バイエルン州立歌劇場、団員百人が日本行き拒否
読売新聞 9月16日(金)8時53分配信
【ベルリン=三好範英】ドイツ・ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場の今月下旬からの日本公演(日本舞台芸術振興会など主催)で、福島第一原発事故による放射能汚染を懸念し、当初参加予定だった団員約400人のうち約100人が日本行きを拒否したことが15日明らかになった。
日本公演は9月23日から10月10日までで、主に東京でワーグナーの「ローエングリン」などを披露する。
同歌劇場の広報担当者によると、欠員を補うため外部の演奏家を臨時に雇用する。
オーケストラ、合唱、舞台技術などの分野ごとに、団員が何人ずつ参加しないかは明らかでないが、数人の主役級歌手が出演をキャンセルしたことは主催者から発表されている。日本に行かない団員は4週間の無給休暇を取るという
ベッラあとがき
「ローエングリン」を歌う予定のカウフマン氏は、8月から胸部結節の手術のため、来日中止、かわりのボータ氏が歌うということは発表されていたし、カウフマン氏からは丁寧な手紙が送られ、納得したファンがほとんどだっただろう。
一方、代役のポータというと、スカラの「アイーダ」でラダメスを歌ったあのブルドックではないか。
歌もひどかった。調子が悪いならキャンセルすべきと思ったが、声の不調というよりも発声の基本に問題があるような気がする。
それにあの体重はひどすぎる。みっともない。
昔からオペラ歌手には巨漢は多いが、それでもステージに立ったら美しく感じたのは芸の力か。
たとえばパヴァロッティ、ノーマン、カバリエ、など舞台では魅力があった。
それにしても「外部から歌手を調達」もいいが、ここでヨーロッパで活躍している日本人歌手を入れてほしいと思う。
こういったチャンスを日本人歌手に与えてもらわないと、欧米で活躍の日本人歌手が日本人の聴衆に存在をアピールする場がないのではないか。
3月に来日し、大災害で「帰国」してしまったイタリアの歌手の代役に、指揮者メータは「合唱団」から選んだという。
こんな時も、ソリストとして日本人歌手を入れてほしかったと思う。
オペラのチケットなど今は数万円もする、これも考えられない。
日本公演がいつからこのように「一般の聴衆」に手の届かない値段になったのか、これでは優れたオペラを日本国内では聴けない。
いろいろな都合もあるとは思うが、日本公演のチケット代はあまりにも高すぎる。
イタリアで最高のオペラ公演をかつて2000円で聴いたこともある。
入場料を販売する職員は「本当にこの券を買うのか?最高席なんですけど」と何度も言った。
イタリア人はピアニストのポリーニのリサイタルでも1000円を超えると買わずに帰る、と聴いた。
よい演奏を安い値段で聴けて、何晩も通うような、かつての一般聴衆の耳は肥えていた。
「これをカラスはこう歌った、ステッラはこう、カバリエは古風な歌い方が気になる。スコットがなつかしい」などと言いたい放題の聴衆はもういなくなるだろう。
数万円もするオペラに毎日通える人なんて、ほとんどいない。
それにしてもバイエルンの歌劇場を招聘した日本の音楽事務所も大変なことだ。