その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

"Sleepwalking towards disaster" from Economist

2010-04-13 14:03:08 | ロンドン日記 (日常)
 滅多に読まないEconomist誌を買ってみたら、(メインのトピックは英国の総選挙なのだが、)たまたま、日本に関する同一テーマの記事が3本、延べ6ページにもわたって掲載されていた。

 全体をまとめる頭の記事タイトルは"Sleepwalking towards disaster"(大惨事に向けて夢遊歩行する日本)。不景気と拡大する財政赤字の日本に警鐘を鳴らし、生産性向上、財政改革そして金融刺激策を実現させる早急な構造変革とそれらを実行できるリーダーを求める記事である。

 「1)大量の国債発行、2)デフレ、3)外需頼みの日本経済を3つの根本的な課題として、これらの課題解決がなければ、日本の将来はない。そのためには、税制改革、更なる規制緩和などの対策が必要。だが、期待された鳩山も小沢も日本のことよりも自分の保身に精一杯。日本は現状維持がいかに危険であるかとうことを認識すべきだ。」といったような内容。

 そして関連記事として、最近の平沼氏らの自民党からの離党騒ぎから「日本の政治変化はまだ遠い」とする1ページ記事。そして、3ページにわたり"Crisis in slow motion"と題し、「日本政府は大量の借金とデフレの問題に取り組まなければ、最終的に大災害となるであろう」と日本の無策振りを紹介している。

 記事の論調や日本への評価そのものに特に目新しいものはない。しかし、財政赤字がGDPの11.8%になったと言って、今回の総選挙において財政政策が大きな争点となっている英国に対して、同じく借金がGDPの190%にも達しながらも、税収を上回る借金を更に作って予算を組んだ日本との好対照振りが浮かび上がる。

 何よりも、この記事を読んで「まあ良く言われることだ」と思ってしまう「私」が怖い。完全に「ゆで蛙現象」(カエルは60度のお湯に入ると死んでしまうが、水のうちからカエルを入れておき、じわじわ熱していった場合は、その温度変化に気付かず茹で上がってしまうというもの)に陥っている。

 私も日本人も日本も・・・、大丈夫か?
コメント (2)
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THE IMAGINARIUM OF DOCTOR PARNASSUS (『Dr.パルナサスの鏡』)

2010-04-13 05:44:27 | 映画
 私の大好きな映画『未来世紀 ブラジル』のテリー・ギリアム監督による昨年公開された幻想的ファンタジー映画です。ファンタジーと言っても、人間の欲望をパロディ化した、けっこうシュールな作品です。

 映像のスケールと美しさ、奇想天外なストーリー、所々にちりばめられたブラックユーモア、存在感のある俳優さんたち、とっても楽しめました。幻想的な映像はDVDよりも劇場で観れば、もっと楽しめたと思います。

 特別な空間に入り込んで、美しい非日常世界を垣間見ること、隠し味的なブラックユーモアなどは、『チャーリーとチョコレート工場』に似ていると思いました。

 人により、好き嫌いはあるかもしれませんが、私には間違いなく好みでした。


(あらすじ 日本語公式HPより)
2007年、ロンドン。パルナサス博士が率いる旅芸人の一座が、街にやって来た。博士の出し物は、人が密かに心に隠し持つ欲望の世界を、鏡の向こうで形にして見せる「イマジナリウム」。博士の鏡をくぐりぬけると、そこにはどんな願いも叶う摩訶不思議な迷宮が待っている。

しかし、1000歳になるという博士には、悲しい秘密があった。それは、たった一人の娘が16歳になったときに悪魔に差し出すという約束をしたこと。タイムリミットは3日後に迫った娘の誕生日。一座に加わった記憶喪失の青年トニーとともに、博士は、鏡の迷宮で最後の賭けに出る。彼らは、娘を守ることができるのか──?
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