「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

日産、スバルの安全検査 職業教育蔑視のツケ

2017-10-28 05:47:47 | 2012・1・1
”技術の日産が人生を面白くする”という日産のホームページを開いたら「お客様へお詫び」に変っていた。同社が日本国内6工場で生産していた21車種の車の完成時検査が、無資格の従業員の手によって行われていたのが発覚、116万台がリコールされるという。技術力を売り物にしている日産である。信じられない話と思っていいたら、スバルでも同じことが30年に渡って慣行として行われていたそうで、25万台がリコールされるとのことだ。他のメーカーは大丈夫なのか、日本の自動車産業全体の信用にかかわる話だ。折りから日本自動車ショーが東京で開催中である。他国の陰謀とも思いたくなるような不祥事である。

昭和60年(1985年)から3年間、僕は当時相模原市にあった職業訓練大学校(現在の職業能力開発大学校)で、JICA(国際協力機構)からの委託の途上国からの研修員の面倒をみていた。自動車工学というコースの研修コーディネ―ターで、1年間研修員につきそって自動車メーカーの工場実習にも同行した。日産の横浜の研修施設にもお世話になったが、立派な施設と内容で研修員を喜ばせた。日産だけでなく全国のメーカーでも、世界のトップを行く技術に目を触れ、研修員だけでなく僕も目をみはった。

3年間の職業訓練大学での経験で、僕は日本の職業訓練教育(Polytechnic)の一端を学んだが、戦後の日本の復興を担ってきたのは職業訓練教育にあると実感した。全国の職業訓練施設があり、地方でも若者が基礎的な職業訓練を学んでいた。当時は職業五輪の入賞者もマスコミが大きく取り上げた。昭和の時代は日本人が謙虚に技術を学んだ時代であった。その謙虚さがバブル期を経て、平成の時代に入り、蔑視され、失われてきたのではないだろうか。