その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

佐々木融 『弱い日本の強い円』 日経プレミアシリーズ

2012-03-03 17:03:20 | 
本書が言うとおり、為替と言うのは分かっているようで、意外と分かっていないものなのだが、本書はその為替の仕組みについて基礎からしっかり解説し、現在おこっている為替の状況、将来の見通しについてまで解説してくれる、極めて有益な本である。

例えば、為替は通貨同士の交換比率だがら、上昇、下落という場合には、軸となる通貨(主語)がある。私はてっきりドルが基軸通貨だからドルが常に主語なのかと思っていた。でも、実は、ユーロが一番優先順位が高くて、その次がポンド、豪ドル、ニュージランドドルとなり、そして米国ドルが来る。円は桁数が多いので、ウオンを除いて主語となる順番は一番後ろなのである。こんな、基本のキですら知らなかった。

この他にも、通貨の上昇、下落を観る際は、ドルに対しての変化を観るのではなく、クロス(その他の通貨との上昇、下落)で見ること、国力により為替相場が決まるわけではないこと、中期的為替相場の変動には貿易収支の状況が大切であること、などなど、これまで漠然と読んでいる新聞記事の背景を、いきなり霧が晴れて道が見えてくるように、理解できる錯覚さえ起こさせてくれる。

記述が専門的でなく、素人にも分かるように丁寧に平易に書いてあるので、難なく読めるが、ここの内容をすっかりマスター出来て、使いこなせたら、国際経済についてより理解が深まることは間違いない。
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映画 "The Young Victoria" (ヴィクトリア女王 世紀の愛)

2012-03-03 00:39:36 | 映画
 日本からの復路便の機内で見る。

 ビクトリア女王の若き日々が、宮廷内主導権争い、アルバート公との愛、国家君主となっての政治的葛藤を通して描かれる。

 ビクトリア女王を演じるエミリー・ブラントが美しく好演だが、何故か自分には刺さらない映画だった。きっと、英語のリスニング力の問題とイギリス人なら身近な歴史上の人物や描かれている宮廷政治が、私にはピンと来ないのだろう。イギリス史抜きで、単なるアルバート公とのラブストーリーとしてだけで見ると、この映画の半分を見過ごしていることになる気がする。

 訪れたことのあるバッキンガム宮殿やウインザー城が舞台になっているのは楽しめたが、同じ王室ものでも「ブーリン家の姉妹」のほうが、私には好みである。

 それにしても、この邦題はエラク大げさだな。日本に居て、このタイトル見たら絶対に見ようとは思わない。恥ずかしくなる。



Directed by Jean-Marc Vallée
Writing credits (WGA) Julian Fellowes

Cast
Emily Blunt ... Queen Victoria
Rupert Friend ... Prince Albert
Paul Bettany ... Lord Melbourne
Miranda Richardson ... Duchess of Kent
Jim Broadbent ... King William
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