「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      介護つかれと”堪え(こらえ)性”

2007-06-12 05:24:27 | Weblog
介護つかれから東京では56歳の妻が56歳の夫を殺害、大阪守口市では
59歳の夫が58歳の妻を殺したうえ、マンション屋上の放置された冷蔵庫
の中に押し込め遺棄していた。なんとも痛ましい事件である。”美しい国”
での事件ではない。”福祉””介護”といった言葉はどこへいってしまったの
だろうか。

二つの事件には、かなりの共通点がある。第一は寝たきりの病人の配偶
者を、僅か3か月ぐらいの看護で殺していること。東京とか大阪の大都会で
の事件。年齢が老齢といってもまだ若い50代の犯罪ーなどなど。推理でも
のを言ってはてはいけないが、もう少し”堪え性”があってもよかったのでは
ないだろうか。

”堪え性”という言葉があるほど、日本人は昔から、ものに堪える性格の持
主だった。国が貧しく、ものがないので自然我慢強くならざるをえなかった。
とくに戦争中は何事も戦争に勝つまではーと我慢を強制された。戦後ものが
豊かになってから”堪え性”は失われつつある。変なたとえだが、昔は店屋
の前で、ものが欲しくて泣き叫ぶ子供がいたが、今はあまりこの風景を見な
くなった。

介護生活はあまり頑張ってはいけないという。看護する側の精神的負担になるか
らだという。”堪え性”とは相反するが、その兼ね合いが難しい。コムソン事件は
わが国の福祉行政の貧しさを象徴する事件である。そして、この二つの悲劇は、
その貧しさの実例である。厚労省の現実に即した施策を望みたい。