その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

London Symphony Orchestra / Valery Gergiev / Mahler Symphony No 9

2011-03-04 22:39:24 | コンサート (in 欧州)
ゲルギエフ指揮のロンドン交響楽団によるマーラー交響曲第9番を聴きに行きました。マーラーの第9番は今年に入って3回目。昨年まで生で聞いたのは2回だったので、この3ヶ月でこれまでの数十年分の回数を上回ってしまいました。

しかし、いまだもって、このマーラーの9番というのは、私の中ではつかみどころが分かりません。毎回聴くたびに、曲の印象が違うからです。そして、昨日もまた新しい9番でした。

ゲルギーの指揮は変幻自在とでも言うのでしょうか。とってもスローテンポかと思いきや、急アクセルで一気呵成にドライブをかけたりする特徴のあるもので、ぐいぐいオケを引っ張ります。よくオケがついていけるなあと感心するほどです。指揮棒なしで、手のひらを蝶のようにひらひら震わせながら、そして時折唸りながらの指揮姿は、いつもながらとは言え、とってもユニークです。この日は、最前列の席のせいか、特に気合が入っているように見えました。正直、他の指揮者の演奏と何がどう違うのかは、よく分からんのですが、彼のくねくねの手の先、指の先から生まれるLSOの音は、濁りのない美しいアンサンブルでした。

LSOは弦楽器の美しさはもとより、管が抜群ですね。最前列からは管の人はほとんど見えませんが、見えないところからとろけるような木管の調べや、ホール全体を貫く金管の叫び聞こえてきました。そして、目の前で発せられる美しい第2ヴァイオリンの響き。至福の時間です。

休憩を挟んでは、マーラーの交響曲第10番。これは第1楽章のみの未完の作品です。以前、ハーディングの指揮で聴いたことがあるのですが、改めて聴いてみると全然覚えていませんでした。9番のあんな熱演の後に、オケにまだ余力があるのかと思ったけど、流石はプロ集団。ゲルギーもLSOも気合いたっぷりで熱意のこもった音楽でした。

余談ですが、この日は珍しく休憩中にとなりに座った人から話しかけられました。半年前からロンドンの大学院で勉強している中国人の女学生。LSOのコンサートは初めてということで、とっても感動した様子。同じ感動をその場で共有できるのは嬉しいものです。

昨年からのロンドン マーラー祭りはまだ続きます。4月からフィルハーモニー管弦楽団とマゼールによるマーラー・チクリスシリーズが。まだチケット買ってないけど、これはどうしようかなあ~。


London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
Mahler Symphony No 9
3 March 2011 / 19:30
Barbican Hall

Mahler Symphony No 9
Mahler Symphony No 10 (Adagio)

Valery Gergiev conductor
London Symphony Orchestra

コメント (4)
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