「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

    「講」 と”熊さん、八さん”的社会

2007-06-04 05:42:49 | Weblog
昨夜、老妻が一泊二日の「三峰講」の旅から帰宅した。「三峰講」とは
秩父(埼玉県)の三峰神社に参拝する講で、首都圏では「富士講」、
「大山講」などと並んで江戸時代からの庶民の楽しみの一つだ。住ん
でいる地域、職能単位で講を組み、毎月少しずつお金をだしあって年
に一回、信仰をかねて旅行をする。

戦前までは東京でも「頼母子講」があった。庶民がいざという緊急時
に、お金を融通しあう互助制度である。今でも農村地域では残っている
のだろうか。このような講は、お互いの人間関係が稠密でなければ成立
しない。残念ながら、僕の住んでいる地域では消滅した。

かって住んでいたインドネシアでは「頼母子講」と同じ形態の組織、アり
サン(Arisann)が盛んである。(Kampung)や(Suku)ごとにアリ
サンがあり、定期的に集まっている。互助の目的もあるが、集まること自
体が親睦を深め楽しみのようである。数年前、映画にもなっている。

老妻の話によると、今回の「三峰講」には、70人の参加があり、バス二台で
出かけたという。ゲスな話だが、参加費は2万5千円、宿は数人の相部屋で
ある。普通の旅行感覚では高い。しかし、旅行社が企画した「旅」では味
あえない楽しみがある。人間関係である。隣に誰が住んでいるのかわから
なくなった東京にもまだ”熊さん、八さん”的江戸の名残が残っている。