「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        「不良老人」に負けた自民党

2008-04-28 05:44:12 | Weblog
福田政権下初の国政選挙、山口二区補選で自民党候補が負けた。民主党の勝利の
一因は政府の”年寄りいじめ”政策、後期高齢者医療制度が逆風となり「保守王国」
の老人票が同党に流れたという見方もある。選挙公示日の15日が、たまたま医療費
の年金からの”天引き”の日だったのも不運であった。

昨日の「産経新聞」のコラム”古典個展”で大阪大学名誉教授、加地伸行氏が”「不良
老人」よ甘えるな”という見出しで、高齢者が弱者という美名の下で、年金が頼りとわ
めいている”と批判していた。しかし、僕が理解している限り、後期高齢者の怒りは、
政府の新制度に対する説明不足と、年金からの”天引き”、ネーミングの悪さ、それに
新制度の底に流れる老人蔑視などだと思う。加地氏は”年金に頼る「不良老人」といっ
ているが、誰でも老後のために年金をかけてきたのであって、これに頼るのは当たり
前だ。

加地氏は恐らく恵まれた役人の共済年金を貰い、自身”労働者老人”といっているが、
旅先で按摩にかかれるほどリッチで、こうして原稿を書いて高い稿料を貰っている。
ところが、世間には国民年金だけが頼りで月10万円以下で生活している老人がごまん
といる。加地氏は”元気なときはさんざ浪費していた「不良老人」”といっているが、全部
が全部とはかぎらない。

僕も後期高齢者だが”現役なみ”の所得と認定されて三割の医療費を払っている。心情
的には加地氏の”蟻とキリギリス”論もわかる。しかし人生は加地氏のように順風万帆な
人ばかりではない。一生働き詰めでも国民年金だったがために厳しい老後を送っている
人も多い。

どうも学者先生や政治家たちは、競馬馬のように遮眼帯をはめられていて周囲が見えな
くなってる。今回の高齢者医療問題を”不良老人”のわめきとみる傲慢さ、ここに自民党
の敗因もある。