「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          フィリッピンの戦争映画

2009-03-18 06:44:11 | Weblog
フィリッピン・ルソン島の南シナ海に面した地にビガンという世界遺産の町がある。
16世紀のスペイン統治時代の街並みが保存されている港町だ。戦争末期、ビガン
も米軍の再上陸により戦火の危険にさらされたが、日本軍守備隊長により救済さ
れた、という話が現地に伝えられている。今、フィリッピンでは、この話の映画化が
進行中だという。

大東亜戦争下、日本軍に占領された東南アジアの地域では、これまで戦争を描
いた映画では、日本軍は残虐、極悪非道の”悪玉”が多かった。僕も10年ほど前
アムステルダムの開催中の戦争展で、日本軍の将校がインドネシア女性を次々と
暴行する荒唐無稽な映画をみて驚いた。

戦争が終わって、60余年、フィリッピンでは、このビガンの話のほかにも戦争中の
日本軍兵士と現地人との音楽を通じての交流を描いた映画が公開されたという。従
来はありえなかったことだ。

戦争は狂気の時代の産物である。たしかに日本軍による残虐行為もあった。が、一
方ではビガンのような話も実際にあった。インドネシアのセレベス島では、不時着した
日本軍の偵察機を住民が総出で直し、パイロットは無事基地に戻れる事ができた。
数年前、このパイロットは60年ぶりに現地を訪れ、助けてくれた住民に100万円相当の
電気施設を寄贈した。マスコミは報道しないが、映画の材料にはよい話だ。

2001年、日本でインドネシア独立をテーマに日本の歴史観にたった映画を作ったが、
インドネシア人の感情をさかなでする部分が多く失敗した。ビガンを舞台にした映画が
日本で公開されたら是非みてみたいものだ。