現代アメリカの影を伝えるルポルタージュ。
安くてカロリーの高いファーストフードに走り肥満化する貧困層、救済施策から取り残されたハリケーンカトリーナ被災者、高い医療費負担で破産する中間層、株式会社化する病院により増加する医療過誤、落ちこぼれゼロ化政策とセットで導入された若者徴兵政策、戦争請負会社が支える戦争などなど、新聞等を通じて断片的に目にするアメリカ社会の一面をいろんなケースで紹介してくれる。そして、筆者はこれらの現象を、「教育」「いのち」「くらし」という政府の主要業務が「民営化」され市場の論理で行われるようになった結果としている。
かなり主観的かつ扇動的な文章なので、分析や主張には読んでいても首を傾げるようなところも多い。起こっている現象の全ての原因を、民営化、競争導入、市場原理に押し込む論法は一方的で、事象の構造的な理解や将来への処方箋につながるものでもない。
ただ、こうしたことを割り引いても、今、アメリカという国で何が起こっているかを理解するには、非常に有益である。そして、これは既に日本でも起こり始めている事象であることも容易に気付く。社会的弱者へのセフティーネットの当て方、政府・政策の役割などについて考えるきっかけになる。
安くてカロリーの高いファーストフードに走り肥満化する貧困層、救済施策から取り残されたハリケーンカトリーナ被災者、高い医療費負担で破産する中間層、株式会社化する病院により増加する医療過誤、落ちこぼれゼロ化政策とセットで導入された若者徴兵政策、戦争請負会社が支える戦争などなど、新聞等を通じて断片的に目にするアメリカ社会の一面をいろんなケースで紹介してくれる。そして、筆者はこれらの現象を、「教育」「いのち」「くらし」という政府の主要業務が「民営化」され市場の論理で行われるようになった結果としている。
かなり主観的かつ扇動的な文章なので、分析や主張には読んでいても首を傾げるようなところも多い。起こっている現象の全ての原因を、民営化、競争導入、市場原理に押し込む論法は一方的で、事象の構造的な理解や将来への処方箋につながるものでもない。
ただ、こうしたことを割り引いても、今、アメリカという国で何が起こっているかを理解するには、非常に有益である。そして、これは既に日本でも起こり始めている事象であることも容易に気付く。社会的弱者へのセフティーネットの当て方、政府・政策の役割などについて考えるきっかけになる。