大学を卒業して就職したのがクルマの添加剤の販売会社だ。
その添加剤を主にガソリンスタンドにセールスする営業だ。
ガソリンスタンドは、利益率の低いガソリンだけでは儲からない。ヘタをすると赤字だ。
それでガソリン以外の、利益率の高い洗車やオイル交換、定期点検などに注力する。
しかし、そう度々それらを勧めるわけにもいかない。
そこで会社が目を付けたのが、クルマ用の添加剤だ。
エンジンオイルやギアオイル、ガソリンなどに添加するオイル製品、エンジンや燃焼系統を洗浄するアルコール製品だ。
オイル、アルコール系だからクルマに害はない。逆に言えば益もないのだが。
利益率も高く、入れるだけだから手間もかからない。
あとは、オイルが劣化しています、滲んできてます、ガソリンタンクに水が溜まってます、キャブレターが汚れてます、等々、スタンド店員の客への声掛け次第だ。
そんな添加剤を付加価値商品としてガソリンスタンドに売り込むのだ。
商売熱心な所長は買ってくれるが、後ろ向きの所長は、押し売りは客を減らす、と消極的だった。
私としても、そんな毒にも薬にもならない商品を、口先三寸でセールスすることに後ろめたさもあり、営業成績も可もなし不可もなしで仕事に嫌気がさしていた。
そんな時に目にしたのが、通販会社の中途採用の求人広告だ。
運よく採用になった会社の仕事は、カタログに掲載する商品の仕入業務だった。
その商品は、ファンシー雑貨、オモチャ、化粧品、カメラ、ラジカセ、健康器具などバラエティに富んでいて、目新しく飽きることがなかった。
ほとんどの商品が、バブル前夜という時代背景もあり、採用すれば売れに売れた。
まわりの社員も同年代が多く、学生時代に戻ったような職場の雰囲気だった。
前の会社の半分の努力で仕事は回せ、給料はボーナスや報奨金をいれると、倍近くになった。
世の中には、苦労が報われない仕事と、苦労せずとも成果が出る仕事がある、とその時に実感したものだ。
それが運というものだろう。
そして、その時に私は人生の大半の運を使ってしまったのだろう。
それはそれで、仕方がないし、それでいいと思う。
その添加剤を主にガソリンスタンドにセールスする営業だ。
ガソリンスタンドは、利益率の低いガソリンだけでは儲からない。ヘタをすると赤字だ。
それでガソリン以外の、利益率の高い洗車やオイル交換、定期点検などに注力する。
しかし、そう度々それらを勧めるわけにもいかない。
そこで会社が目を付けたのが、クルマ用の添加剤だ。
エンジンオイルやギアオイル、ガソリンなどに添加するオイル製品、エンジンや燃焼系統を洗浄するアルコール製品だ。
オイル、アルコール系だからクルマに害はない。逆に言えば益もないのだが。
利益率も高く、入れるだけだから手間もかからない。
あとは、オイルが劣化しています、滲んできてます、ガソリンタンクに水が溜まってます、キャブレターが汚れてます、等々、スタンド店員の客への声掛け次第だ。
そんな添加剤を付加価値商品としてガソリンスタンドに売り込むのだ。
商売熱心な所長は買ってくれるが、後ろ向きの所長は、押し売りは客を減らす、と消極的だった。
私としても、そんな毒にも薬にもならない商品を、口先三寸でセールスすることに後ろめたさもあり、営業成績も可もなし不可もなしで仕事に嫌気がさしていた。
そんな時に目にしたのが、通販会社の中途採用の求人広告だ。
運よく採用になった会社の仕事は、カタログに掲載する商品の仕入業務だった。
その商品は、ファンシー雑貨、オモチャ、化粧品、カメラ、ラジカセ、健康器具などバラエティに富んでいて、目新しく飽きることがなかった。
ほとんどの商品が、バブル前夜という時代背景もあり、採用すれば売れに売れた。
まわりの社員も同年代が多く、学生時代に戻ったような職場の雰囲気だった。
前の会社の半分の努力で仕事は回せ、給料はボーナスや報奨金をいれると、倍近くになった。
世の中には、苦労が報われない仕事と、苦労せずとも成果が出る仕事がある、とその時に実感したものだ。
それが運というものだろう。
そして、その時に私は人生の大半の運を使ってしまったのだろう。
それはそれで、仕方がないし、それでいいと思う。
狙いは読後感。読めばわかる、あるいは読んでもわからないかもしれないが、なんとなく心の片隅に残る奇妙な違和感。ありきたりで普通を装った妙な安心感。 そんな小説を、Amazon Kindle Storeに30数冊アップしています。★★ 拙著電子書籍ラインナップ・ここから買えます。
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