーである。この映画にも映画の体質上,戦闘
場面はある。しかし、それ以上に製作側に観衆に何を伝えたいのかーそ
のメッセージがある。僕は戦争を知らない世代に、ぜひ、このメッセージ
をくみ取ってもらいたい